第4話


「シザ」


 ギデオンカレッジの巨大な書庫の梯子に上り、そこに腰かけたまま分厚い書を開いて読んでいたシザは呼ばれて、振り返った。


 自分の担当教授であるパーシー・エバンズが立っている。

 急いで本を終い、降りようとしたがエバンズは手で制した。


「ああ、構わないよ。君が戻って来てると秘書から今聞いて、ここかと。

 随分早く戻って来たんだな。君は全部課題も提出出来ているし、もう少しゆっくりしてくれば良かったのに」

 一度浮かせた腰を戻して、シザは頷いた。

「ありがとうございます。ですが父は研究所の運営に関わっているので、この時期も多忙で留守がちです。あまり家族で集まってクリスマスを祝うという家でもありませんから。

 折角だから年内にもう少し読みたい本があります」


 教授は笑った。


「そうか。まあ私も似たようなものだから分からなくもない。

 いや、君が自分の意志で戻ったのならいいんだ。

 クリスマス休暇を切り上げてもここへ戻って来たいと思う程、学生が我がカレッジを気に入ってくれていることも嬉しいし。

 私は大学の来季のカリキュラム委員になったから年末まで多忙で、オフィスの方に泊まり込んでる。まあ、日中時折は帰宅もするが。基本的には研究室泊まりだ。

 今日の夕食は予定があるかね?」


「いえ。特には。街で適当に済ませようかと」

「それなら丁度いい。折角だから夕食を一緒に食べよう。

 こんな時だからゆっくり話せることもある。

 会議があるから……十九時に私の研究室で」

「ありがとうございます」

「うん。ではまた後で。何かあれば秘書に連絡してくれ」

「はい」


 

◇   ◇   ◇



 研究室といっても、広大なギデオンカレッジの各区に与えられた教授たちの住まいは豪邸だ。中世に建てられた伝統ある様式もあれば、新築された近代的なものもある。

 ギデオンカレッジで学寮長を務めるパーシー・エバンズはダルムシュタット国立大卒業後、首都にある王立裁判所で二十年務めた後、再び大学に戻り法学の専門家として学生達を教えている。

 今でもシュヴェリーン、キュベノーグ、ミュンヘンの裁判所に籍を置き、要請を受けて裁判に助言を行ったり実際に判事として法廷に赴くこともあり、ダルムシュタット国立大学では最も権威と実力を兼ね備えた人物であった。

 

 彼の講義で一番最初に聞いた。


『法とは、真の知識と実力で行使するもの。偽りや虚飾はいらない』


 まさにそれを体現したような人物だと感じた。

 シザは両親を早くに無くし、理由あって、少年時代学校に通わなかった。

 養父が教育係は付けたので家で学んでいたが、養父の虐待が収まる十二歳までは落ち着いて勉強に励むという経験も無かった。

 十三歳でようやくアカデミーに通うことを許されてからは学べることが嬉しくて夢中で勉強したが、やはり義務教育を担当する教師などとは、名門大学の教授は違う。

 推薦を受け十四歳で大学寮に入ったが、十四歳はダルムシュタット国立大学において入学許可される最低年齢であることから、特別なカリキュラムが一年を通して行われる。


 だから十四歳の間は広く知識を学び、

 十五歳から興味ある分野に属し、専門的な講義に入って行く。


 アカデミー時代からすでに特定の分野で才を発揮していれば、その推薦を受け最初から特定の研究室に入ることも出来るのだが、シザの場合総合的に成績優秀である、と推薦を受けて入学を許されたため、専門分野を決定するのに一年の時間を費やした。

 

 学びとしては様々なことに興味は持ったけれど、

 シザが選んだのは法学部だった。

 それまでの自分の人生では全く関わりの無かった分野だ。

 しかしこれから先、仕事をする上でも就職に法学は有利だったし、いずれ一人で生きて行かねばならないシザ自身にとっても法を詳しく把握していることは身を守る術になると思った。

