第1話-2

「大丈夫なんですかねあの人。」


不安と少しの怒りに満ちた声で女は言う。彼女の名は平川ひらかわ 梨沙りさ、俺の後輩で歳も近い。ここに来てまだ日は浅いが態度だけは1人前な女性職員だ。


「まぁまぁ…」


不安になるのも無理はない。新しく来た課長代理は怪我からの復職で、年は我々より少し上。あの年で課長クラスだ。恐らく現場を知らないで出世コースを駆け上がって来た種類の人間だろう。背格好も猫背気味で一概にも保安職とは思えない立ち姿、不安要素の塊だ。そんなのが新しい上司でしかも独立した班として稼働する事になる。彼含む俺ら3人は事実上の左遷という事か…。


「一応上司になりますし後で挨拶しに行きましょう。あとは今居る班にも挨拶をしておかないと。」


「…たしかにそれもそうですね。」


あの課長代理の詳しい情報も気になる。挨拶ついでに聞いておこう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る