初めて、まともな質問がきた夜

柳谷「こんばんは」

相談者(落ち着いた声)「こんばんは」

柳谷(若干警戒)「……お名前年齢お願いします」

相談者「三木。25歳、大学院生です」

柳谷(少し構える)「……はい。今夜のご相談、どうぞ」



相談者「はい。あの……

“ニュートリノ振動”の仕組みについて、ずっと気になっていまして。

特に“質量の非ゼロ仮説”と、“ミュオン型との識別精度”について、

最新の観測装置と理論の折り合いはどうなっているのか……」



柳谷「………………………………」



柳谷(ゆっくり口を開く)「……え、

すみません、もう一回、

その、“ちんちん”の部分からお願いしても?」



相談者「えっ? いや、“ちんちん”の話はしてませんが……」



柳谷(震える)「…………ちんちんは?

え、パンツ?……射精?

……猫の魂が部屋に溜まってるとか……ハウリングは?

……なんも、なんも無い?????」



(スタジオ沈黙)



柳谷「……あの、先生呼んできていいですか。

ちゃんと答えられる人。俺じゃない。俺、もう“精子で空を飛べるか”の方しか脳が……」



**番組スタッフのメモ:

“柳谷、脳が科学を忘れた”】



緊急ゲスト:素粒子理論専門・白井 教介(しらい・きょうすけ)先生


白井「こんばんは。“まともな質問”の処理に慣れていない現場を見るのは、非常に新鮮です」



白井「ニュートリノ振動における質量の非ゼロ仮説は、

すでにカミオカンデ等の観測によってほぼ確実視されています。

そのうえで“フレーバー変換”の過程を通じて、

標準理論との矛盾をどう補完するか――これが今後の鍵ですね」



相談者(食い気味)「なるほど!じゃあ、

マヨラナ粒子仮説との整合性は……?」



柳谷(虚ろ)「……誰か“マヨネーズで射精する男”呼んで……

俺の居場所が、わからなくなってきた……」



白井(優しく)「柳谷さん。

あなたが築いてきたのは、“ちんちん”の海に浮かぶ科学の小舟です。

だから、たまにまともな波が来ても、それはあなたが作ったラジオの幅だと思ってください」



柳谷(少し照れて)「……なんか今夜、

“ニュートリノ”って言葉が、ちょっと……

あったかく聞こえました。……ありがとな」



柳谷「ということで今夜は、

“狂気の森”に咲いた、“科学の小さな花”を拾いました。

子供は寝なさい、大人も寝なさい……

起きてるのは、今夜も――たまに正気でぶん殴ってくれる、あなた……」

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