第14話
気持ちよかったけど、終わった後に後悔した。
食堂にあんなに人がいて、しかも動画まで撮られてたら、もうほとんどカミングアウトみたいなもんだよね。
呆然と前に歩き出したら、坂本が急に強く引っ張ってきて、振り返った。
真剣な顔で言ったんだ。
「みんなの前でキスしたんだから、童くん、責任取る気ないの?」
顔が真っ赤になって、小声でつぶやいた。
「もう、調子に乗らないでよ…」
そしたら急にあの子のこと思い出して、坂本にパンチをお見舞いした。
「説明してよ!」って。
坂本が言うには、去年の夏休みに家に来た親戚の女の子で、ずっと後ろにくっついてたらしい。
俺はその時実家にいて、帰ってきてから母親に聞いたんだ。
最近彼女が坂本に何度もLINEしてて、うっとおしくてブロックしたんだけど、なんでか学校まで来ちゃったらしい。
話し終わらないうちに、理沙ちゃんから電話がかかってきた。
「悠真、ごめん!真由と同じ寮でさ、つい君と坂本のこと話しちゃって、彼女に写真見られちゃった……動画も見たの。彼女が坂本好きだなんて知らなかった、ごめんね……」
ああ、原因これか。
その時、坂本が外から「携帯鳴ってるよ」って呼んだ。
俺は風呂場で泡まみれの頭のまま、「出て取って」って頼んだら、出たら犬野郎が動画見てた。
動画には、坂本の指の骨がはっきりわかる手が白い布を持ってる。
くそ、前に証拠を撮ろうとして精神的に参って、削除するの忘れてた!
坂本が近づいてきて、ドアに押し付けられて、優しい口調だけど目が食い入るように俺を見て。
「説明しないの?」って。
顔が熱くなって、怒って押し返した。
「お前が説明しろよ、なんで俺の……俺の……あんなこと持ってんだよ!」
手を掴まれて、温かい唇がそっと触れた。見上げると、
「どんなこと?これのこと?」って。
彼が近づいてキスしようとしたから、もう抵抗できなくて、嫌いじゃないし、諦めて目を閉じた。
そしたら坂本のセクシーで気持ちいい笑い声が聞こえてきて、目を開けると、得意げに笑ってる。
もう最悪だ、この犬野郎、いい思いしたくせに!
俺は両手で後ろの首を掴んで、ガブリと噛みついた。
ざまぁみろ、悪党め!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます