第4話 心的抵抗

突然現れ、ご主人様を探す可愛い子。


つや消しの灰色と黒の間の色とりどりの羽に似た色の配置でできた髪質。


全体的に灰色の地であるにもかかわらず、なんとなく俺に見える彼女のイメージは赤だった。


瞳のせいかな? 赤い刃のせいかな? それとも彼女が行った赤い暴挙のためだろうか。


赤く下火になった危機。


襲撃者は燃え上がり、あっという間に消えた。


まるで最初から空の艦船だったかのように、くちばしの艦船には誰もいなかったし、何の損傷も受けなかった。


彼女がどのように乱入したかと


触れるものの灰さえ残さないその火炎の正体も含め、この子の正体が気になった。


救われたにもかかわらず、警戒せざるを得なかった。


「もう一度お聞きします。」


彼女はこちらのメンバーに目を通した。


こちらの風景は、


客に見せるには凄惨だ。


大多数がさっきの衝撃で気を失い、何人かの副官とソルフスだけが警戒の目つきを取り戻すだけだった。


「うちのご主人様は、どちらにいらっしゃいますか?」


「その前に、君の正体が何なのかから、言ってくれないか。」


「これがご主人様の質問なのかどうか分からないので、簡単にお答えします。 私はパラシャという名の、エリス惑星を支配する者の武器です。」


「あなたの主は知らないが、エリス惑星の支配者は独裁官の私だ。」


独裁官の証を示した。


金の円が黒い十字の周りに光を反射していた。


彼女の赤い目は丸くなった。


可愛い。


「失礼いたしました。 ご主人様にお目にかかれて光栄です。 それなら、お迎えします。」


「ちょっと待って、もう君に質問してもいいよね? 正体は何か?」


「今申し上げたことが全部です。 私はあなた様の武器です。 それだけです。」


気絶から目覚めた艦橋の人員たちがいつのまにかこの光景を見ていた。


特に、ユリアの目は厳しかった。


「まず、目の前にいる敵と同じ側ではない…···ね?」


「申し上げたように、私はエリス惑星の支配者であるあなた様の武器です。 惑星へお連れするために、こちらへ参りました。」


「エリス惑星から来たというのか? ここまでどうやって···?」


「飛んできました。」


俺はそれを聞いて窓の外を眺めた。


真っ黒な夜の国の間にいくつかの鉄の塊が燃えたり浮かんでいたりしただけだった。


当然だが、その鉄の塊はすべてもううんざりするほど見た敵船だった。


彼女が乗ってきたような宇宙船のようなものは見えなかった。


「どんな手段で···?」


彼女は自分の肩にあるものを指した。


いやいや、翼とかジェットパックとかで飛べる空間じゃないじゃん。


変わった点はあるが、確かに柔らかい肌でできた人間だった。


「人間の体で宇宙空間に露出すれば、呼吸も体温も重力の差も耐えられないのではないか」


やっと気づいたが、この子は宇宙空間で耐えるためのいかなる装置もしなかった。


少なくとも私の知識と一致する宇宙空間用スーツ、酸素ヘルメットのようなものはなかった。


彼女にあるのはただナポリは黒くて赤い色のワンピースとガントレット、そして美しく彫刻された芸術作品のような翼だけだった。 この翼とガントレットが戦闘外装なのかしら?


「それらが働く前に飛んできました。」


「何を···?”


「 『速度』 それで私に勝てる者はエリス惑星に存在しないでしょう。」


耳が聞こえたことを脳が理解するまでに時間が少なからずかかった。


だから、純粋な速度だけで惑星からここまで生きて飛んできたって?


パラシャという少女は俺の当惑を後にして、艦橋に映る敵艦を眺めた。


艦橋にくちばしの艦船が刺さった時から、遠くから敵中級戦艦が突進してきていた。


まったく、できる戦術が一つだけなのか。


まあ、それで死ぬところだったけど。


くちばしの艦船に比べて速度は遅かったが、図体がはるかに大きかった。


砲撃にもよく耐えるうえ、搭乗人員も、すなわち襲ってくる兵力もはるかに多いだろう。


「ご主人様を安全にお迎えするのに邪魔になる上、どうせご主人様の敵対者は皆処断しなければなりません…···ご主人様が証明をお望みなら、彼らがいいですね。」


彼女の瞳と共に、ガントレットで育ったように装備された色の刃が不吉に輝き、


瞬く間に


消えた。


彼女の姿そのものが。


そして、敵艦が次々と止まり、すぐに闇に沈んだ。



まだ当惑する意識と命が残っていて幸いだった。


1度に2,3隻の中級艦が緊急信号を送った。


そして、ベラが何かに対処する前に、彼ら全員で生存の合図が途絶えた。


こうしたパターンが何度も繰り返された。


目の前にある餌が静かで壊滅的な攻撃手段を切り札として持っていたのかもしれないが、ベラは悪い状況で直感が鋭い。


その直感はこう叫んだ。 これはたった一人の仕草だ。


そしてこんなことができる人ならそれはきっと、「軍団体」。


ベラは落ち着いて頭を回転させた。


いや、半分くらい落ち着いてないように。


ベラは自分がまだ生きているのは、敵の軍団体が偶然に自分の艦船を選んでいないだけであることを知っている。


いつでも命が危険になりうる状況に、考えができる理由は···


「船長、今すぐその子を呼びましょう。」


彼女には「ルナ」がいるからだった。


だが、そうなると軍団体同士の戦いになる。


ルナが負けるのは想像がつかないが、問題はいくらルナでも軍団体を相手に傷一つなく勝つとは思わなかった。


ルナがけがをするのは嫌だった。


ああ、別に彼女を大事にしているわけではなく、彼女が戦闘不能になればベラは終わりだからだ。


「仕方がない。 ルナを本艦橋に召喚し、戦船団は撤収する。 非常信号が来る艦船は、その軍団体の攻撃を受けるというのだから、すべて捨てて、ワープに撤収する。」


メガランスは全滅。 中級艦船も半分以上捨てた。 海賊団と船団内での立場を削る賭博をできる理由さえも、ルナという心強い盾のためだ。



「敵残党はワープに逃げ、全滅させることができませんでした。 申し訳ありません。」


艦橋はいつの間にか静かになった。


怖かった。


「君は一体···」


個人の武力がここまで強いとは、思ってもみなかった。


当初、大砲さえ補助兵器に押されてしまった時代に、個人の武力が戦闘で、それも艦隊の戦闘で出る場所は珍しかった。


今日のようにいきなり頭から突き出して見るやつらは、ミサイルが行き交う時代に存在する確率が極めて希薄なのだった。


船内で白兵戦が起こるとしても、個人の武力ではなく、装備と組織力で勝負することがほとんどだ。


「…エリス惑星はここから近いです。」


ユリアは操舵を取る機械的理性だけを辛うじて残した鈍い声で話した。


ニックスに打ち込まれたくちばしの艦船は外せないので、打ち込まれたまま運行する。


ニックスの外皮再生システムが稼動し、そこにくちばしの艦船が割り込めなくなった。


無理に抜こうとすると、かえってニックスの外皮がさらに粉々になるだろう。


幸い、艦橋を除いてはそれほど致命的な部位を攻撃されなかった。


正常···とは言えなくてもなんとか運行できた。



空からゆっくり降りてくる巨大なものは、まるであちこちに槍が刺さった熊のようだった。


その中から多数の帝国正規軍人と消えたパラシャが現れた。


コレリアが軍団である彼女の安危を特に心配することはないが、「空に消えた」という、パラシャに兵力として同行させた者たちの荒唐無稽な目撃談があった。


軍団体。その名代が与える荒唐無稽さはすでに何度も経験しているので特に驚くことはないが、


そんな彼女が本当に宇宙まで飛んできて連れてきた独裁官というのは一体誰なのか。


宇宙船から降り、ここに歩いてくる者の中で最も年輪がありそうな者を探してみた。


レンガコンソールがコレリアに渡した情報というのは、独裁官という作者に惑星の全権を渡すということ、内戦の英雄ということなどに過ぎず、いざ彼がどんな人間なのかについては大部分をコレリア自身の想像で埋めるしかなかった。


