ガッツリスタミナ丼
その日はとにかく腹が減っていた。
昼飯が少なかったからだったかは覚えていないがとにかく腹が減っていた。
それによって私の頭の中はひとつの思考でいっぱいとなっていた。
ガッツリしたもの食べたい。
私はその晩、近くにスタミナ丼の店があったことを思い出し、いそいそと支度をして店に向かう。
「いらっしゃいませ」
中は少しラーメン屋さんを彷彿とさせるような雰囲気であり、私は座る前に食券を購入しカウンター席につく。
私が購入したものは唐揚げと豚肉が乗せられているスタミナ丼。それも大盛り。
それを店員さんに渡し席で待つ。
「お待たせしました」
少ししてから待ちわびたものがドンとテーブルへと置かれる。付け合せには味噌汁ととろろ。
「おぉ……」
漫画のような盛り方をされた豚肉と唐揚げに私は驚愕を示しながらも気分が逸っていく。
私はこういうのが食べたかったのだ。
この空腹を満たしてくれるベストな回答がそこにはあった。
「いただきます」
これだよこれ。
腹を膨らませ、満足させることしか考えていないようなスタミナ丼の味。
濃い味付けをされた豚バラ肉にご飯が本当によく合いぐんぐんと食べ進める。
唐揚げも味が良くこちらでも同等にご飯が進む。
少し味変のような形でとろろもかけてみる。
うん。サラサラした食べ応えに一気に変貌した。
こういうガッツリとした食べ物には意外とネバネバしたものが合うんだよな。
カウンターをふと見てみるとスタ丼のたれというものに目が行く。
気づけば私の手は淀むことなくそれに手を伸ばし、かけていた。
うおお……これは中々パンチが強いというかなんというか……。
はばをきかせているのはニンニクだろうか。先程までの濃いものをさらに強くした味に瞬間の驚きを見せつつも、私の口と腹は止まることを許さない。
望んでいたものはこれなのだと。私が食べたかったものはこれなのだと嘘をつかせてくれる暇もなく食べて行った。
「ご馳走様でした」
ふーっ……と一息をついて水を飲み席を立つ。
実に満足した帰り道。
私の要求は一気に満たされたのだった。
「にしても食いすぎたなぁ……」
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