汁なし具なしの卵麺
私がダラダラとネットサーフィンをしている時のことだった。
私が行ける範囲で興味深いラーメン屋があるという記事をそこに目にした。
そのラーメンは汁なし、具なしのラーメンというものだった。
それは果たしてラーメンなのか?
そんなことが頭によぎる。
だがしかし、調べてみるとかなり評判がいい。
それではまぁ行ってみるとしようか。
そんなことを思い私は自転車に跨った。
地図に案内されること約40分。
近くの駐輪場に自転車を止めて、店に向かうと開店前だというのに数人が既に並んでいた。
本当に人気なのだと改めて理解する。
大人しく最後尾につき、列に並んでいると中から店員さんがやってきて私に告げる。
「整理券になります」
なるほど。そのシステムか。
呼ばれた札の人が入るシステム。これにより見た感じで並んでいるよりももう少し実際には待っている人がいることを理解する。
開店時間になり、前方の客が店内へと入っていく。
私の番号は11番。入るのは10分、15分と言ったところか? まぁ大人しく待つとしよう。
「11番の方どうぞ。食券の方お買い上げお願いします」
私は一旦店内へと入り、食券だけ購入する。
オススメであり、1番人気の卵麺なら間違いないだろう。
私はそんなことを考えながら食券を店員さんにわたしもう一度外で待った。
「11番の方、お席にどうぞ」
とうとう私の番だ。
私はカウンター席につき卵麺を待つ。
店内はかなり綺麗であり、清潔感がある。
「お待たせしました」
私の前にお待ちかねのものが運ばれてくる。
それは本当に麺のみであった。
否、一応その真ん中に生卵は置かれてあるがそれまでであり、具や汁と言ったものは一切合切存在しない。
一応麺の下にはタレが存在するそうだ。
ストロングスタイルというかなんというか……潔いものだと感心する。
とりあえず卵を割って混ぜる前に、麺を数本持ちあげて食べてみる。
おぉ……!
ツルツルモチモチしていて食べやすい!
既に少し味付けがされている……なるほどこれが卵麺か。
では、卵を割ってタレと絡め合わせ口にするとしよう……。
おお! 美味い!
卵とタレが麺に絡み合っている!
しっかりとした歯ごたえのおかげで食べている実感も当然ある!
卓上の醤油などを垂らしたらまた少し風味が変わる。私個人としては垂らした方が好みだな。味がよりいっそう深みをましている気がする。
「ご馳走様でした」
あっという間に食べ終えてしまった。
私は少し後悔していることがあった。
それは量。
こんなにも美味しいのなら大盛りにしておけば良かったと私は内心悔やんでいた。
あるいはご飯でも頼み、食べ終わった後のタレに入れ卵かけご飯という手もあることを隣の客を見て知った。
後悔……実に後悔だ……。
美味しいものを食べた時特有の心残り。
贅沢な心残りに後ろ髪を引かれながら、私は自転車に跨り、その場を後にする。
ちなみにとてつもなく余談だが、40分かけて来た道を地図を使わずに帰路につき、家に帰ったのは2時間後であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます