第41話 ミズホと牢屋の出来事
私は今、牢屋の中に閉じ込められている。
……って、いやいやいや!何も悪いことしてないのに!?
「だーかーらー、私はホーリーライトなんかの関係者じゃないってばー!」
必死にアピールしてるけど、見張りの兵士は石像みたいに無反応。
ちょっとくらい「ふーん」とか「そうなのか」ってリアクション欲しいんだけど!?
◆
ことの発端は、クロが精霊界に行った直後のこと。
エリーと二人でギルドを目指して歩いてたら、モンスターの群れに囲まれてピンチになってる剣士の女の子に出会ったの。
私たちと同じくらいの年頃で、すっごく必死に剣を振るってた。
「うわ、数多すぎ!エリー、手伝おう!」
「もちろん!」
私たちはすぐに加勢して、その場のモンスターを一掃!
いや~、やっぱり二人で戦うと最強だよね、私たち!
「ふーん、アンタら強いのね。この辺りじゃ見かけない顔だけど、何者?」
ふふん、そう聞かれちゃうと名乗りたくなるじゃない?
だから、理事長にもらったギルドの推薦状を取り出そうとした瞬間――
ポトリ。
「あっ」
うっかり落としちゃった。
で、それを拾い上げた彼女が言った言葉が最悪だった。
「アンタら……ホーリーライトの者なの!?」
「え!?いや、違っ――」
「みんな!敵が現れた!」
うそでしょ!?まだ説明もしてないのに!?
気づけば、ぞろぞろと彼女の仲間らしき兵士たちが現れて、あっという間に私とエリーは取り囲まれていた。
「ちょっ、待って!違うってば!私たちは――」
「黙れ!縄を持ってこい!」
そして気づけば、エリーは手首だけを縛られてるのに、私は全身ぐるぐる巻きに。
「ちょ、ちょっと!なんで私だけミノムシ状態なの!?」
「お前の方が明らかに強そうだからな」
「そんなぁぁぁ!?」
エリーと私、そこまで力の差ないはずなのに……。
いや、確かにエリーを怒らせた時は、私も震えるくらい怖いけど。
――って今それ考えてる場合じゃない!
そのまま私たちは彼女たちの拠点らしき村に連行され、私は牢屋に放り込まれた。
こうして現在に至るわけです、はい。
◆
「ねーねー、私、ホーリーライトとは無関係だよ?ユー、アンダースタン?」
牢屋の前に立ってる見張りに、何度も訴える私。
でも反応ゼロ。ちょっとくらい首かしげるとかしてほしいんだけど!?
牢の鉄格子もそんなに頑丈そうじゃないし……。
魔法でぶっ壊して脱走してやろうかと、何度思ったことか。
でも、エリーは今どうしてるんだろう?
なんで私だけ牢に入れられて、彼女は外にいるの?
納得いかないんだけど!?
そんなことを考えていたら――
ガチャ。
牢屋の鍵が開いた。
入ってきたのは、例の剣士の子と……エリー!
「えっ、あれ?もしかして、出ていいの?」
私が首をかしげると、その剣士の子は――
バサッ!
突然、勢いよく地面に土下座した。
「この度は誠にすまねえことをした!この通りだ!」
「……へ?」
まさかの展開に私も固まる。
いやいや、そんなにガッツリ謝らなくても!?
横を見ると、エリーがニコッと笑っている。
……いや、笑っている「ように見える」んだけど、目が全然笑ってない。
「ミズホ。彼女にきちんと話をして、理解してもらったわ。だから、もう自由よ」
「え、ええ……そ、そうなんだ」
その声は優しいけど、背後に冷気みたいなオーラを感じる。
エリー、いったい彼女に何をしたの……?
私は心の中でそっと決めた。
――しばらくの間、絶対にエリーには逆らわない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます