第2話 好奇心
秋の爽やかな風が、公園で遊ぶ二人の児童の頭に、ひらりと一枚の葉っぱを落とす。
夢中で遊ぶ6才の男児たちは、公園中を走り回る。
そのまま何も気づかずにいればよかったのに。
「あれ?コウジくん、ここになんかあるよー!」
後方の水飲み場でサッカーボールをリフティングしている友達に呼びかけるユージ。
呼びかけに気づいたコウジはリフティングを中断し、ユージの方へ向かった。
「ユージくん、なにがあったのー?」
興味津々に訊ねてくるコウジに、ユージはベンチの上にある小さな匣を指さした。
「こんなはこ、ここにあったっけ?」
「わかんなーい」
首を横にブンブンと大きく振るコウジ。
ユージは目をキラキラと輝かせながら、
「ねえねえ、このはこ、あけてみよーよ!」
「えーやだよー。なんかこわいー」
「おもしろそーじゃん!」
「こわいよー、ぼく、あっちいってるね」
そう言うとコウジは、走って水飲み場方面へ向かった。
「いいもん、ぼくひとりであけるから」
ユージは少し拗ねた表情を浮かべながらベンチの上にある匣に手を伸ばした。
「開けるな!!!!!」
突然、大きな男の声が耳元で響いた。
ビクッっと体を震わせ、
「だ、だれ?だれなの?」
ユージはキョロキョロとあたりを見回す。
近くに男の姿はなかった。
「へ、へんなの・・・」
ユージはビクビクしながらも、もう一度、匣に手を伸ばす。
「やめろ!!!」
またも男の声が聞こえたため、ユージは驚いて手を止めてしまった。
そのとき、
「おそいよ」
ばくん!
謎の声がしたと同時に、匣は大きく口を開け、ユージの上半身に喰らいついた。
ユージは悲鳴すら上げられず、そのまま匣の中に飲み込まれていった。
「あれ、ユージくん?どこいったのー?」
異変に気付いたコウジは匣のあったベンチに駆け寄る。
だが、そこにはなにも残っていなかった。
また一人、犠牲者が出てしまった。
この匣、キけん也 @barnbornbarn
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