第2話

「寒っ…」


ココはママ(53歳)とあやちゃん(50歳)の二人でやっているバーで、人が少ない平日はあやちゃんだけで回していることも多く、あやちゃんとは仲が良い。

ママは結構気分屋で怒らせるとめんどくさいから深くは関わりたくない。

ママもあやちゃんも50代ってこともあって20代のお客さんも少なくて落ち着いて飲めるから俺は好きだ。


カランコロン


「いらっしゃいませ〜!おっ!健太!」


あやちゃんがカウンター越しに顔を出す。


健太「お疲れ〜暇そうだね」

あやちゃん「まだ20時だしね〜まだ健太だけ!」

健太「週末だしこれから?」

あやちゃん「そうね〜ママも22時から来るみたい」

健太「遅いね」

あやちゃん「二日酔いらしい、ビールでいい?」

健太「うん」


酒を飲みながらあやちゃんと今朝のニュースの話だったり、仕事の話、しょうもない話をした。


カランコロン


あやちゃん「いらっしゃいませ〜」

男「8人入れますー?」

あやちゃん「入れますよーどうぞー!」


男女8人グループが入ってきた。

横目でチラッと見た感じ、年齢層も性別もバラバラだ。


俺の左後ろのテーブル席に8人組は座った。


男「何飲むー?」

女「全員ハイボールでいいでしょ?」

男女「「いいよー」」

女「ハイボール8で!」

あやちゃん「はーい!」


あやちゃんが急に忙しくしだしたのを何となく見ていた。


女「ちょっとトイレ行ってくるー!」


なんかやたらと元気そうな声の女の子がトイレに行くと言ったのを聞いて自分もトイレに行きたくなってしまった。

あるあるだよね。


男女トイレは別なので自分も席を立ち、そのついでにグループの人たちを何となく見てトイレに向かった。


どういう集まりなんだ?

多分最年長は端っこに居た男の人だよな、多分50代半ば…

大学生くらいの男の子もいたし、凄く若い女の子もいたし、小太りの40代くらいのおばさんもいた。

会社の飲み会か?

仲良いんだな


そんな事を思いながらトイレを出ると先程トイレに入ったであろう女の子とタイミングが合ってしまった。


女「わ!びっくりした!ごめんなさい!」

健太「あ…いえ…」

女「よっしゃー飲むぞー!」

男「もうハイボール来てるぞー!」

女「すまねえすまねえ!」


言葉が出なかった。

一目惚れというものを信じてこなかった俺は、衝撃を受けた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る