 

 それに、人間の罪や行動には深い興味があったので、

 学びたく思ったのも事実だ。


 運良く、法学部では名高いパーシー・エバンズの講座に空きが出て、入学許可の試験を応募していたので、相当な倍率だったから無理かもしれないなと思いながら受けたら、受かったのだ。

 この講座入学試験は純粋な試験の成績と、教授が出した課題提出、そして教授自身の多層的な判断から入学者を決めると言われていた。

 実際の所重要なのは試験の成績ではなく、他の二点なのだ。

 試験などは最初から出来て当たり前だとされるので全く加味されない。

 望む水準に最低限知識があるかどうかだけ見ている。


 課題は用意された三つの実在殺人事件裁判資料を見て、自分なりの観点で判決を出す経緯を提出する。

 これは実際に下された判決と、答えは同等でなくてもいいと添え付けがされていた。

 無差別殺人、尊属殺人、マフィア同士の抗争から来る報復殺人。

 シザは自分の知識の浅さを自覚していたので、

 無差別殺人を選び、ひたすら目の前に提示された書類の中から証拠や事件経過を追い、人々の証言の信頼性や内容を読み込み、判決を下した。

 実際になされた判決と結論は同じだったし、特筆するような課題内容ではなかったと自分でも思う。これくらいならば多分書ける者は他にどれくらいもいるだろう。

 ここはシザと異なり明確に将来の法曹を目指して集まって来る学生も多いのだから。


 シザは自分の課題の凡庸さが分かっていた為、一つだけ別のことをした。

 もう一つの判例も課題としてこなしたのだ。

 一つだけ選べと命じられたことを二つやれば、余計な蛇足だとマイナスの評価をなされる可能性も十分あったけれど、どうせ元より選ばれる可能性も低いのだから、時間がまだある限りはやってみようと思ったのだ。


 尊属殺人は避けた。


 ……勿論意図して。


 マフィアの報復殺人を選んだが、

 結果としてパーシー・エバンズの講座に入学を許された後、

 複雑な人間関係が交錯する報復殺人の課題の中では、情報分析力が随一だと教授自ら誉めてもらった。


 パーシー・エバンズはそういう意味でシザがこの世で一番最初に実際の権威や、実力や見識の深さを感じ、この人に師事してもらいたいと望んだ人物だった。

 

 シザは父親をあまり知らなかったし、

 養父の人格は軽蔑していたから。


 言い方は悪いが、初めてまともな話の出来る大人の男だ、と感じたことが彼の講座を希望した理由だった。

 

 シザの父親は立派な物理学者だった。

【ゾディアックユニオン】系の大学、研究所に関わり、様々なプロジェクトにも関わっていた。

 普通父親が立派ならば、息子はその父親から学びを得ようとする。

 しかしその父親を四歳で失ってからはシザは導き手を失い、世界は狭く閉ざされて、教え導いてくれるような存在もいなかった。


 パーシー・エバンズの研究室がある私邸で客間に通されるとシザはそこに飾られている写真を何となく眺めた。

 ここには来たことが何度かあったが、いずれも同級生達が一緒だったので、ゆっくり壁など眺める余裕はなかったのだ。


 家族写真というのだろうか。


 教授がどれか分からないほどの幼い頃のものもある。

 映ってる人が多いが、兄弟なのだろうか。

 恐らく大学入学の写真か、見覚えのあるカレッジの通路で花を持っている写真があった。

 まだ若いがこの頃はもうすでに今の面影がある。

 パーシー・エバンズは現在四十五歳だったはずだ。

 それでも判事としても大学教授としても、名門ダルムシュタット国立大学の教授としても非常に若い分類だ。

 徐々に現場からは引退し、研究生活に入りたいとは言っていたが、まだ全然若い。

 恐らく二十代前半の写真だと思うが、全体的には年齢を重ねた感じがしてもあまり表情は変わっていない。

 

