設定:異次元資源開発管理庁
Interdimensional Resource - Development Management Agency
を略して
IR-DMA
と呼ばれることもある。
□ 設立経緯と位置づけ
ダンジョン出現という未曽有の事態は、既存の省庁による縦割り行政の限界を露呈させた。
内閣官房に設置された緊急対策本部は、各省庁の連携を試みたものの、ダンジョンという未知の領域、未知の資源、未知の脅威、そしてそれに伴う社会経済的な混乱への対応は困難を極めた。
特に、ダンジョンから発見された「魔石」がエネルギー源や特殊素材として計り知れない価値を持つことが判明すると、その管理・活用を巡る議論が政府内で活発化した。
経済産業省、特に資源エネルギー庁は、国家経済への貢献を強く主張し、資源開発を積極的に推進しようとした。
しかし、ダンジョンという危険な空間での活動には高度な安全管理、魔物やダンジョン自体の未知の研究、そして探索者の厳格な管理が不可欠であり、従来の資源エネルギー庁の組織構造、専門知識、権限だけでは対応しきれないことが明らかになった。
また、民間の無秩序な魔石取引による価格の乱高下、詐欺、強奪といった犯罪の横行、さらには国家の戦略物資となりうる魔石の海外への不正流出といった問題は、国家による一元的な管理の必要性を高めた。
こうした状況を踏まえ、既存の枠組みを超えた、ダンジョン関連事務を包括的に担う独立した組織の設立が喫緊の課題となった。
様々な名称が検討された末、ダンジョン資源の「開発」と「管理」という二つの柱を明確にし、包括的な機能を持つことを示す「異次元資源開発管理庁」として設立される運びとなった。
異次元資源開発管理庁は、内閣府の外局として設置され、政府横断的な重要課題であるダンジョン対策において、企画立案、法整備、執行を一元的に担う強力な権限を持つ。
経済産業省(特に資源エネルギー庁の関連部署)、内閣官房の対策本部、文部科学省の研究部門、警察庁、厚生労働省など、関係省庁から関連部署や専門人材が集約される形で発足した。
これにより、従来の縦割りを排し、安全確保と資源活用の両立を追求する体制が構築された。
ただし、設立後も経済産業省との連携は深く、その政策や意向が庁の運営に一定の影響力を持つ構造となっている。
□ 使命
国民の生命、身体、財産をダンジョンの脅威から保護しつつ、ダンジョン資源の適正な管理、研究、開発、活用を推進することにより、国家の安全保障と経済発展に貢献すること。
□ 内部組織
1. 長官官房:
・総務課: 庁全体の総括、人事、秘書、広報、文書管理、情報公開に関する事務を担う。
・会計課: 庁の予算、決算、調達、会計監査に関する事務を担う。
・企画法務課: 庁の政策企画立案、関係省庁との総合調整、重要政策の推進、及び庁が所管する法令の審査・立案、法務相談、訴訟対応に関する事務を担う。
・国際課: 海外のダンジョン関連情報機関との情報交換、国際協力の推進、国際会議への参加、関連条約に関する事務を担う。
2. 安全管理部:
・安全企画課: ダンジョン探索に関する安全ルール長官官房、ガイドライン、標準装備基準の策定・見直し、事故防止のための啓発活動、倫理規定に関する事務を担う。
・探索者管理課: 探索者の登録・ライセンス(国家資格)付与・更新・取消し、ランク認定試験の実施、ランク制度の運用、ランクに応じた探索可能階層の管理、探索記録の管理に関する事務を担う。ライセンス付与・更新・取消し、ランク認定においては、後述の探索者ライセンス等審査会と連携し、その答申に基づいて最終決定を行う。
・危険度評価課: 研究調査部からの最新情報や事故報告等を基に、ダンジョン各層、各エリアの危険度レベルを評価し、探索可能なランクや立ち入り制限区域を設定する。
・救助・災害対策課: ダンジョン内での事故発生時の救助計画の策定、関係機関(警察、消防、自衛隊、海上保安庁等)との連携調整、広域災害発生時(スタンピード等)の対応計画の策定、及び事故原因調査に関する事務を担う。
3. 資源開発部:
・資源開発企画課: ダンジョン資源(魔石、素材等)の長期的な開発戦略、採取計画、活用促進策の企画立案、関連産業育成に関する事務を担う。
・資源採取管理課: 企業や団体への資源採取ライセンス付与の審査(許可には探索者管理課のランク制度や安全基準遵守が条件となる)、採取活動の監督、採取量の管理、環境影響評価に関する事務を担う。
・資源流通管理課: 魔石を含む採取された資源の国家による一括買取制度の運用、適正な買取価格(市場価格や品質基準に基づき決定)の決定、品質評価、保管、及び企業等への売却・供給管理に関する事務を担う。資源の不正取引等については、警察庁と連携して監視・取り締まりを行う。
