第3話「彼女はバレリーナ」

遠くにゆらゆら動く白いものが見えました。

ヒャクは目を凝らしました。

「女性だ!」

思わず靴を脱いで泉に入りました。


水浴びじゃありません。

泉の深い方に歩いて行きます。

ヒャクは髪の長い女性の背中を追いかけました。

彼女はもう肩まで水に浸かっています。

「おい、待てよ!」


自殺?という言葉が頭をよぎりました。

この泉で、女性が失恋を苦に自殺を図ったという話を兄から聞いたことがあるのです。


やっと女性に追いつきましたが

「ほっといてよ!」

腕を軽く引っ張りると、強い力で拒絶されました。

ヒャクはなだめて、

「まあ、待てよ。岸に戻ろう!話を聞くから」


すごく痩せた女性で、白の花柄のワンピースが濡れてびしょびしょです。

岸に着くとヒャクはタオルを渡して拭くように言いました。


彼女は20歳くらいに見えました。

ポツポツ話始めました。


「私はバレリーナなの。街の劇場で踊ってたの。でも酷い怪我をして、医者にはもう二度と元のようには踊れないだろうと。バレエ団を解雇され、村に戻って来て、洗濯をして生計を立ててる母さんと暮らしてるの。でも食べて行くのがやっとで」

「そうか…」

「私は子どもの頃からバレエをやっていて、他の世界は知らない。バレエが出来ないなら死んだ方がまし。…とにかくお金がないのよ」


ヒャクは正直に言いました。

「金か…俺も残念だがない」


待て?ありゃ何だ?

キラキラ光っている!


それは、コリが受け取らなかった金の斧と銀の斧でした。


(第4話に続きます)









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