 自信に満ち溢れていて、未来を見つめる眼差しは輝いている。

 側に女性がいた。

 寄り添っている。

 だが若いので母親ではない。

 親し気な雰囲気からして、恐らく姉妹ではないだろうかとシザは感じた。

 正装したパーシー・エバンズに身体を寄せて、彼女も非常に嬉しそうな表情をしていた。


 おかえりなさいませ、と玄関の方で声がした。


 シザは振り返る。

 丁度パーシー・エバンズが帰って来た。


「やあ、よく来たね。すぐに着替えて来る。

 先に食堂へ案内してやってくれ」


 メイドに告げると、彼は二階へと上がって行った。

   


◇   ◇   ◇



 夕食を取りながら、少し寮生活のことなどを話した。

 普通教授はそういうことには関わらないが、最低年齢で入学した学生だということは当然知っていた為、教授との会食などは慣れていないだろうと思っての気遣いではないかと感じた。


 担当教授だが、講座以外ではあまり話したことはない。

 しかし今年の夏に短期間助手をやらせてくれたことがあった。

 優秀な二人の学生と一緒だったので、あくまでも補佐的な意味合いがあったと思うけれど、時折パーシー・エバンズからはそういう気遣いを感じる。

 多忙であったし、彼はいつも学生や教授仲間達に囲まれているので近づこうと思ったことはなかったが、シザは感謝していた。


「十月の課題を丁度この前読み終わったところだよ。

 我が講座は非常にみんな熱心だし、優秀な学生が多い。

 喜ばしく思っているけれど――特別な才を持つ者というものは、

 やはり自然と分かるものだ。

 彼らが知られたくないと身を隠してしまえば、勿論見つけるのは困難だけれどね」


 シザは食後に移動した客間で珈琲を飲みながら、

 不意にパーシー・エバンズがそう言ったので、彼の方を見た。

 教授は小さく笑む。


「君はやはりどちらかというと母親似だな」


 驚いた表情を見せたシザに、エバンズは軽く手を上げてみせた。

「いや。単なる好奇心じゃない」

 立ち上がり、彼は棚から書類を取り出して来た。

 テーブルに置く。

【ジェネス・ケントリア事件】と書かれた書類に、シザは息を飲む。

 パラパラと中を見ながら、エバンズは頷いた。


「これは手違いで君の所へ行ったが、

 君は翻訳しろというメモにしたがってこれを翻訳した。

 ゾナフォン……数学者だった犯人が数学者たちが使う暗号で事件のヒントや次の被害者を予告した連続殺人だが。

 本来なら手違いで自分の所へ来たということが、君には分かったはずだ。

 それでも翻訳したのは、特殊な技能を持っていると私に誇示したかったわけじゃない。

 ――他人の手を借りずとも、自分にも出来る仕事だからこなした。

 私は職業柄様々な人間に関わるし、勿論色んな学生も見て来た。

 それで言えば君はどちらかというと才能の割に内向的な方だ。

 控え目であることは人間の美徳ではあるが、ここは学び舎なのだから、学びに関しての好奇心や勇気は大事にした方がいい。

 この手違いがあった時に、君が無関心を決め込まなくて良かったよ。

 もしそうだったら君の才能をあと一年は見逃したかもしれない。

 学生からしてみれば、教授というものは、偉く見えることもあるかもしれないが、私たちも万能の神というわけではない。学生が力を秘めてしまえば、恐ろしい慧眼で全て見通せるわけでは無いんだ。

 だから学生も自分の中に強く信じるものがあれば、表に出し光に当てなくてはならない」


 シザは小さく頷いた。


「この翻訳を見た時に君が誰の息子か、すぐ分かったよ。

 しかし父親が死んだ時君はまだ四歳だったはず。

数学者の言語ゾナフォン】は数学会に所属しない者が許可なく公で使ったり、第三者に教えたりすれば厳罰に処される言語だ。君は数学会には属していないから、独学でゾナフォンを会得したことになる。

