うちの猫がかわいいんですけど、どうしたらいいですか?

柳谷「こんばんは」

相談者「こんばんは……」

柳谷「お名前年齢お願いします」

相談者「宮野、38歳です。会社員。猫を飼い始めて2ヶ月目です……」



柳谷「今夜は、“かわいさに耐えきれない感情”の正体について。

お迎えしたのは、動物行動学と感情過負荷症候群の専門家、**日下部 柚季(くさかべ・ゆずき)**先生です」



日下部「こんばんは。“可愛い”とは、脳が自分の限界を超えたときに出す悲鳴でもあります」



柳谷「では宮野さん、ご相談をどうぞ」



相談者「あの……猫が……かわいすぎて……

今日も……玄関でゴロンってして、

こっち見て“にゃ”って言うんです……

それだけで……会社休みたくなります……

毎晩……“そんなにかわいい顔して……”って泣いてます……

これ、脳が壊れてるんでしょうか……?」



柳谷(真顔)「はい。それ、脳が過負荷状態です」



日下部「俗に言う“かわいいの暴力”に対する防御反応ですね。

脳内ではオキシトシン、ドーパミン、セロトニンが同時多発で爆発しています。

これが過剰になると、**“仕事を放棄する”“言語能力が幼児退行する”**などの副作用が発生します」



柳谷「それはつまり――“猫のかわいさに殺される危険性がある”ってことですか?」



日下部「ええ。

特に“肉球がピンク”“寝言で鳴く”“あくびの後に舌が出る”などの行動は、

“視覚的即死ポイント”と呼ばれ、ヒト側の理性を焼き尽くします」



相談者(泣きながら)「じゃあ……どうすれば……助かりますか……?」



日下部「まず、“かわいい”を音読せず、ノートに書きましょう。

視覚化によって興奮を分散できます。

そして、可能なら**“かわいい”を別の名詞に置き換えて叫ぶ**と効果的です」



柳谷「たとえば?」



日下部「“可愛い”と思ったら、“鉛筆!”と叫んでください。脳がリセットされます。

他にも、“やばい”と思ったら“デパート!”など、実在物名詞変換法が有効です」



相談者「……ありがとうございます……

もう、“にゃ”で全てを諦めそうだったので……」



柳谷「ということで今夜もまた、

命を救うのは、愛情と、語彙力でした。

子供は寝なさい、大人も寝なさい……

起きてるのは、今夜も――小さな毛玉ひとつで人生を投げ出しかけてる、あなた……」

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