第2話 消えた親友

ヒナは、カレンの名前を口に出してみた。

「カレンはどこに行ったの?」

でも、クラスのみんなは怪訝な顔をする。

「え? 誰それ?」

「転校生?」

「そんな子、最初からいなかったよ」

まるでカレンが最初から存在しなかったみたいに、世界がすり替わっていた。

ヒナは震えながら、あの“星”を取り出す。

中を見ると、昨日までカレンと並んで笑っていたはずの未来の景色から、カレンの姿が消えていた。

「返せば戻るの……?」

ヒナは迷いながらも、再び時計塔へ向かった。

だがその夜、夢に現れたフードの人物は言った。

「星はもう“動き始めた”。返せば終わるとは限らない」

「じゃあどうすればいいの?」

「自分で決めるしかない。でもヒントをあげよう。君がその星を手にしたとき、もうひとつ別の誰かが星を買っている」

「……え?」

「その人が、“未来を書き換えた犯人”かもしれない」

ヒナは目を覚ました。

すると机の上に、誰かが置いたと思われる封筒があった。

開けてみると、こんな手紙が入っていた。

________________________________________

『私も、星を買った。次に消えるのは、きっと君。』

________________________________________

ヒナは凍りついた。

この手紙、カレンの字にそっくりだった。


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