第5話 “私”のご主人様は私の夫③

 お父様は“私”に“営み機能”を付与しなかった。


「“パートナーアンドロイド”ではないのだからパテント料の高い“営み機能”を付与する必要もないだろう」とおっしゃったお父様の“本当のお気持ち”は私には理解できたし、私も私自身の根源的理由……『15歳を前にしてまだ“女性”になっていない私が“私”に“営み機能”を望むなぞおこがましい』と言う事で、それを望まなかった。


 手術が無事成功し、初めて“リンク動作”を行った時、私はベッドの上で横たわっている私とベッド脇に立っている“私”を同時に見た。


 意識はひとつでありふたつにもなれる……なんだか不思議でとても素敵な気持ちだ!!


 私の心に羽が生えて、ただ一歩ずつ歩いているだけなのにまるで空を飛んでいるかの様に思えた。

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