第三章 エル・グラン村を賭けた相場勝負

勝負の内容は「王都のスキルマーケットで、互いに1000ゴールドを運用し、期限内で増やした額を競う」というものに決まった。

 俺が勝てば、村の借金すべて帳消し&モルガンは二度と手を出さない。逆に負ければ……俺が奴隷。あはは、やだなー、そういうの。

 ただ、このくらい大きく張らないとモルガンは本気で応じないだろうし、リリアを救うチャンスも無い。

 「勝負は一週間。俺たち二人とも王都へ行き、本格的なスキル取引に挑む。ここじゃ田舎すぎて小規模だからな」

 モルガンは自信満々に宣言して、豪快に笑う。

 正直、1000ゴールドを用意するのは村にとってかなり厳しい金額だが、みんなが力を合わせてかき集めてくれた。俺も前世並みの闘志を燃やして、「絶対に勝ってやる」と決意を固める。


 夜。村長宅の一室で作戦を考えていると、リリアがこっそり入ってきた。

 「ゼロさん……ほんとに大丈夫? 王都ってすごく大きくて、モルガンはきっといろんな手を使うし……」

 彼女は目を潤ませて心配している。いや、そりゃあ恐いよね。俺だって異世界に来てまだ数日だし、王都なんか未踏の地だし。

 でもここで諦めるわけにはいかない。俺は椅子から立ち上がり、リリアの頭にポンと手を置いた。

 「大丈夫。俺、前の世界でも無敗だったんだ。……まだその勝率、下げる気ないからさ」

 「……そっか。……ゼロさん、無理はしないでね。でも、ありがとう」

 リリアは照れ隠しか、急に目をそらして頬を赤くした。

 「わ、私、絶対に村のみんなで応援するから!」

 その姿を見て、妙に胸がドキドキしてしまう俺であった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る