概要
何進の孫にして曹魏の貴公子、何晏――鏡に映るは絶世の美か、破滅の影か。
中国の三国時代における魏の正始年間。類稀なる美貌と才知に恵まれた何晏(かあん)は、五石散の酩酊の中で、自らの破滅と、それを引き起こすであろう司馬懿の影を幻視する。
何晏は大将軍・曹爽の下で権勢を振るい、玄学の旗手として「正始の音」と呼ばれる知的・文化的な潮流を牽引する一方で、その内面では過去の冷遇による鬱屈、美への異常な執着、そして五石散がもたらす過敏な感覚と刹那的な快楽への渇望を抱えていた。
しかし、五石散の幻覚は日に日に鮮明となり、司馬懿の影は何晏の心を蝕んでいく。何晏の華美な生活や好色な噂は政敵に利用され、親友からの忠告にも耳を貸さず、次第に孤立を深めていく。
曹爽政権の腐敗と弛緩が進む中、何晏の理想と現実の乖離は決定的となり、彼の信じる美と理は、冷徹な現実を前にして、もろくも崩
何晏は大将軍・曹爽の下で権勢を振るい、玄学の旗手として「正始の音」と呼ばれる知的・文化的な潮流を牽引する一方で、その内面では過去の冷遇による鬱屈、美への異常な執着、そして五石散がもたらす過敏な感覚と刹那的な快楽への渇望を抱えていた。
しかし、五石散の幻覚は日に日に鮮明となり、司馬懿の影は何晏の心を蝕んでいく。何晏の華美な生活や好色な噂は政敵に利用され、親友からの忠告にも耳を貸さず、次第に孤立を深めていく。
曹爽政権の腐敗と弛緩が進む中、何晏の理想と現実の乖離は決定的となり、彼の信じる美と理は、冷徹な現実を前にして、もろくも崩
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!盛衰は世の常。されど、何が真に不滅であるかは、悠久の時の流れだけが示す
ナゴヤ武将演舞隊のイメージが強かった平手さんですが、こういう硬派な歴史ものも書かれるのだなあ、と感銘を受けました。
物語は、美貌と才能に恵まれた何晏(かあん。何進の孫)が、儒学研究の名著『論語集解』を完成させ、学会と政界の中枢を占めるに至ったものの、華美な生活や五石散(麻薬)によって心身を蝕まれ、やがて友人らも失って、転落している様子が克明に描かれています。
とにかく文章力、描写力が素晴らしい。けっして華美な装飾があるわけではないのですが、美文だと思います。
何晏を粛清し、実利を追及して晋王朝を興した司馬氏の時代も、また長くは続かず、歴史は縷々変転していきます。
しかし、その中で…続きを読む