『たがための年金術士』 2


 『む。みえました。……… なんだ、これは?』


 不気味な物体である。


 察知した物体が、なんであるかを見抜くには、それなりのテクニックと、多少の才能も必要である。


 しかし、これが、生き物ではないことは、明確だった。


 木の箱の中に何かが納められているのは間違いがない。


 その中身は何か?


 遺体とかではない。


 臭気がまったくないのである。


 しかし、なぜだか、人の形をしている。


 人形か?


 違うな。


 年金術士は、物体の触り具合が分かる。


 これは、金属だ。


 だいたいの重さも推測できるが、持ち上げたりはできない。


 これは、かなり重たいな。


 しかも、熱が伝わりやすいとみた。


 滑らかで、いささか、柔らかい。


 金だ!


 金にちがいない。


 大変なものを見つけてしまったかもしれない。


 ぼくは、無線を使った。


 『あー。先輩。ちょっと来てもらえますか?』


 『わかった。金か?』


 『たぶん。』


 『ふっー、ふっふっふっ。すぐ行くから、逃げるなよ。』


 『逃げませんよ。またく。』




       🥇


















 


 

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