 この知恵の宮殿とも言うべきダルムシュタット国立大でも、数学者以外はほとんど出来ない技術だ。本当に独学かね?」


「……はい。父とは早く死に別れたので、家に残っていた父の書いたプライベートな研究などをノートなどで見てるうちに……覚えました」


「素晴らしい」


 エバンズは満足げに頷いた。


「そういう所が君はマリオン・ユーリアに似てるな。

 彼女は優秀な生物遺伝学者だったけれど、元々は数学出身だ。

 君の父親と私はほぼ同学で、マリオンは少し下だったけれどね。

 当時ダルムシュタット国立大は二百周年の節目だったので、新しいカレッジ新設計画があった。そのプロジェクトに学生代表として私は関わったんだが、その時君の父親も同じように学生代表で選ばれて、それで友人になった。

 私はあまりそれまで数学者というものと気が合ったことがなかったんだけれど。

 何故かルディ・パーシヴァルとはウマが合った。

 勿論数学者仲間の結びつきには敵わないだろうが……良き友人だったよ。

 だから、マリオンのこともよく覚えてる。

 もしかしたら、君の父親が彼女に恋をした瞬間も私は見てたのかも。

 入学式の時から、彼女は大学中の注目の的だったから」


 シザは、両親の知り合いにあまり会ったことが無い。

 だから担当教授が父親どころか母親すら知っていて、しかも親しかったと突然告げられて非常に驚いた。


「数学部のモントヴェールカレッジに彼女を案内する役はルディが任されたからね。

 大学中の男たちから嫉妬されていたよ」


 シザは小さく笑った。


「僕もあまり詳しくはないんですが……でも、父は院生になるまでは恋愛感情を持ったことは無かったと言っていた気がします。良き友人だったと。母もそういうことを確か言っていました」


