第5話(美咲視点)
ね、健一。私が健一のこと、いつから好きかって? うーん、いつからだろう? 小さかった頃から、いつも私の隣にいた健一。他の男の子みたいに、ワッと騒いだり、威張ったりしなくて、いつもちょっと引っ込み思案で、私の後ろをついてくるような健一。あの頃から、なんか、放っておけないな、って思ってた気がする。
中学に入って、健一はますます自分の殻に閉じこもるようになったけど、私は知ってるんだ。健一が、本当は優しくて、私が困ってると、不器用だけど助けてくれようとするって。他の人は、健一のこと、暗いとか、何考えてるか分からないとか言うけど、私は、健一のそういうところが、なんか、特別だなって思ってたんだ。
高校に入って、私は友達がいっぱいできたし、色んな男の子から声をかけられるようになったけど、やっぱり、一番気になるのは健一なんだ。健一は、相変わらず私といる時以外は、教室の隅っこで本を読んでたり、机に突っ伏して寝てたりしてる。他の女の子と楽しそうに話してる健一なんて、見たことないな。
(あーあ、健一。もうちょっと、笑えばいいのに。もうちょっと、色んな人と話せばいいのに。でも、もし健一が、他の女の子と仲良くなっちゃったら……ううん、やっぱり、今のままがいいかな。私だけの健一、でいてくれたら、嬉しいな)
そんなことを、たまに思ったりする。ちょっと意地悪、かな?
だから、私は健一に構うんだ。私が健一の隣に行って、話しかければ、健一はちゃんと私を見てくれるから。私の声に反応してくれるから。健一の顔が、少しだけ明るくなるのが分かるから。
金曜日の放課後。教室に残ってるのが、私と健一だけになった時、なんか、嬉しくなっちゃったんだ。誰もいない教室で、健一と二人きりなんて、なんだか、特別みたいで。
このチャンス、逃しちゃダメだ! って思って、週末、どこか行こう、って誘うことにしたんだ。健一、いつも家にいるみたいだし、たまには外に出て、楽しいこと、一緒にしたいなって。
「週末さ、何か予定ある?」って聞いたら、案の定、「何もねえけど」って。やった! って思ったんだ。やっぱり健一は、私が誘えば、断らない。優しいんだ、健一は。私に優しいんだ。
それで、思い切って言ってみたんだ。「週末、健一と一緒に遊びに行きたいなって思ってたんだ!」って。そしたら、健一、びっくりして固まってた。あはは、可愛いな、健一。そんなに驚かなくてもいいのに。
それで、あのね、私、その時、なんか、勇気が出ちゃったんだ。こんなにドキドキしてる気持ち、健一に伝えたい! って思って。
だから、言ったんだ。「だって、私、健一のこと、大好きだもん!」って。
言っちゃった! って思った時は、心臓がバクバクしたよ。健一、どんな反応するかな? 嬉しいって言ってくれるかな? それとも、びっくりしちゃうかな?
そしたら、健一、「……は?」って固まって。顔が真っ赤になっちゃって。あはは、やっぱり可愛い! そんなに私の「大好き」が、意外だったのかな?
それで、思ったんだ。「あれ? 私が健一のこと大好きなんて、知らなかった?」って。私にとっては、もうずっと前から、健一のこと好きだったから、健一も、なんとなく分かってるのかな? って思ってたんだ。でも、健一の反応見てたら、全然知らなかったみたい。ちょっと寂しかったけど、それ以上に、なんか、面白くなっちゃったんだ。健一が、私の「大好き」に、こんなに戸惑うなんて。
それでね、言っちゃったんだ。「恋愛としての、大好きだよ!」って。
これで、健一も、私の気持ち、分かってくれたかな? って思ったんだけど、健一、さらに固まっちゃって。うーん、私の「大好き」、ちゃんと伝わったかな? ちょっと不安になったりもしたんだ。でも、健一が、私の言葉に一生懸命反応しようとしてくれるのが分かって、なんか、嬉しかったんだ。
それで、週末、どこに行こうかな? って考えたんだ。健一が、二人きりで、のんびりできて、ちょっと特別な気分になれる場所がいいな、って。それで、思い出したのが、前に一人で行った、あの公園だったんだ。夕日がすごく綺麗で、なんか、心洗われるような気持ちになった場所。
(あそこで、健一と二人で、夕日を見たいな。綺麗な景色を、健一と一緒に見たら、健一も、なんか、心が軽くなるかな? いつも難しそうな顔してる健一が、少しでも、穏やかな顔になってくれたら、嬉しいな)
そう思って、あの公園に行くことに決めたんだ。そして、あの場所を、「二人だけの秘密の場所」にしたかったんだ。健一と私だけの、特別な場所。あの「大好き」の気持ちを込めて。
土曜日。公園で健一と会った時、健一、やっぱりちょっと緊張してた。可愛いな。私が「大好き」って言ったから、どんな反応されるか、ドキドキしてたのかな?
