Ep53:新たな試練と絆の模索

星見小学校の朝、教室に微かなざわめきが響く中、物語は動き出す。


リナは、星見探偵団の仲間であるカナエとケンタを教室の隅に集め、決意を込めて提案した。


「カナエ、ケンタ…。もう一度、シュウのところにもどらない? 星見探偵団、このままじゃ終わりだよ。」




カナエが頷き、賛成の意を示した。


「リナ、ケンタ、そうね。私も賛成よ。シュウとタクミの力なら、チームを立て直せるかもしれない。」




しかし、ケンタは眉を寄せ、否定的だった。


「カナエ、リナ、嫌だよ。あのイチャイチャ、また見るの嫌なんだ。辞めた理由忘れたの?」




話はまとまらず、日が1日1日過ぎていった。


リナは焦りを募らせ、ケンタを説得しようと試みたが、溝は埋まらなかった。 教室の空気は重くなり、星見探偵団の未来は不透明なままだった。




そんな中、6年生にとって小学校生活の最大の楽しみである修学旅行が2週間後に迫っていた。 当然、シュウとタクミは同じ部屋(2人1部屋)となり、2人はそのことを密かに楽しみにしていた。


シュウのクラスがワイワイと修学旅行の計画を話し合っていると、5年生メンバーのハルとユウキがシュウの元にやってきた。




ハルが少し緊張した声で切り出した。


「シュウ、助けてよ。僕たちのクラスの男子が嫌がらせに遭ってる。誰がやってるか突き止めてほしい。」




ユウキが静かに補足した。


「シュウ、詳しく話すよ。聞いてくれる?」




シュウは頷き、2人を教室の隅に連れて行った。


そこでハルとユウキから事情を聞いたその内容は、衝撃的だった。




毎日放課後、帰る前にその男子がトイレに立ち寄る際、用を足していると、顔を隠した人物が後ろから近づき、ズボンを下ろされ、モノを掴まれてしごかれるというのだ。




ハルが目を伏せ、恥ずかしそうに言った。


「シュウ、信じられないよね…。その男子、毎日怯えてるよ。」




ユウキが冷静に続けた。


「シュウ、顔が隠れてるから特定できない。放課後に何度も起きてるみたい。」




事情を聞いたシュウとタクミは、表情は険しい顔だったが、内心では少し興奮していた。 シュウは自分のモノがムクムクと大きくなり、無意識にズボンの上から触ってしまっていた。




タクミもそっとシュウの肩に手を置き、耳元で囁いた。


「シュウ、これヤバいね…。でも、ちょっとドキドキするよ。」




シュウがタクミの手を握り返し、声を低くして答えた。


「タクミ、気をつけろよ。興奮するけど、まず解決だ。修学旅行前に終わらせよう。」




ハルが不安そうに言った。


「シュウ、早く助けてよ。僕、怖いんだ。」




ユウキが頷き、加えた。


「シュウ、チームで動いてほしい。放課後にまた起きたら…。」




シュウは我に返り、決意を固めた。


「ハル、ユウキ、了解だ。タクミと一緒に調査する。修学旅行前にこの謎を解く。」




タクミが笑顔で頷いた。


「シュウ、僕も頑張る。シュウと一緒なら怖くないよ。」






その夜、シュウは自宅でノートを開き、事件の概要を整理した。


「顔を隠した人物…。トイレでの嫌がらせか。ハルとユウキのクラスを守るため、急がないと。修学旅行が近づいてるし…。でも、興奮が収まらないな。」


窓の外の桜の木を見つめながら、シュウは星見キッズの新たな挑戦に備えた。 リナの提案や星見探偵団の動向も気になりつつ、まずはこの謎に迫る決意を固めた。




(Ep53 完)

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