第5話 押込み営業は必要か?

長年、営業の仕事をしていると、勉強になり、気付かされる出来事に出くわす。

複数店を持つ大手販路の営業責任者に呼び出され、会いに行くと、「売れていないから、在庫を増やす。」

なぜ?「社員を動かす。工夫させる。」

「お客様に、勧めやすい商品は無いか?」


結果、売れ残った色を、その店のみのリベートを使い、全数引き取って貰った。その店は、全店大号令の下、短期間に売り切ってしまった。上手く膠着状態から脱出させ店の売上を伸ばし、社員を活気づけた。


日常会話で「心太式(ところてんしき)」という言葉が使われる事があります。意味は、「後ろから押されて前のものが自然に進んで行くこと」です。

常に前後が一杯になっている状態で、後ろから何かが入ってくると、自然に前にいるものが押し出されて行く事や、その様なシステムの事を言います。

自分の意思に関わらず前に進み、いつの間にか以前とは違う状態になっています。それがより高いレベルになっている事もあれば、疎外されている事もあるのです


押込み営業とは、心太式(ところてんしき)を加速させるための押し棒のようなものだと思います。在庫を多くする事で、店の資金を寝かす。店は早期現金化をしたいから、売る工夫をし出す。その小さな、見えない行動が、差を生む。


良い営業マンの押込みは、「押し棒」「借金」と同等のプレッシャーという、店を大きくするための、貢献活動なのです。このように、営業マンになった自分に暗示を掛けると、嫌がる店の反応を見ても、「これは店の為。俺が代表して悪者になろう。」と押し込めるようになる。不思議です。


私の答えは、押込み営業は「必要」です。人の創意工夫を引き出すには、絶対絶命の崖っぷちのプレッシャーが必要です。小さなプレッシャーですが、在庫で押す事は、営業マンの愛情と思えます。頑張れ!営業マン&小売店。

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