第11話|焼きおにぎりと、朝日の約束

――焼き色と香りが、心にしみこむような、やさしい朝を。



日向の風邪は、すこしずつ落ち着いてきた。

だから今朝は、楓がひとりで早起きして、小さく深呼吸。


「今日は、焼きおにぎりにしよう」


冷たいキッチンに、湯気と香ばしい匂いが広がっていく。

カリッとした音がするたび、心も少しずつ元気になっていくようだった。


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今日のレシピ|香ばし焼きおにぎり(和風だし風味)


材料(2人分・4個)

* ごはん … 茶碗2杯分(温かいもの)

* しょうゆ … 大さじ1

* みりん … 小さじ1

* 和風だし(顆粒) … 小さじ1/2(ごはんに混ぜてもOK)

* ごま油(またはサラダ油) … 適量

* 白ごま … 少々(お好みで)


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作り方

1. ごはんを握る

温かいごはんにだしを混ぜ、軽く手に水をつけておにぎりを4個握る(やや平たい形に)。

形が崩れないように、ぎゅっと握りすぎず、ふわっと仕上げるのがコツ。


2. 焼く

フライパンにごま油を熱し、おにぎりを並べて中火でじっくり焼く。

両面にこんがり焼き目がつくまで、何度か返しながら4〜5分。


3. タレを塗る

しょうゆとみりんを混ぜたタレを、焼き目がついたおにぎりの表面にハケやスプーンで塗り、さらに両面を軽く焼く。

香ばしい香りが立ったら完成。仕上げに白ごまをひとつまみ。


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「……うわ、朝から罪な香りがしてる」


寝巻き姿でふらりと現れた日向。

楓が、湯呑みを差し出して微笑む。


「やっぱり元気になるには、焼きおにぎりと朝日、だよ」


「なんそのセット……でも最高」


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味の感想(by 日向)

表面カリッ、中はふわっ。醤油の香りが口に広がって、ほんの少しだけ焦げたところが特に好き。

だしの風味がほのかに感じられて、噛むたびにおいしい記憶が増えていく。


「これ、楓の味って感じ。ちゃんと起きて作ってくれたんだって、わかるから」

ひとくち目で、胸がぽかぽかになった。


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ごはんのあと、ふたりはベランダに立って、朝日を見た。

風邪はもうすぐ治る。

でも、このあたたかさは、ずっと続いてほしいと思った。


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次回は「ホットチョコレートと、ふたりの沈黙」

言葉にできない気持ちを、甘くて濃い一杯にとかして――


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