酒呑童子VSバッカス 史上最大の酒と女のバトル!

坂倉蘭

ファイト!

 第一ラウンド 飲み比べ対決


 ルール 用意された酒を飲み干し、どれだけ豪快に、かつエレガントに酔えるかを競う。酒呑童子には日本酒「鬼殺し」、バッカスには特製赤ワイン「ディオニューソス・ヴィンテージ」が提供される。


 酒呑童子のターン


 酒呑童子は巨大な盃(というかバケツ)を手に、ドボドボと「鬼殺し」を注ぐ。


「フハハ! 酒は命の水だ!」と一気飲み。


 会場に響くゴクゴク音はまるで滝。5リットルを10秒で飲み干すと、顔が真っ赤になり、「お前も飲まねえか!?」と観客の鬼たちに盃を投げる。


 鬼たちは大喜びで乱闘開始。


 だが、酔った酒呑童子は突然マイクを奪う。


「オレ、実は越後で生まれの美少年だったんだぜ…」


 と泣き上戸モードに突入。


 身の上話を始め、観客は「え、急にしんみりすんな!」と困惑。


 バッカスのターン


 バッカスは優雅にワイングラスを傾け、「ああ、この芳醇な香り…まるで俺の恋の味」と詩人モード全開。


 1リットルのワインをチビチビ飲みながら、マイナスたちにウィンク。


 すると女信者たちが「バッカス様あああ!」と卒倒。


 バッカス、酔うと杖(テュルソス)を振り回し、会場を即席ディスコに変える。


 電光掲示板には「バッカナリア開催中!」の文字。


 だが、飲みすぎてゼウスの妻ヘラに「また浮気してる!」と雷を落とされ、慌てて逃走。


 判定


 酒呑童子の豪快さとバッカスのエレガンスには甲乙つけがたいが、酒呑童子が盃を投げて乱闘を起こした減点。バッカスが1ポイントリード。


「鬼の酒量は認めよう、だが俺のワインは魂を揺さぶるんだ!」とバッカスがドヤ顔。



 第二ラウンド 女性遍歴自慢


 ルール 過去の恋愛(?)エピソードを披露し、どれだけドラマチックで笑えるかを競う。観客の拍手デシベルで勝敗を決める。


 酒呑童子のターン


 酒呑童子、胸を張って語り出す。


「オレは京の姫君をさらって、鉄の御所で酒池肉林のパーティー三昧! 美女に囲まれ、盃を交わしたぜ!」


 だが、詳しく聞くと、姫君たちは「鬼に拉致されただけ」と不満顔。


 しかも、酒呑童子は美女をさらう際、昼は美少年姿で誘惑するが夜になると鬼の本性を露呈。


「キャー、目が15個!」と逃げられること多数。


 しまいには、部下の茨木童子(♀)に「アンタ、女心わかってねえ!」と説教され、しょんぼり。


 観客の鬼たちは「ボス、情けねえ!」とヤジを飛ばす。



 バッカスのターン


 バッカス、葡萄の冠をキラリと光らせ、「俺の恋は神話だ!」と豪語。


 まず、アリアドネとのロマンスを披露。


「迷宮に置き去りにされた姫を救い、星座にしちゃったぜ!」


 とドヤるが、観客は「それ、テセウスが捨てた女を拾っただけじゃ…」と冷ややか。


 次に、マイナスたちの狂乱の愛を自慢。


「俺の舞を見た女は全員俺に夢中!」


 だが、ゼウスが「その女たち、酒で酔ってるだけだろ」と暴露。


 しまいにはヘラが再登場し、「浮気者!」とバッカスを葡萄畑に追い回す。


 判定


 酒呑童子の「拉致系恋愛」は倫理的にアウト、バッカスの「狂乱系ロマンス」はロマンチックだが胡散臭い。


 観客の拍手はほぼ互角だが、バッカスがアリアドネを星座にしたエピソードでわずかにリード。


「鬼の恋は力技すぎるぜ!」とバッカスが笑う。



 最終ラウンド 即興酒宴パフォーマンス


 ルール 酒と女をテーマに即興でパフォーマンスを披露。観客の笑い声と感動で勝者を決める。


 酒呑童子のターン


 酒呑童子は巨大な酒樽を担いで登場。


「これがオレの酒魂だ!」と樽をぶちまけ、会場を日本酒の海に。


 鬼たちと一緒に「ヨイヨイ!」と盆踊りを始め、姫君たち(強制参加)を巻き込んでカオスな宴に。


 だが、酔った酒呑童子はまた泣き上戸になり、「オレ、源頼光に騙されて首切られたんだぜ…」と愚痴り出す。


 観客は「ボス、過去を水(見ず)に流せ!」と爆笑。


 バッカスのターン


 バッカスがマイナスたちを率いてミュージカル風パフォーマンス。


「ワインよ! 愛よ! 自由よ!」と歌いながら、葡萄の冠を観客に投げる。


 会場は一瞬でバッカナリア(狂乱の祭)に。


 だが、調子に乗ったバッカス、ゼウスの愛人イオをうっかり口説き、ヘラの雷が直撃。


 バッカス、黒焦げで「俺の美貌が…!」と嘆く。


 観客は「神なのに情けない!」と大爆笑。



 最終判定


 酒呑童子のカオスな盆踊りとバッカスのミュージカルでどちらも爆笑を誘ったが、酒呑童子の「泣き上戸エピソード」が観客の涙(笑い涙)を引き、僅差で勝利!


 バッカスは「次はオリュンポスで再戦だ!」と悔しがり、ゼウスは「もう酒はいい…」と寝落ち。



 エピローグ:鬼と神、盃を交わす


 勝負の後、酒呑童子とバッカスは盃を交わし、意気投合。


「お前、酒好きなら悪くねえな!」

「お前もな、鬼の酒量は神レベルだ!」と互いを認め合う。


 だが、酒呑童子は「次は頼光にリベンジだ!」と拳を握り、バッカスは「ヘラにバレない恋がしたい…」と遠い目。


 こうして、鬼と神の酒宴は夜通し続いたのであった。

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酒呑童子VSバッカス 史上最大の酒と女のバトル! 坂倉蘭 @kagurazaka-rin

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