「あながち偽りではないかもな。もし恋愛感情があったら、逆にあんなに長続きはしなかったかもしれん。それくらい彼女は美しく聡明な人だった。

 あの二人には数学者特有の難解さのようなものがあまりなかった。

 だから惹かれ合ったのかもしれないね。お互いを理解し合えた」


 パーシー・エバンズは「悪いけれど」と前置きをしてグラスにワインを注いだ。

 シザはお構いなく、という感じで頷く。


「君の聡明さは両親譲りだということは分かったけれど、

 私の許に来たということは、彼らと同じ道は歩むつもりはないんだろう。

 まあまだ君は突出して若いから、急いで答えを出す必要はないが。

 率直に言うと、君を私の正式な助手として使ってみたいと思っている。

 ギデオンカレッジの研究室に空きが出たから、良ければ君を推薦しようと考えているよ」


 シザは驚いた。

 通常カレッジ専用の研究室には特別研究員という肩書で助手や助教授が入るけれど、それもほとんど長年学寮長である教授と付き合い、信頼関係を築いてからの話だ。

 特別研究員は教授の補佐的な役回りは勿論、代理の仕事もこなしカレッジの運営にも一部関わることになる。だから大学を知り尽くした人物でなければ務まらないのだ。

 講座に新入生を入れるとは訳が違う。


「ゾナフォン解読の手腕を見ていると、

 君の数学者としての知性も測りたくはなるけれど、

 私が思うに君の聡明さや、複雑な人間関係を瞬時に見極めて的確に分類するような慧眼は法曹界にも適性はあると思う。

 しかしそれも本人の意欲あってのこと。

 君は才はあるが、振る舞いはいたって凡庸な学生だ。

 野心のある学生ならもっと己を必死に売り込んで来るし……。

 十二月二十八日に大学に戻って来ているのに、教授から声が掛からないと部屋に籠りっぱなしになったりはしない。

 自分の将来について考えていることがあるなら聞きたく思う。

 どのようなことでもいい。

 ここで話したことで君を落第させたりはしない。

 話を聞きたくて、君の両親とのことを話したんだ。

 正直それくらい、私にとって君の両親が誰であるかは本当は関わりないことだからね」


 シザは数秒考えたが、頷いた。

「法律を学んで、自分の将来に生かしていきたいとは思っています。

 でも正直な所、具体的な図が思い描けてるわけではありません。

 特別研究員は教授を多方面に補佐しなければならない仕事ですから、

 僕のように自分の将来のこともまだ見通せていない人間には務まらないと思います」


 普通はこんな話をされて、辞退するような者はいない。

 しかしエバンズは十分シザの若さと経験の浅さを考慮した。


「いや。率直に答えてくれてこっちとしても助かるよ。

 では、聞き方を変えようか。

 ――将来、法曹に関わって行きたいという願いは少しもないかな?」


 聞き返されて、シザは目を瞬かせる。

 エバンズは、父親の友人の顔で微笑んだ。


「よし。それならばまだ希望はあるということだ。

 君自身にも己の適性や将来の展望が見通せないというのなら、

 担当教授として一つ提案したいことがある。

 年明けから月に一度行われる大学のシンジゲートに参加してほしい」


「シンジゲート?」


「堅苦しく考えないでいい。私たちが優秀な学生を選抜して、学部を越えて広く議論をしその適性や知性を判断する。参加する学生達の認識は交流会のようなものだ。参加者は月に一度指定された場所へ行き、数日間そこで過ごす。

 管理の為に各階や各部屋には監視カメラが設置されているし、別に変なことをさせようとしているわけではないよ。

 こういう大学だと、とかく専門分野には力を発揮するが、その反面人付き合いや他分野との協力というものを全く念頭に置けない学生も多い。

 しかし自分の道を究める為にも、一見関わりのない分野と交流を持ち見識を広げることはとても大事なことだ。


 各学寮長が数人選び、毎年これに参加させて経過を記録するのだけれど、私はこの五年ほど誰も推薦していない。

 人格矯正プログラムのようになるのは嫌だし、逆に特別なシンジゲートに参加したなどと有頂天になられるのも困る。あまり参加させて利点になると思うような人材がいなかった。

 だが君は、もしかしたらあの場所で学べることもあるかも。

 とりあえず一月の会は参加してみたらどうだい?

 実りが無いと想えば一度でやめてもらって構わないし、気が向かないなら欠席も途中退出も途中参加も自由だ。

 参加資格は君に与えておくから、好きに過ごしてみればいい。どうだね?」


 欠席も途中で止めるのも構わないと明確に言われたので、シザは頷いた。

「そういうことでしたら……参加してみます。

 推薦に感謝します。教授。気にかけていただいて」


「いや。私は優秀な存在が補佐に欲しいんだよ。君がなってくれるなら嬉しい。

 両親をよく知っているからね。

 仕事において簡単な世界などは存在しないけれど。

 人の生死や人生を測る法曹界はその中でも特に厳しい世界だ。


 法の世界に生きる心構えは、人間への興味を決して失わないこと。


 割り切った天秤のような心で判決を下していても、人間の言葉はちゃんと聞かねばならないし、人間の向けて来る視線からも逃れることは許されない。

 法廷の中央に座っていると、全ての人間が正しい答えだけを求めて来る。

 その重圧の中で自分を生かすためには、人間に興味を持ってなくば出来ないことだ。

 好き嫌いなどではなく、興味を抱くこと。

 人間を飽くことなく見つめ続けていれば、人間の人生に関わる恐れと幸せが見えて来る。

 それが法の判決を下す時に、拠り所になるはずだ」



 恐れと幸せ。



 パーシー・エバンズがその時そういう言葉を使ったことが、決め手になった。


 その頃シザの胸の中にあったのは、多分その二つの想いだったから。


「参加すると決めたら、一度この男を訪ねてみるといい。

 主催している学寮長の一人だ。今年はシンジゲートの責任者を務めてる。

 私の古い友人だ。君のことを知らせておくよ」


 エバンズはシザに名刺を一枚渡してきた。



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