『たがための年金術士』 3


 『こわわっ! これは、旧政府埋蔵金かあ?』


 アンナ・シマーヤンが小さく叫んだ。


 『ぼくも、そう、思いました。毛俳井ゲハイ元首相が、タイガー・プーのクーデター前に、密かに隠したという旧政府埋蔵金。』


 『たしかに、一つではないようだな。』


 『重なっていますね。上からみたら、一つに見えるが、相当数が累積しているようです。』


 『うむ。正確には掘らなくてはなるまいな。』


 『しかし、タイガー・プー親衛隊が知っていたら、あるわけがないですね。』


 『こいつは、探知機に掛からないようにされているが、年金術士の目は、ごまかせなかったわけよ。まあ、しらんぷりはできまいし。横領もできない。プライドにかかわるからな。』


 『もちろん。ふたりで、山分けしますか?』


 『あほ。』


 『でも、こいつは、うっかり報告したら、命無いですよ。タイガー・プーは、甘くない。すぐに、口を封じに掛かるでしょう。』


 『まあ。そうだな。親方さまに伝えるしかない。任せるしかない。』


 『そうですね。ほかに、道はないですね。』


 親方さま、とは、年金術士を束ねる長である。


 ただし、組織のなかでは、必ずしも高官というわけではなく、現場の大将である。


 『年金省』本省では、係長クラスであり、タイガー・プー大学を出たエリートならば、3年で越えてしまう。


 しかしながら、あえて、争いを持とうという人は、まず、いない。


 命がいくらあっても足りないからである。


 親方さまの力は、尋常ではないのだ。


 タイガー・プーさんも、簡単には手を出せないでいるらしいし、味方に付けておいた方が得策である。



           🍨



















 

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