4. 研究調査部:
・基礎研究課: ダンジョンの地形、構造、生成・消滅メカニズム、魔力等の未知のエネルギーに関する基礎研究を推進する。
・生命体研究課: ダンジョンに出現する魔物(異種生命体)の生態、能力、危険性、分類に関する詳細な研究を行う。
・資源分析研究課: 採取された魔石やその他資源の化学組成、物理特性、潜在的な応用可能性に関する高度な分析研究を行う。
・技術開発課: 安全な探索技術、効率的な資源採取技術、ダンジョン資源を活用した新技術(エネルギー、素材、医療等)の研究開発を担う。
5. 情報管理部:
・情報企画課: 庁全体の情報管理戦略、システムの企画・開発・運用、サイバーセキュリティ対策に関する事務を担う。
・情報分析課: 探索者管理課からの探索記録、救助・災害対策課からの事故情報、資源流通管理課からの取引情報、研究調査部からの研究データ等、ダンジョン内外の関連情報を一元的に収集・分析する。安全管理や資源政策の意思決定に必要な情報を提供するほか、異常事態の早期検知に努める。
・広報課: 記者会見、ウェブサイト、SNS等を通じたダンジョン対策に関する政府の方針、危険情報、研究成果等の情報公開、国民への周知活動を行う。
6. 監査委員会:
・庁の業務執行全般、予算執行、職員の服務規律について、外部の有識者や専門家(会計士、弁護士等)を含む委員で構成され、独立した立場から監査・検査を行い、改善勧告等を行う。
7. 探索者ライセンス等審査会:
・探索者管理課からの申請に基づき、探索者ライセンスの新規付与、更新、取消し、及びランク認定について、学識経験者、熟練探索者代表、安全管理専門家等の外部委員で構成される第三者機関として専門的かつ公平な審査を行い、その答申を長官に行う。
8. 施設等機関:
・探索者研修所: 新規探索者、ランクアップを目指す探索者、及び庁職員に対する研修を行う施設。ランク制度と連動した実践的な研修プログラムを提供し、探索者のスキル向上と安全意識の徹底を図る。ランク昇格の条件として研修受講を義務付ける場合がある。
・異次元資源開発管理庁研究所: 高度な研究開発や分析を行うための専門研究機関。
・安全装備認証センター: 探索装備の安全性、耐久性、性能に関する試験・認証を行う機関。ここで認証された装備が標準装備基準を満たすものとされる。
9. 地方支分部局:
・〇〇ダンジョン支局: 各主要ダンジョンまたは複数ダンジョンを管轄する地域に設置される地方組織。現場レベルでの安全管理(ゲート周辺警備、立入規制確認)、探索許可証の提示確認、軽微な安全ルール違反への指導・警告、魔石等資源の一次買取・集積、地元住民や関係機関との連携、及び探索者ライセンスの申請受付・一次確認(審査は本庁へ送付)といった事務を担う。
□ 関係省庁との連携
・警察庁: ダンジョンゲート周辺の治安維持、ダンジョン関連の犯罪(不正取引、無許可探索、危険行為等)の捜査・取締り、及び救助活動における現場での連携。
・経済産業省: ダンジョン資源を活用した新規産業の育成、既存産業への応用、エネルギー政策との連携。資源採取ライセンスの付与基準や条件設定において、経済産業省の産業振興政策との整合性を図る。
・文部科学省: ダンジョンの科学的・学術的研究に関する連携、研究成果の共有。
・厚生労働省: 探索者の健康管理(定期健康診断の義務化等)、労働安全衛生基準の適用、労災補償制度に関する連携。
・国土交通省: ダンジョン周辺のインフラ整備(道路、交通)、災害対策(スタンピード発生時の避難経路確保等)に関する連携。
・防衛省: 大規模なスタンピード発生や国家的な危機に際し、自衛隊の投入判断や連携体制を構築する。
□組織図
異次元資源開発管理庁 (IR-DMA)
└┬ 長官
├長官官房
│├総務課
│├会計課
│├企画法務課
│└国際課
├安全管理部
│├安全企画課
│├探索者管理課
│├危険度評価課
│└救助・災害対策課
├資源開発部
│├資源開発企画課
│├資源採取管理課
│└資源流通管理課
├研究調査部
│├基礎研究課
│├生命体研究課
│├資源分析研究課
│└技術開発課
├情報管理部
│├情報企画課
│├情報分析課
│└広報課
├監査委員会(独立機関)
├探索者ライセンス等審査会(独立機関)
├施設等機関
│├探索者研修所
│├異次元資源開発管理庁研究所
│└安全装備認証センター
└地方支分部局
└〇〇ダンジョン支局(各地に設置)
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