そのため、コレリアは自分が想像していたことと最も一致する人物を探してみた。


年輪がちょっとにじみ出て、見るだけで知恵が溢れて。


残念ながらそのような者を見つけることができなかった。


そうするうちにふと、主人を迎えに行くと言っていたパラシャが、特にぴったりとくっついているある若造を発見した。


まさか。


それに、一番先に歩いてるみたい。


まさか。


そういえば、すべての会話が彼を中心に流れているようだ。


まさか。


「こんにちは。エリス惑星独裁官エレボン·アスタラですね」


「なぜですか?」


「うん?」


思わず本音が出たコレリアは、


「あ、違います。 何でもありません。 ようこそ。」


慌てて覆った。


若造は何かに引っかかったような表情だったが、すぐにうなずいた。


「私はエリス惑星の臨時行政官代行のコレリアです。 貴族ではないので、苗字はありません。」


「『臨時』の『代行』というのか。」


ところで?


この言葉が口から出てこなかったため、神に感謝し、中に燃え上がった炎を抑えた。



エリス惑星総中央政府。


大げさな名前に比べて、外観はただくすんでいて見栄えが悪い。


コレリアには馴染みのある光景だったが、いざ本国から渡ってきた外地の人たちに見せると、後になって熱くなった。


「より良い建物をお出しできず申し訳ありませんが、ここがそれぞれ…却···下が勤務される中央行政府の建物です」


若造に使う尊称が心から気に入らなかった。


帝国中央地域にいらっしゃった立派な方の立場では、老いた平民が幼い貴族に尊敬するのが当然だが、コレリアにはない経験だった。


「中に入ってください。 詳しい事情はもう少しきちんとした場で申し上げます」


しかし、せざるを得なかった。


嫌でもやるしかないなら最善を尽くすのがこの女、コレリアだった。


「ありがとう。」


若造に敬語を与え、タメ口を返してもらう不快感は、ただ我慢するだけでできて幸いだと思った。



「本当に申し訳ありませんが, 入ってくる人を選んでいただけますか?」


一番大きい部屋に彼らを案内するつもりだ。


ただ、一番大きな部屋とはいえ、大きな艦船に乗っていた多くの兵士を全員入れることはできなかった。


そうする必要もないし。


独裁官の若造だけ呼べばいい。


彼と彼の副官と見られる男女一人ずつ、そしてパラシャが入ってきた。


こちらは買収を減らす必要がなく、悲しくて楽だった。


元々頭数が少なかったから。



この女、明らかに俺のことが嫌いみたい。


自分の権力を奪われるからだろうか?


否、反対。


この女のダークサークルと臨時の代行という職位、そしてこの女性がここの官僚と呼んだ7人を見ると、これまでの苦労が丸見えだった。


みんなただ休みたいようだった。


長い重労働の末についに仕事を譲って休むことになったが、その相手が全く初めて見るよそ者。


これが気にくわない、正確には頼りないのだろう。


そして、彼女にとっては不幸なことだけど、私は彼女を休ませるつもりはないんだ。 当分はね。


俺がこの惑星をすべて知る前には、あなたは仕事をもう少ししてくれなければならない。


強制的にでもね。


閣下がいらっしゃるここは、エリス惑星の中央自治区『ポノス』です


ポノス中央自治区。


惑星の首都にあたるのだが、惑星の表面についている国の首都ではない惑星の首都であるだけに、その図体はかなり大きい。


図体だけ大きいのが問題。


「私はずっと前に帝国から派遣された官僚の子孫です。 ここの官僚が皆そうです。」


帝国が官僚を派遣しないまま、すでに世代が何度も変わった。


その間、行政府の力量は着実に下落し、次第に誰もこの行政府の首長を引き受けたくなかった。


結局、ここの人々は帝国官僚の直系子孫に適性と才能に関係なく強制的にこの責任を転嫁した。


直系がいなければ、傍系であれ親戚であれ、何とか血縁関係のある者を探して強制的に座らせた。


いや、権力を与えるというのになんでこんなに嫌な反応なんだろう? どうしてこんなに無理に抱きしめる気分なんだろう?


理由はあった。


「帝国は閣下にこの惑星全体の支配権を移譲したことを確認しましたマン···」


コレリアは苦笑した。


「私が閣下に引き継ぐことができる地域は、このポノス中央自治区だけです。」


彼女は私に意味深長な目つきをした。 多少の虚脱感混じりの嘲笑が感じられた。


「ここ以外の地域を占領したいのであれば、武力が必要でしょう。 それも非常に強い。」

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