『たがための年金術士』

やましん(テンパー)

『たがための年金術士』 1


 国家年金術士は、『年金』の資金を調達するのが役割の職業である。


 それも、通常の政府の活動以外の資金を集めるのだ。


 一般には立ち入りできないような場所でも、強制的に入る権限があり、私有財産と確認できない隠された財源を掘り起こして、年金やその他社会保障の財源に当てるのである。


 まあ、平たく言えば、公的なお宝ハンターに当たると言える。


 ただし、様々な法律をかいくぐる必要もあるし、堀当てるには、様々な、秘術を行使することになる。


 だから、その資格を得るのは、司法試験以上難しいとされている。


 その活動は、不正の防止の意味合いもあり、常にふたりで行う。


 また、国家機関や、地方機関の優先位があり、税務が常に一番であるが、実はその上もあった。


 ヤーマ・シンは、ある音大にいたが、特殊な才能があると見抜いた教授の推薦で、年金術士養成学校に入り、昨年試験に合格したばかりの新人であった。天才だが、かなり抜けている。


 アンナ・シマーヤンは、この道10年のベテランで、もと、国立劇場のスター・バレリーナだったが、怪我で道を絶たれたあと、壮絶な奮励努力の末、この世界に入った苦労人である。



 ふたりは、ある日、廃墟と化したホテルに潜入した。


 所有者は行方不明で、所轄の許可は得ていた。


 『ふうん。怪しい香りがプンプンするわね。』


 『さあて、使えそうなものがありますかねぇ。税務当局がありったけ持っていってるでしょう。』


 『まあ、それは当然よ。まずは、タイガー・プーさん大統領の親衛隊もいの一番に捜索したにちがいない。でもね、そこからお宝を見つけ出すのが、私たちの仕事なんだから。』


 『まるで、中世ですね。やはり。ねこそぎ、国がもって行く。』


 『あなたは、頭はいいけど、一言多いから、嫌われるよ。ま、貴重な存在ではあるけど。じゃ、やるわ、あなた、下に行きなさい。わたしは、上。』


 『はいはい。』


 『はいは、一回。』


 『はい。はい。』


 

 ふたりは、上層階と、地階に分かれた。


 やることは、同じである。



 深く呼吸をし、体内のエネルギーを集中化させる。


 あらゆる感覚機能を一体化させ、お宝のありかを関知するのである✨


 両手の指を合わせて、ありったけの年金有価値物探索波長を展開するのだ。


 『ふう。やります。ねんきん〰️〰️〰️〰️🙏』


 館内のあらゆる物質が感じられてくる。


 ぼやっとしていたものが、次第に明確になる。


 価値の有り無しを瞬時に見いだすのが、年金術士の力量でもある。

 

       🏠️👣🌳🧰🗑️🧸


 


  


 

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