第3話  替えられた未来

ヒナは手紙を何度も読み返した。

――「私も、星を買った。次に消えるのは、きっと君。」

カレンの字に似ていた。けど、どこか違う。まるで…泣きながら書いたような、震える線。

ヒナはもう一度、“星”を取り出して、じっと中を見た。

ガラスの中の未来の景色に、小さな異変があった。

ヒナの姿が――少し、ぼやけている。

まるでヒナ自身が、未来から消されかけているみたいに。

「誰が書き換えてるの…?」

そのとき、スマホがブルッと震えた。

差出人不明のメッセージが届く。

________________________________________

『星を返すには、もう1人、消すしかない』

________________________________________

「え…? 誰かを、消せば…私が残れるの…?」

混乱するヒナの目の前で、またひとつ現実が変わった。

部屋の壁に貼ってあった家族写真――

そこには、ヒナと母と父、そしてカレンが写っていたはずだった。

でも、今はそこに――見知らぬ少女の顔が貼られていた。

そして、写真のヒナが、ぼそっとこうつぶやいた。

「この子が、“私”になったの」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る