第4話 “私”のご主人様は私の夫②
『WK-001 SN00003*』と初めて会ったのはそれから半年後の事。
『20歳になった時の私』を想定して作られた
私はもうたまらなくなって……
“私”にお願いしてベッドの上で抱いてもらった。
私のips細胞を可能な限り使って作られた生体部分を持つ“私”は確かにお母様の匂いがして……私はこの奇跡に涙しながら『“私”と共に生き抜いて行こう!』と固く固く決心した。
私と“私”がリンクして一つになる為には、かなり大掛かりな脳手術を受けなければならなかった。
「体調を鑑みると手術を受けるのは時期尚早」とお医者様には止められたが、私は最早1秒も無駄にしたくなく、頑として譲らなかった。
“私”の毛母細胞にまだ問題があってどうしても
なんだか小坊主さんみたいで、「これはこれで可愛いなあ」と私は気に入ったが、お父様と響子ママが泣きそうな顔になってしまったので
「こんな事!なんの問題も無いわ! どうしてもサラサラヘアで手術跡を隠せと言うのなら早く毛母細胞を完成させて!そうしたら“私”から髪を返してもらうから」とケラケラ笑ってみせた。
手術までの数週間は朝から晩まで毎日“私”と一緒で……お父様や響子ママにも話せない様な隠し事や恥ずかしい事まで、洗いざらい“私”に話した。
それは、私と“私”が一つになる為だけではなく、手術が失敗したり、私の命が早々に潰えてしまった時の遺書の様なものだった。
でも一日が終わり、“私”におやすみを言う前には動かない私の手を握って貰って「必ず一つになろう」と誓い合った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます