第12話 開始

結果は予想通り獣位の上位15名と俺。つまり実質最強決定戦のようなものだ。

「オオオオッ!」

なるほど、、今回の試合を全員に見せてもう期限は近いという事を伝えるつもりか。

観客席は満員だった。それほど戦いへの執着が高いという事か。

夜考えた。

どう倒すか、、最初は切断しても切断しても倒れない、、強い、、

という風に誘導しようと考えたが、、俺の性に合わない。やっぱり戦わなくては。

それでも本気でやると殺しかねないので、、念のため攻撃力を高める装備は脱いでおこう。それなら大丈夫なはずだ。

「初めィ!」

初めに相対するのはNO.2の大物。バーン。

手始めに4倍程度でいこう。

バシュッ!

「やっぱりゾンビは突っ込むしか脳がないねぇ」

来たるその斬撃、、が俺の剣術レベルは10だ。

「キンキンッ!」

「なっ」

さて懐に入った、、後は一撃、、

「ファイヤー」

「!?」

ボォッ!

魔法を使える事を忘れていた、、失敬失敬、、

「今がチャンスだな」

と詰め寄ってくる青年、、切る切る切る切る、、

「再生が早過ぎるッ!」

「どうも」

10倍。

「オラッ!」

「ガッ!」

防御で一撃耐え切る。が膝をつく。

「クソが」

「終わりだ」

15倍。

ザシュッ、、といく寸前で刃を止める。

「勝者!ゾンビッ!」

「おおおおおおおおおっ!」

これじゃあ先が追いやられる。120が上限なのに、、な。

「くぅーッ」

さてさてNO.2を倒せば決勝までは余裕。問題はNO.1だ。

「決勝ッ!」

コツコツコツ、、

「絶対戦いたかっただけでしょうに」

「我が村の村長マルベンーッ!」

「ワアアアアアッ!」

これまでで一番の歓声だ。

「いつもなら試合にならないが、、お前となら期待できそうだ」

「光栄です」

俺もメインはこの人だけどな。

全員が見守る中試合が開始する。

「!?」

マルベンは消えた。

ザッ

その途端体が切断された。

「もう一げ、、っともう再生しているとは」

「、、、」

スピードタイプ。俺の一番苦手なタイプだ。

防御力上昇、、上限まで上げよう。

マルベンは消えた。そしてその剣は体を狙い真っ直ぐ進んだ。

0.1秒。固くした体も彼にしてみれば序の口、、の筈であった。

「ぬっ」

だがその0.1秒で体が再生するのには十分だった。

「くっ」

勢いが無くなり体の内部で刃が止まる。

「喰らえ」

20倍。

「オオオオオッ!」

その瞬間彼は吠えた。

「来たぞッ!」

それこそが獣人の特徴。獣化。

ゾンビの刃が彼の体を掠める瞬間、彼は一瞬にして剣諸共ゾンビを切り裂いた。

「武器は破壊した。終わりだ」

ゾンビはしつこい。だからこそ、、何度も攻撃する必要がある。

「なっ」

が既にゾンビの体は完全に再生し肉の剣を作っていた。

「30倍ッ!」

「ぐっ」

バコンッ!

相手は防御に徹し防ぐがバランスが崩れる。

「一振り」

ブンッ!

風を切り彼の首に触れた瞬間終了の笛がなろうとした。

「、、、マジですか」

が、、その瞬間には獣の手が腕を切り裂いていた。

「さて、、終わらせよう」

ザシュッ!

獣は完全にゾンビを潰したつもりであったが。

「残念でしたね」

ゾンビは彼の背後にいた。

ブンッ!

「負けだ」

そこでようやく決着がついた。

「オオオオオオオッ!」

これまでチャピオンであった彼が負けた。それは多くの者に衝撃を与えた様だ。

「ゾンビ単体は弱いというのは迷信だったようだッ!」

と実況が叫び盛り上がる中村長だけは冷静にこちらを見ていた。

「あれは、、どうやったのかな?」

「ああ、、」

そう言われて指を見せる。

「指が、、ない?」

「そういう事です」

俺は指を細かく切り裂き会場内にばら撒いた。

通常なら再生し切られた指は消滅してしまうが敢えてその再生を止めて残したのだ。

そして体が粉々になった瞬間、その指のかけらから即時再生し裏をかけるわけだ。

魔力は使うが0になるよりはマシだ。

「いや、、そんな事ができるとは」

これもロードになった事による物だろう。

昨日、1デスしてから対策を考えていたのだ。

「おめでとう、民の信用は君の物だ」

最後に村長になるかと聞かれたが流石にお断りした。

---

その占いの日まで残り2日と迫るなかある少年が俺の元を訪ねてきた。

「この子が俺の息子のルークだ」

活気に満ち溢れている。

ブンブンと尻尾が揺れている。確か喜びの表しだったか。

「迷惑なのは承知の上だが、、もしこの件が終わればこいつを連れて行ってくれないだろうか?」

どうやらルークは今日の試合を見て自分について行きたいと強く願ったらしい。

「私も年だからきっと若い奴らに倒される、、その場合標的にされる可能性がある」

と小さく耳打ちをした。

「それもあり頼みたい。ある程度で良いのだが、、」

1人での戦いに飽きて来た所だったから丁度いいかもしれない。

「じゃあそれで」

「ありがとう」

「やったーっ!」

、、、だがこれもその戦いが始まってからだ。

今の力で、全員を守れるかどうかは分からない。

「、、、さて上げますか」

迷っていたが今上げても後悔はないと思う。

---

そして当日。その日がやってくる。

全員が上空をじっと見つめる。どうやら空からやってくる様だ。

とは言っても殆どがのんびりとしていた。今で3時間。そろそろ来て欲しい所だ。

「カンカン!」

鐘の音が響く。何かが来たのか?

その途端声が聞こえる。

「何事だッ!?」

「ゴブリンの群れです!」

「なっ、、」

そこに駆けつけた俺たちは驚愕した。

数にして1万

目が赤い、、という訳は催眠状態にある。1万体以上のモンスターを操るとなれば相当な魔力量が必要、、

「キャキャキャッ!」

そして灰色の雲に包まれ上空から緑の老婆が顔を出す。

ピシャッ!

その雷は戦争の開始を告げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る