獣人の村
第11話 獣人
「えっと、、どうも」
「ゾゾゾ、、ゾンビーッ!」
逃げられた。と思えばその声を駆けつけ何人かの者達がゾロゾロと近寄ってくる。
あれ、、よく見たら頭にケモ耳がついてる、、まさか、、
「獣人か」
「その通りだが、、貴様は?」
明らかに怪しんでいる様子。確かに上空から落ちてグシャグシャになって生き返ったら誰でも怪しむ、、いや怖がるな、、
「えっと、、」
あの人も見ているし言い訳はできない。
「ゾンビです、、」
「ゾンビ、、なぜゾンビが意識を?そもそも本当にゾンビなのか?」
ザシュッ!
と自身の腕を切り裂きそれが元通りに戻っていく。
「ゾンビなのは分かったが、、なぜゾンビが意識を持っている」
そこまで言う必要があるかな、、面倒ならまた投げて逃げてしまおう。
「村長、、まさかですが、、」
「ぬ?」
ある青年の獣人は村長と呼ばれた老人に何かを耳打ちする。
「ぬ、、確かにこの頃と言っておったな」
とそれに納得したのか頷きこちらに向き直す。
「ちょっと来て頂けないだろうか?」
知らない人について行っちゃダメだけど、、
興味本位に俺はその老人について行った。
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「なんで人間がここに居るんだ?」
俺は獣人の集落までやってきた。早速獣人達は俺を興味本位に見てくる。
「ここに」
藁で引かれたカーテンを潜るとそこには机と椅子が置かれている。
「こちらへ」
俺が座った後彼らは老人の後ろに立った。
老人は机を挟んだ反対の椅子に腰掛ける。
「私は尊重のマルベン。ここまで足を運んでいただき感謝する。この者達は念の為ここに居座る事になるがよいか?」
「大丈夫です」
「それはよかった」
彼はにこやかに笑う。
「それで本題であるが、、」と1冊の本を机の上へ出し、ページを開いた後こちらに向ける。
「これは?」
「ある獣人の占い師が残した書だ」
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ある特別な体質をもった変異型のモンスターがこの村へ現れた時、魔女がここへ来るであろう。
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「変異型モンスター、、そして年代。そこから私達はそのモンスターが其方であると感じたのだ」
「多分そうだと思います」
その後にも綴られている。
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そのモンスターと共にその魔女を滅ぼす。それこそが生き残る最適の方法である。
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と書かれているが正直占いは占い。実際に信じるかと言われると、、悩む所だ。
「これを書いた者はこれまでも予言を百発百中しているためこの村の民の殆どはこの占いを信じている。だからこそその時が近づく今、民には恐怖が植え付けられている」
「それでどうしたら、、」
「村の兵士達にこの事を伝える。その証拠として先程のような事をして欲しい、、当然報酬は大きいと思うぞ」
最後の言葉に引っ掛かったが、困っている者達を見捨てるという選択肢は俺には生憎持ち合わせていない。
「分かりました。やりましょう」
早速今日の集会で俺は紹介される事になった。
「そう言えば俺が死んだ姿を見てもあの人はあまり恐怖を感じていませんでしたが、、」
「モンスターとはよく戦うからな、血には十分に慣れておる」
そんな獣人族なら正直魔女なら倒せそうだけどな、、
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ざわざわとしている。
「沈まれいッ!」
という一括で当たりが静まる。
「お前達はあの占いを知っているな?あの魔女の伝えだ」
ざわざわとする。有名な話なのか
「知っている者もいるやもしれんがそれに書かれていた1人のモンスターが来たッ!それがこいつだ!」
と俺はその場に上がる。
「あ?人間じゃねぇか、、」
ジャッ!
そう怪しむ者達の前で腕を切断する。
「おおっ」
そしてそれが再生したことで納得した様だ。
魔法以外で再生できるのはゾンビだけだからだろう。
「こんにちは、、」
「見ての通り知能もある。これは変異型モンスターと見ても良いだろう」
んーやっぱり怪しむ者がいるよね。
そりゃゾンビと共闘とか、、俺聞いた事がないもん。
普通変異型モンスターといえば知能をもった大狐とかがメジャーだもんな。
「というかゾンビが戦えるのかよ?」
「「「確かに確かに!」」」
それはそうだよね、、ゾンビって普通大勢でやってくる物だから。
「なら戦えッ!」
村長はこれを予想していた。
獣人は戦いで位を決める種族。何よりも戦いが一番の種族なのだ。
「占い通りならここから3日後が魔女が来る日ッ!その3日間を使い大会を開くッ!」
「おおおおおおッ!」
「エントリー人数がこのゾンビ含め16名ッ!多ければ獣位順で決めるッ!」
獣位とは獣人のランクであり強さであるらしい。
「では!明日を楽しみにしている」
そして俺は獣人の戦いに参加する事となった。
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