9


翌朝…


優希は1番の客室で1人、目を覚ました。


昨夜のことは半分覚えていない。


枕は少し湿っていたが気にしないことにした。


――――――――――


ダイニングにて…


優希「…おはよ」


怜悟「おーっす」


光「おはよー」


詩恵歌「…ぐうペコです」


倉葉「遅いわね、何時だと思ってるのよ」


菜津「揃ったから怜悟、はよめしー」


怜悟「あいよー」


優希「…俺も作るよ」


怜悟「いいから座っとけ」


優希「…おう」


――――――――――


一同「「いただきまーす」」


光「そういや菜津、今日の予定はー?」


菜津「ん?昼前くらいに帰るだけだよ」


怜悟「結局、何のための合宿だったかわかんないな、優希」


優希「…そういや菜津、ここに来た理由、わかったんだけど」


菜津「ん?何が?」


優希「お前、俺に憑いてるからここ呼んだろ?」


菜津「ん?何が?」


優希「………」


菜津「………」


優希「………」


菜津「………」


優希「………」


菜津「……あー、はい」


優希「どうなるかわかってたんじゃねぇの?」


菜津「………」


優希「………」


菜津「………」


優希「………」


菜津「……あー、概ね想定通りです、はい」


優希「………」


菜津「………」


優希「………」


菜津「……わかった、わかりました!

私が悪ぅございました!

ビュッフェ奢るから勘弁してください!」


優希「よっしゃ、言質取った。

みんな、今晩は菜津の奢りだって!」


怜悟「やったぜ」


光「やりー」


詩恵歌「…わくわく」


倉葉「気が利くじゃない」


菜津「はー?全員とは言ってませんー!」


優希「…全員巻き込んどいて?」


菜津「ぐっ…こうなったら自棄だ、やってやろうじゃねぇか!」


怜悟「よ!太っ腹!」


優希「やー、たまにはしおらしくしてみるもんだな」


――――――――――


「やー、痛い出費だったなー」


暗がりの帰り道、菜津はひとりごちる。


「まあ…楽しかったからいいかな」


ふと足を止め、振り返った。


「さあて、何用かな?」


菜津が見る先には何も居ない。


あったのは微かな揺らぎだけ。


「ふむ、一応帰ってこれたんだ?

なら選択肢をあげようかな。


冥界に帰るか、人としてまた生きるか、消えて無くなるか。

どれがいい?」


人気はないが、傍から見たら虚空へ話す危ない人のようだ。


「…へぇ、よほど気に入ったんだね、ユキちゃん。


…さすがにややこしいから名前は少し変えようか。


…いいよ、了承した。

私の権限でその望みは叶えてあげる。

じゃあね、ユキちゃん。

数ヶ月後また会おうね」


そして、天を仰ぐ菜津。


「はぁ、やっぱり面白いね、人って。」


――――――――――

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