設定:日本政府の4年間の動き
ダンジョン出現後の日本政府は、未曽有の事態に対し、試行錯誤を繰り返しながら対応組織を構築し、資源としての魔石の価値を認識し、国家管理へと舵を切り、安全対策と資源開発を両立させようと努めてきた。
この4年間における政府の主な動きを以下に記す。
□ ダンジョン出現後0~3ヶ月:混乱と初期対応、資源活用の萌芽
・ダンジョン出現直後、内閣官房主導で緊急対策本部が設置され、各地のダンジョン入口の封鎖、情報統制、初期調査が実施される。
・この頃、ダンジョン内部から未知の鉱物やエネルギーを持つ「魔石」が発見される。その価値や用途は不明確であり、一部の探索者や関係者が個人的に収集・売買を開始する。
・政府はダンジョンの安全確保と情報収集に注力しており、魔石の取引については静観する姿勢を取る。
・経済産業省が、ダンジョンから得られる可能性のある資源(魔石含む)に関する調査を開始する。
・文部科学省が、ダンジョンの科学的分析と並行して、資源の学術的価値を調査する。
□ ダンジョン出現後4~12ヶ月:「異次元資源開発管理庁」発足、魔石の戦略的価値認識
・経済産業省が中心となり、資源活用に関する専門家会議を設置。これに伴い、魔石の価値認識が進む。
・文部科学省の研究調査局による魔石の分析が進み、エネルギー源、特殊な素材、触媒など、多様な用途を持つ可能性が示唆され、戦略物資としての重要性が認識され始める。
・民間の買取業者が現れ始め、探索者から安価で魔石を買い取り、高値で転売するなどの事例が発生。価格の乱高下や、詐欺、強奪などの犯罪も散見されるようになる。
・経済産業省が、資源活用に向けた初歩的なロードマップと関連法規の検討を開始する。
・内閣官房が、資源活用と安全対策の両面を考慮した基本方針を提示する。
・経済産業省が、資源開発に関心のある企業や団体との意見交換を開始する。
・民間の魔石取引の混乱や、海外への不正流出の懸念が高まり、政府内で国家による管理を求める声が強くなる。
・内閣官房が、安全対策と資源活用を両立させるための組織体制の検討を開始する。
・ダンジョン対策省(仮称)の設立議論において、経済産業省が資源活用(魔石含む)を強く主張。安全性を重視する他省庁との間で調整が難航する。
・最終的に資源活用を前面に押し出しつつ、安全対策も含む「異次元資源開発管理庁(IR-DMA)」の名称で合意形成。設立準備が本格化する。
・異次元資源開発管理庁(IR-DMA)が発足。経済産業省の資源エネルギー庁の関連部署と、内閣官房の対策本部の一部、文部科学省の研究部門などが統合される。初代長官には経済産業省出身の資源開発に積極的な官僚が就任する。
・庁内に資源開発推進部と安全対策部が設置される。
□ ダンジョン出現後2年目:資源開発の段階と安全管理の強化、魔石国家買取制度の検討と民間規制強化
・異次元資源開発管理庁主導でライセンスを取得した企業によるダンジョン内の資源調査・採取が限定的に開始される。これには魔石の採取も含まれ、経済効果への期待が高まる。
・安全対策部が探索者の装備標準化、安全ルールの策定を急ピッチで進める。
・警察庁、防衛省との連携によるダンジョン周辺の警備体制が強化される。
・民間の魔石取引の混乱が継続し、国家による買取制度の検討が本格化する。異次元資源開発管理庁内に専門チームが設置され、買取価格、品質評価基準、取引方法などが議論される。
・民間の魔石取引に対する規制が段階的に強化される。無許可の買取業者への罰則、探索者への売却ルートの制限などが導入される。
・探索者団体や民間の買取業者からの反発もあったが、戦略物資としての重要性や、市場の安定化、犯罪抑止などの大義名分の下、政府は国家による管理を推し進める。
・資源開発の初期段階で探索者の死亡事故が発生。安全対策の重要性が改めて認識される。
・異次元資源開発管理庁が、安全管理体制の強化とライセンス制度の見直しを行う。
・文部科学省が、ダンジョン資源の潜在的な危険性に関する研究結果を発表。安全対策への警鐘を鳴らす。
□ ダンジョン出現後3年目:資源活用本格化と安全対策の推進、ランク制度の設計・準備
・安全対策が一定レベルに達したと判断され、異次元資源開発管理庁による資源開発が本格化。関連産業が成長を見せる。これには魔石の採取も含まれる。
・厚生労働省が、ダンジョン探索者の健康管理に関するガイドラインを策定する。
・異次元資源開発管理庁主導による魔石の国家による買取制度が本格的に運用を開始する。
・全ての探索者は、ダンジョンで採取した魔石を異次元資源開発管理庁の指定する窓口に売却することが義務付けられる。
・買取価格は、魔石の種類、品質、含有エネルギー量などに応じて国家によって定められる。民間の魔石取引は原則として禁止される。
・ダンジョン由来の資源(魔石含む)を活用した製品や技術が登場し始める。経済効果が徐々に現れる。
・異次元資源開発管理庁内に、資源の不正取引や安全ルール違反を取り締まる専門部署が設置される。
・国際的なダンジョン資源を巡る動きが活発化。異次元資源開発管理庁が、国際的な情報交換や交渉の窓口となる。
・無謀な探索や事故の増加に対応するため、探索者の能力に応じた活動制限を設ける「探索者ランク制度」の設計、法整備、及び運用体制の準備を開始する。制度の方向性や評価基準について関係各所との検討を進める。
□ ダンジョン出現後4年目:資源依存と新たな課題、安全対策の再評価、ランク制度本格運用開始
・ダンジョン資源(魔石含む)が国家経済の重要な柱の一つとなる。依存度が高まる一方で、資源枯渇のリスクや価格変動への懸念も生じる。
・異次元資源開発管理庁が、長期的な資源戦略と持続可能な開発計画の策定を開始する。
・深層探索で未知の脅威が出現。現行の安全対策の限界が露呈し、再評価の必要性が高まる。
・資源開発の恩恵を受ける企業と、そうでない企業との間で経済格差が拡大。社会的な不満が高まる可能性が生じる。
・異次元資源開発管理庁が、安全対策技術の研究開発を強化。文部科学省や研究機関との連携を深める。
・国際的なダンジョン資源を巡る緊張が高まり、異次元資源開発管理庁が外交交渉の重要な役割を担う。
・検討と準備が進められてきた探索者ランク制度の運用準備が完了し、既存探索者への暫定ランク付与通知、及び本ランクへの移行プロセスの開始を含む本格運用が始まる。これにより、探索者活動に対するより具体的な管理と安全対策が強化される。
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