開花、自覚

『友達 よそよそしい 急に』

 打ってからため息をつく。天下のGoogle様もお手上げだろう。

 最近、茜と紫花がよそよそしい。いや、おそらく、客観的には何も変わっていない。ただ何となく。雰囲気が。よく分からないけど、微々たる違和感。十年来の友情を舐めないでいただきたい。

 しかし、心当たりが全くない。嫌なことがあったら嫌だという二人だし、嫌われてるなんてことは無いはずだ。

「ねぇ?困っちゃうねぇ」

 部屋で一人、ゲームセンターで取った小さいぬいぐるみに話しかける。痛い。と言うより、だいぶ滑稽だ。

「いやーほんと困っちゃいますよねー」

 最近自分が何をどこに置いたか分かんなくなる、疲れてるのかな。なんて話を紫花にしたが、幻聴まで聞こえてきた。

「ほんとに疲れてる……病院行こうかな」

「いやいや、自分の声幻聴にしないでもらえます?」

「……ぇ!!??」

 パタリとぬいぐるみが倒れる。触ってみても動かない。夢?気のせい?そんなもので片付けられるものではなく現実だった。

「え……こわ……」

 幽霊かと思った。体を求めて何か実態のあるものに入るなんてことよくある話だ。しかし、僕は一つの可能性を思い出した。いやまさか。有り得ない。……でももしかして。

「僕の……能力?」

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