第3話
席に戻ってビールを飲み干す。
あやちゃん「どうする?」
健太「ハイボール」
あやちゃん「はいよ」
ドキドキが止まらなかった。
目が合ったのはほんの一瞬だった。
大きなクリっとした目、小さい鼻、薄い唇。
暗めの茶髪がふわふわしていた。
左後ろが気になって仕方がない。
男「今日何時までいける!?」
女「何時まででもー!!」
一番元気で明るい声があの子だとすぐに分かった。
女「てか、全員名前何?」
男「それなー!笑」
え!?何!?
まじでどういう集まり!?
年齢層もバラバラ、男女比も男5女3で合コンでもなさそう
名前も知らないってどういうこと!?
女の子のことも気になったがそっちも気になった。
50代男性「松島です、たつろうの会社の社長です」
30代ガタイのいい男「たつろうでーす」
40代小太りの女性「さやかでーす」
20代男「さやかさんの甥のりゅうたです」
20代女「しほでーす」
30代細身の男「こうきです」
40代イケメン「ゆういちです」
可愛い女の子「覚えれね〜笑」
聞いても分からない、関係性が。
そして可愛い女の子だけ名乗らなかったのは何故。
可愛い女の子が一人一人の名前を呼んでは間違え呼んでは間違えを繰り返し、覚えた!と言っていた。
多分覚えていない。
誰かが可愛い女の子の名前を呼んでくれないものかと耳をダンボにして会話を盗み聞きしたけどなかなか名前は出てこずカラオケタイムに入ってしまった。
俺はコミュ力もなければ見た目に自信もない。
声をかけるなんてことは絶対にできないが、名前くらい知りたかった。
その後お客さんがドンドン増えて満席状態になり、店内は騒がしく、聞き耳を立てるのも難しくなってきた。
〜〜♪
カラオケのイントロが流れ出す。
湘南乃風の純恋歌だ。
「睡蓮〜の花〜のように〜」
可愛い女の子が歌い出し、あまりに歌が上手いので思わず振り返ってしまった。
騒がしくて気付かなかったが後から入ってきた関係ないお客さんもその子は巻き込んでいて全員がその子を見ている。
その子はあちこちのテーブルに移動しながらランダムにマイクを向け歌わせていてみんなもゲラゲラ笑ってかなり場を盛り上げているように見えた。
なんだこの可愛いコミュ力おばけは…
そう思った。
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