第2話 ヒロイン2人目
秋良と由衣が雑談している時だった。
「おーい、由衣~!」
パタパタと廊下から教室に飛び込んできたのは、金髪の髪を揺らしながら駆け込んできた、もう一人の人気者・白坂美波だった。スマホを片手に笑顔を浮かべ、その存在感だけで教室の空気が一気に華やぐ。
「さっき先生が探してたよ~?プリントの件で」
「えっ、ほんと?ありがと、美波ちゃん」
由衣がぱっと立ち上がると、美波の隣で軽く会釈する秋良に、ふと美波の視線が止まった。
「……ん?誰かと話してた?」
由衣が少しだけ照れたように笑って言った。
「うん、こっち、本庄くん。クラスメイト。ちょっと旅の話してたんだ」
「へぇ~、あたし名前だけは聞いたことあるかも。てか、喋るの初めてじゃん?」
美波がニヤリと笑い、秋良の机に肘をついて身を乗り出す。
「んでんで、今何話してたの?まさか、デートのお誘い~?♡」
「ち、ちがうってば!」と由衣が手をぶんぶん振る。
「本庄くんが書いてた旅のプランを、ちょっと見せてもらってただけなの!」
「……そう、僕が一人で考えてた鉄道旅行の計画で……」
秋良は恥ずかしそうに目線を逸らした。
「鉄道旅行って、あれ?電車乗って移動するやつ?ガチの旅好きじゃん。あたしそういうの、写真の背景に使えるかもって思ってたんだよね~」
「ね、面白そうでしょ?」と由衣も笑顔で口を挟む。
だが、秋良はうつむいてポツリとこぼした。
「まぁ、そうだけど、旅の内容がちょっと……マイナーすぎて大丈夫かなって。たぶん、俺の趣味に付き合わせることになるだろうし、鉄道のことばっかり話すことになるからさ、普通の人には退屈かもしれないって……」
その言葉に、美波がすぐに反応する。
「えー、なにそれ!むしろ面白いじゃん!そういう、マニアックなところがあんたのいいとこでしょ」
美波は秋良の机に軽く肘をつき、ぐっと顔を近づけてきた。
「その、自分が好きなことに夢中になれるところ。ほら、好きなことをしてるときのあんた、なんかイキイキしてるし。それがさ、きっと、あたしにとっても楽しい旅に変わるんだよ」
秋良は驚いたように美波を見つめる。
「え……でも、僕の趣味って……鉄道旅行ですよ?普通の人にはつまんないかもって……」
美波はにっこりと笑い、軽く肩を叩いた。
「全然つまんないなんてことないよ!むしろ、鉄道ってどこにでもあるようで意外と知られてないこと多いんだよ?それに、あたし、あんたが色んなところに行く理由が知りたい。そういう細かいこだわり、私、すごく好きだし」
美波は少し真剣な顔になり、秋良に向かって続けた。
「誰かに興味持ってもらえるって、嬉しいことじゃん。あたしだって、鉄道とか詳しくないけど、あんたがその旅をどう楽しんでるのか見てみたくなったよ。だから、きっと楽しいよ。この旅、絶対。」
その言葉に、秋良は少し顔を赤くしながらも、何かが心に響いたように黙って頷いた。
「……ありがとう、でも、考えてみたらやっぱり、旅ってみんなで行くからこそ楽しいんだよな」
「うん、だから、あたしが行くって言ってるんだよ?」
美波がウィンクをして、軽く笑う。秋良は少し考えた後、顔を上げた。
「わかった。じゃあ、みんなで行こう……」
「よし、それじゃ決まりね!絶対楽しい旅になるよ!」
その瞬間、由衣がにっこりと微笑みながら言った。
「……ありがとう。でも、ほんとに行ってみたいの?鉄道だよ?」
「むしろ最高じゃん。非日常だし、移動中も絵になるし。それに――」
美波はにやりと笑った。
「“地味男子の一人旅に女の子2人が乱入!”って、もはやラブコメの典型的な形じゃん♡」
「そ、それはどうなんだ……」
秋良は思わず顔を覆った。由衣はくすくす笑いながら、
「じゃあ、私も“ヒロイン2人目”ってことで、参加させてもらおうかな~」
とおどけて言う。
美波が指でピースを作って言った。
「よし、これでメンバー三人!写真部2人と鉄道オタク1人の、ちょっと変な旅、スタート決定~!」
秋良は苦笑しながらも、どこか嬉しそうだった。
___________________________________________
投稿が遅くなって申し訳ございません!nagitoroです。今回ヒロイン2人目の登場っていうことで、白坂美波が登場しました!ヒロイン2人連れて旅行するって、ホント明良のやつ羨ましいぞ〜おい!そしてヒロインが2人揃ったっていうことで今回はこの3人で旅をすることになります!って言うかもうこのメンツでしばらく固定です。そして、この3人で鉄道旅、一体どこに行くんでしょうね〜。楽しみですね! さて、しばらくの小説投稿ですが、執筆者が高一で、まもなく試験期間に入り、多忙になるためしばらく更新頻度が落ちます。一応続編を1話明日投稿するつもりですが、今日のように5日間空いたりなどする可能性がありますので、そこの点はご了承ください。試験期間が終わったら、3日間ごとの更新を予定しておりますので、何卒ご了承ください。
(追記)5月18日投稿予定の続編ですがリアルが多忙すぎるため5月18日はお休みさせていただきます。誠に申し訳ございません。
___________________________________________
ここまで読んでいただきありがとうございます!⭐︎やレビュー、コメントを書いてくれると嬉しいです!今後の励ましとなります!
鉄道と写真と、三人旅。 nagitoro @yukkun_no0718
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。鉄道と写真と、三人旅。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます