空港で食べた西京焼き
これは私が家族で北海道旅行に行く前のこと。
…………旅行に行く際の空港で食べたものを前と言うのもおかしな話かもしれないが。
手荷物検査を済ませて保安検査場を追加する。
搭乗まではあと一時間以上もあったが、腹も空いていたのでさっさと入って、食べてしまおうということだった。
……だったのだが。
皆考えることは同じなのだろうか。
中のフードコートは既にいっぱいいっぱいであり、席を探すのも一苦労だった。
皆様も経験があると思う。休日の大型スーパーのフードコートで席が見つからずウロウロするあれだ。
数分歩いた末に、丁度席を立つ家族をみつけなんとか席を確保する。
本当にこういうのは時の運と巡り合わせなのだと実感する。
さて、飯を済ませに行こう。
といってもこれから待ち受けるは食の宝庫北海道。腹いっぱい食べるというのも馬鹿らしい。
…………馬鹿らしいのだが私は我慢にできそうにはなかった。我ながら馬鹿だと思う。
定食、寿司、ラーメン、韓国料理、うどん、たこ焼き、カフェ……案外色々あるものだな。
そうやって私が見ていると1つのメニューが目についた。
名前だけ聞いたことがある程度で詳しくはなく、調べてみる。
なるほど、魚や肉を味噌に漬け込んで焼いたものか。美味そうではないか。これにしよう。
銀鱈の西京焼きの定食を注文し、席へと一旦戻る。
私の手にはあのブーブーとなる呼び出し用の機械が握られていた。
席に戻り、スマホを触ったり、家族と喋りながら時を待つ。
ヴーッヴーッ
ちょっとビックリするような振動音を鳴らしながら私を急かすように機械は鳴った。
さて行くか。
トレーにはいい味噌の匂いを漂わせる鱈と味噌汁、湯気がたつ白米とおろし大根だ。
一気に楽しみになってくる。
「いただきます」
私は鱈を少し切り頬張った。
甘い!美味い!これが西京焼きか。
味付けは濃いめなのか元々こういうものになるのかはわからないが、ご飯によく合う味付けだ。
味噌の味と鱈の旨みが一緒くたに混ぜ合わされ抜群の調和を奏でている。
おろし大根を乗せると、さっぱりとした味付けになりこれまた美味い。
脂が多めのものはこうしておろし大根を乗せるとさっぱりして食べやすくなるというのは誰が考えたのだろうか。素晴らしい発見をしてくれたものだ。
そして問題点が1つ生じる。
私はいつもいつも学ばないのだ。
ご飯と共に食べ進めていくと同じことを何度も繰り返してしまう。
そう、白米が明らかに足りなくなってしまっていた。
…………大盛りって言えばよかった。
「ご馳走様でした」
トレーを片付け、程よい満足感に包まれる。
北海道に行く前の前哨戦としては些か過剰だったような気がしなくもないが、まぁいいだろうと納得させる。
西京焼きか……肉の場合もいつか食べてみたいものだ。
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