No.016 続けるために side-カズ/ハナ

 1節 願う


 欲を言えば、月花を助けてやりたい。

 俺だってあいつとバンドがしたい。

 何かできるとすれば、夜にLINEで一緒に計画を立てるくらいだが。計画と言っても、そんなに大したものではない。月花の両親にバンドと志望校のことをどう説明すれば上手くいくだろうか、というのを考えるだけ。俺と月花だけじゃ出る案も出ないので、バンド全体で。特に祐樹と理紗さんがよく話してくれる。ありがたい限りだ。零と二斗さんはどうにも最近忙しいらしい。仕方ないが。

 月花にとってEND MEMORIESがどんな存在か、何があるからなんでその学校に行きたくないのか、その辺りをしっかり説明できればいけるんじゃないかと思っているが、そんなに上手く事が運ぶ気もしない。

 夜も深くなる頃、また通話を繋ぎながら考え続けていた。



 2節 両親


 私の両親はかなり頑固だ。言ってしまえば面倒臭い。親らしい所をほとんど見たことがない。お金を稼いでご飯を食べさせるなんて、子供がいようがいまいがすることだし。それとも私が親を嫌いだから変に見てるだけ?よく分からない。

 一人暮らしでもできたらいいんだけどな。多分大学生になるまで許されない気がする。

 暇な時はアンプでギャリギャリにギター掻き鳴らしてやろうかな。楽しいしスッキリするし練習できるし、一石三鳥。

 私のレスポールは力強い音が出るし、そんな用途にはちょうどいい。なんだかんだ可愛くてずっとこのギターを使っている。チェリーサンバーストの塗装してて、レスポール特有の丸いボディも相まって可愛くてけっこう好きなギター。ハムバッカー2基だから落ち着いた曲には向かないけど。あと重たい。この前ギター重たーいって言ってたら、和也に「じゃあベース担いでみろよ」って言われたけど。ベースとか普通に4.5kg超えるやつわんさかあるし、レスポールはギターの中じゃ重い方と言えどマシか。

 今はそんなこと言ってる場合じゃないんだけどさ。反抗的な意味も含めてギター掻き鳴らせたらなんて言ってたけど、怒られてギターやパソコンを売られたり壊されたりしたらどうしようもない。特にギターを壊されたりでもしたら立ち直れる気がしない。しばらくは弾かないようにするしかないか。

 まあ、バンドに戻りたいこととあの高校は嫌だってことはずっと言い続けるつもりだけど。



 3節 そもそも


 俺は月花の両親とは何度か話したことがある。いかにも頑固という感じで、いわゆる教育ママや教育パパと言われるような人たちだった。

 俺も専門学校に通う身ではあるが、時々なぜそんなに学歴が必要なのかとは考えることがある。高卒や中卒でも優秀だって言われるような人はいるし、大卒や専門卒でもなんだコイツってなる人もいる。後者にならないように気を付けたい所だ。ただ学歴が良いと就活や路頭に迷った時に便利だって話なんだろうが、だからって興味もない高校大学で貴重な7年間を費やす意味は無いという考えの人間なので、そこまで重要視していない。

 俺は行きたい高校にも専門学校にも通わせてもらっている、言ってしまえばそこそこ恵まれた人間だ。それなのに捻くれているもんだから、両親には申し訳ない。

 それはそうとして、だ。今のEND MEMORIESにはやるべきことが山ほどある。

 月花の問題に、MV撮影。しばらく後回しになりそうだが。あと次のライブとかもあるな。さてこの辺りをどうしたもんか、という所だ。6人で追々考えていくことになるだろうし、全員で話せる時にゆっくり考えていこう。

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