俺が宇宙の創造主だ

柳谷「こんばんは」

相談者「こんばんは」

柳谷「お名前年齢お願いします」

相談者「佐伯、41歳です……」



柳谷「ありがとうございます。本日は、ちょっと規模の大きなご相談です。

専門家は、東亜未来研究機構の宇宙構造仮説チーム代表、**辺見 無限(へんみ・むげん)**博士です」



辺見「こんばんは。宇宙は“広がる場所”ではなく、“拡がってしまった状態”です」



柳谷「もはや何言ってるか分かりませんが、佐伯さん、ご相談をどうぞ」



相談者「あの……俺が……宇宙の創造主だという気がして……最近、世界が俺の妄想に合わせて動いてる気がするんです……」



(数秒の沈黙)



柳谷「また厄介そうなの来たなあ」



辺見「それは“ソラリス型妄想拡張”と呼ばれるものに近いですね。簡単に言うと、

“意識が世界を創っている”という錯覚。でもですね、物理的には“観測者の存在”は宇宙に何の影響も与えていません」



相談者「でも……俺が望んだとおりに、今日も雨が降ったんです……」



辺見「それは気象庁が頑張っただけです。あなたではありません」



柳谷「ビシィィィ!刺さったァ!」



相談者「じゃあ……この“俺が神なんじゃないか”って感覚は……?」



辺見「それはだいたい、社会的責任からの逃避願望ですね。

世界を支配した方が、自分の無力さより楽なんです。“全部自分のせい”と思った方が、逆に気が楽ですから」



柳谷「要するに、“無職の神”が誕生した瞬間ってことですね?」



辺見「そうです。神なのに、何も変えられない。つらい立場ですね。

でも一つだけ、あなたに宇宙を動かす力があります」



相談者「えっ……あるんですか……?」



辺見「“自分の部屋の電気のスイッチ”です。あれだけは確実に、あなたの意志でON/OFFできます」



柳谷「それを“創造の神”と呼ぶには、スケールが豆電球やないですか……」



辺見「でも、豆電球の明かりだって、暗い宇宙の中では貴重なんですよ」



柳谷「うまいこと言いましたねえ先生。ではまとめます。“あなたが神なら、まず家賃を免除してください”。これに尽きます」



辺見「そして、宇宙の始まりより先に、あなたの始末書が必要です」



柳谷「ということで、今夜もひとつ賢くなりました。

子供は寝なさい、大人も寝なさい……起きてるのは、今夜も――妄想の中の神だけ……」

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