第5話
「雑学」という言葉があるが、対義語は何だろうか?
「専門知識」?「実学」?
役に立つのが無駄ではない知識だから、職業を成り立たせて、金銭につながるものは「雑学」とはゆわん。
濫読は、まあ有益な場合もあり、「学習の般化」という現象、脳トレとして読書を推奨する場合は、いろんな知識を吸収するよすがにもなって、一挙両得なのが読書…
ただ、知的な好奇心を満たすためにも、新聞の書評で読んだ本を手に取ったり、「本屋大賞受賞」とかの小説は何となく読むが、実際的な利得とは無縁で、…つまり「知的な娯楽」に、無駄知識を得るという営為を享受する…こういうのも普通に誰でもする。
で、そういうことから、例えば特許を取るようなアイデアが浮かんだりするヒントになるとか、余沢になる尾鰭がつくことは有り得て、ナイチンゲールの伝記を読んで、ナースになろうと思ったり?そういう人生のエポックメーキングにも、読書はいろいろな契機となりうる。
だから、雑学が結果的に豊富なのは、まあIQが高い、有能な資質、そういうことと相関が高そうだ。
で、小説を書く場合には、雑学とかが豊富でないと地の文が貧弱というか、つまらんない感じになってしまう…そういう弊はありそう。
「綿の国星」という昔のマンガの、主人公の猫の飼い主の父親は、小説家なんですが、「弟子入りしたい」と、住み込みでお手伝いさん志願してきた女の子に、「小説家になるのに一番大事なのは何でしょうか?」と聞かれて、「まあ、いろいろと広く浅く物事を見聞きしていたほうがいいな」と、答えていた…
この「パパ」の ”the clitical secret of how to be a novelist”は、 換言すると、「雑学的に知識が豊富なこと」とも、とれる。
「人生のことは小説家に聞け」と、昔はそういう格言もあったらしいし、専門的な本格的な勉強というよりも、たとえば「人生の達人」と言われた、伊集院静、丸谷才一とか吉行淳之介? 渡辺淳一? 全部故人やが、ふつうには作家はそういうイメージで、この連載のテーマでいうと、丸谷氏とかいかにもこういう話題に詳しそう。
雑学がたくさんある、というのはつまり好奇心旺盛、興味の幅が広くて、かつ理解も伴うということで、精神の闊達さとか柔軟さも含意しているはず。
生活で自由になる時間が多いほどに、雑学も増えて、これも相関係数が高そうです。
仕事に打ち込むのも、預金通帳の残高とは正の相関で? いろいろメリットはあるが、小説家見習いで、文名を上げたいというヒトの場合は、暇すぎて総花的にことさら役に立たない本ばかり読み漁っていた時間が、のちのちに役に立ったりして、オレはそういうひきこもりで孤独に悩んで、本に逃避するしかなかった境遇が、逆転的に今は、報われてきているような?そやからとにかく闇雲にでも…
まあ、見習いでしかなくて、到底職業になる見込みは陰謀のせいで無いので、予定調和的に発想するのは千年早いが? こういう雑学脳は、クイズノック・最年長か?w 遅咲きの作家を目指していくしかどっちにせよ道はないかとも思います。
トマスピンチョンとかも、えんえん雑学の羅列みたいな感じもあります…現代小説にはオレは向いている資質かも?
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