公園に着いて、あの大きな木の下で夕日を見た時、やっぱり、健一と一緒だと、一人で見るよりずっと綺麗だった。健一が隣にいてくれるだけで、なんでもない景色が、特別になるんだから、不思議だよね。
それで、思ったんだ。この気持ち、やっぱり健一に伝えたい。あの「大好き」は、本気なんだよ、って。
だから、また言ったんだ。「私、健一と一緒にいる時が、一番、楽しいんだ。だから、大好き!」って。
そしたら、健一、また固まって。そして、「どうせ、お世辞だろ」って言うんだ。うーん、どうして健一は、私の言葉を信じてくれないんだろう? あんなに素直に言ってるのに。
ちょっと、寂しかったな。私がこんなに「大好き」って言ってるのに、健一には、全然伝わってないのかな? それとも、伝わってるのに、信じたくないのかな?
(なんで、健一は、自分に自信がないんだろう? 健一のいいところ、いっぱいあるのに。優しくて、真面目で、私の話をちゃんと聞いてくれるし。私が、健一のこと、どれだけ大切に思ってるか、どうしたら、健一に伝わるんだろう?)
そんなことを、あの時、思ったんだ。
だから、言ったんだ。「また、二人でここに来ようね」って。二人だけの秘密の場所に、また来てくれたら、きっと、私の気持ち、分かってくれるかな? って、期待を込めて。
そして、月曜日。学校で健一に会った時、健一、また顔が赤くなってた。あはは、可愛い! まだ緊張してるのかな? それとも、週末のこと、まだ考えてくれてるのかな?
それで、思わず話しかけちゃったんだ。「ねえ、週末楽しかったね!」って。健一も楽しかったかな? って、聞きたかったから。
そしたら、健一、なんか歯切れが悪くて。うーん、やっぱり私の「大好き」、まだ信じてないのかな?
それで、思ったんだ。言葉だけじゃ、ダメなのかな? もっと、私の気持ちを、形にして伝えたいな、って。健一に、私がどれだけ健一のことを思ってるか、伝えたいな、って。
どうしたら、私の「大好き」が、健一に伝わるんだろう? 健一に、私の気持ちを、ちゃんと受け止めてほしいな。
そんなことを考えてたら、ふと、図書館の前を通った時に、ひらめいたんだ。そうだ! 恋愛小説を書こう! 私の気持ちを、恋愛小説にして、健一に読んでもらおう!
(恋愛小説なら、私の本当の気持ちを、言葉にして、健一に、ちゃんと伝えられるかもしれない! しかも、主人公は、もちろん健一! 健一との、私だけの物語!)
そう思ったら、なんか、ワクワクしてきたんだ。
それで、図書館に健一を誘ったんだ。借りたい本がある、って言ったけど、本当に借りたいのは、恋愛小説の書き方の本なんだ。そして、そこで、健一に、私が恋愛小説を書こうと思ってること、そして、健一のこと、書こうと思ってることを、伝えたかったんだ。
健一、びっくりしてたね。そして、「からかってるのか!」って。うーん、どうして健一は、いつも私の言葉を、素直に受け止めてくれないんだろう? ちょっと悲しかったな。
でも、私は、本気なんだ。私の「大好き」は、本気なんだよ。だから、恋愛小説を書いて、健一に読んでもらって、私の本当の気持ちを、知ってほしいんだ。
健一が、私の書いた恋愛小説を読んで、私の「大好き」を受け止めてくれたら、嬉しいな。そして、いつか、健一も、私のこと、「大好き」って、言ってくれたら……。
そんなことを、思いながら、私は今、図書館で、健一の隣で、ペンを持っている。私の「大好き」を込めた、健一との物語を、書き始めるために。
私の気持ち、健一に、ちゃんと伝わりますように。
「大好き」と言った陽キャ幼馴染は俺のネガティブ思考をやすやすと破壊してくる @flameflame
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