世界は１mmも変わらない

バブル時代に生まれ落ちて

年々冷え込んでゆく景況の中に育った

親がかりで消費し続ける事から

バイトで労働をする事を覚え

立派とは到底言えない

労働者となった

対価として得たいくばくかのお金の中から

家賃払って納税してまた消費

そんな事を繰り返しているうちに

体の具合が悪くなって医療費払って

最後は葬儀？

ま、その費用が遺せればだけど……

その間に他の個体とくっ付いたり離れたり

でも細胞分裂には至らなかったな……

カラオケで楽しい思いをした事もあったけど

大抵は声に出せない

苦しい叫びを上げていた

こんな私が

生きている証を残そうと

儚い世に爪を立ててみても

泡沫（うたかた）の夢にさえならない

当たり前か

私は……

“経済”の様なデッカイ泡ではないし

世に生れ出たブクブクの泡の中でも

どうやら出来が悪いらしい

私の泡が弾けても何も変わらない

私では世界は１mmも変わらない