第12話|ホットチョコレートと、ふたりの沈黙
甘くて少し切ない夜の、とろけるような時間を。
暖房の効いた部屋の中、窓の外はしんとした冬の気配。
日向はソファにひざを抱えて、ぽつんと空を見ていた。
「ねえ……今日、なんかちょっと、話すのつかれちゃった」
楓はすこしだけ驚いて、それでも微笑んで、言った。
「じゃあ、喋らなくていいよ。甘いの、飲む?」
答えの代わりに、日向は小さくうなずいた。
カップから立ちのぼる甘い香りが、ふたりの間に静かに満ちていった。
---
今日のレシピ|とろけるホットチョコレート
材料(2人分)
* ミルクチョコレート … 50g(板チョコなら1枚)
* 牛乳 … 300ml
* 生クリーム … 大さじ2
* 砂糖 … 小さじ1(お好みで)
* ココアパウダー(仕上げ用) … 少々
* マシュマロ … 2個(トッピングに)
---
作り方
1. チョコを刻む
チョコレートを細かく刻んでおく。溶けやすくなるように。
2. 温める
鍋に牛乳を入れて弱火にかける。ふつふつしはじめたら火を止め、刻んだチョコを加える。
3. よく混ぜる
チョコが完全に溶けたら、生クリームと砂糖を加え、再び弱火にかけて混ぜる。
温まったら火を止め、カップに注ぐ。
4. 仕上げ
お好みでマシュマロを浮かべ、ココアパウダーをふる。
ひとくち目はやけどに注意して、そっと。
---
ふたり並んで、ことばのない時間。
チョコレートの湯気が、窓に白く曇りを描いた。
「……あったかいね」
それは、カップの中のことじゃない。
日向がこぼしたそのひとことに、楓は小さく頷いた。
---
味の感想(by 日向)
とろっとしてて、甘くて、すこしほろ苦い。
チョコだけじゃない、牛乳と生クリームのまろやかさで、心の奥まで包まれる感じ。
たった一杯で、会話のいらないやさしさが伝わってきた。
「……これ、好き。ずっと、そばに置いておきたい味」
---
ことばがなくても、ちゃんと通じることがある。
そんな夜を、ふたりはカップ片手に過ごした。
---
次回は「おでんと、長い夜の距離」
はふはふ息を弾ませながら、心の芯まで染みるやさしさを――
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます