Ep42:新学期の始まり
4月上旬、星見小学校は新学期を迎え、6年生としての初めての登校日が始まった。
桜の花びらが校庭に舞い、春の新鮮な空気が漂っていた。
シュウとタクミは、春休み中の動揺を乗り越え、2人体制で新たなスタートを切っていた。シュウは新5年生を3人迎え入れる計画を立てており、タクミと共にその第一歩を踏み出そうとしていた。
朝、シュウとタクミは同じ6年1組に配属され、教室で再会を喜び合った。タクミがシュウの手を握り、笑顔で言った。
「シュウ、同じクラスだ! 6年生、僕たち一緒だね…」
シュウがタクミの手を優しく握り返し、微笑んだ。
「うん、タクミ…。僕も嬉しいよ。」
しかし、カナエ、リナ、ケンタはそれぞれ6年2組、6年3組に分かれ、シュウとタクミとは別のクラスとなった。
シュウは新5年生の候補者を探すため、5年生の教室を訪れる計画を立てていた。
放課後、シュウはタクミと共に5年1組の教室を覗いた。
「タクミ、5年生の中から3人選ばないと…。誰か活躍してくれそうな子がいないかな…」
タクミが教室を見回し、提案した。
「シュウ、あの子、活発そうだよ。もう一人、静かだけど賢そうな子もいる…。3人目、探してみよう!」
シュウがノートにメモを取りながら頷いた。
「うん、タクミ…。観察力いいね。少し様子を見て、話しかけてみよう」
2人は5年生の様子を観察し、候補者探しを始めた。
一方、星見探偵団は、新たな活動をスタートさせていた。
春休みに結成した彼らは、4年生のクラスの依頼を受けていた。
4年2組の女の子から、リコーダーが無くなったから探してと頼まれていた。
4年2組の教室で、ケンタがリーダーとして指示を出した。
「みんな、事件だ! リコーダーがなくなったって。手がかりを探そう!」
カナエが冷静に教室を調べ、指摘した。
「ケンタ、ここに足跡がある…。机の引き出しも乱れてる。誰かが入ったみたい…」
リナが周囲を見渡し、気づいた。
「ケンタ、窓が少し開いてる…。外から入ったのかも…」
ケンタがノートに記録しながら推理を試みた。
「足跡と窓…。外から侵入した犯人が、リコーダーを盗んだ可能性があるな。誰か怪しい奴がいないか…」
3人は教室や廊下をくまなく調べた。
カナエがゴミ箱から破れた紙切れを見つけた。
「これ…。メモの一部かな? 『リコーダー、必要…』って書いてある…」
リナが周囲を観察し、提案した。
「ケンタ、音楽室の近くで怪しい影見た気がする…。そこを調べたら?」
ケンタが音楽室に向かい、楽器の乱れや足跡を確認したが、決定的な証拠にたどり着けなかった。
「うーん…。足跡はあるけど、誰のものか分からない…。素人だとここまでか…」
カナエがため息をついた。
「ケンタ、探偵団として初めての依頼なのに、犯人までたどり着けないなんて…。もっと訓練が必要だね」
リナが小さく頷いた。
「うん…。次はうまくやれるように…」
その頃、シュウとタクミは5年生の教室で3人の候補者に目星をつけていた。活発な男の子、賢そうな女の子、そして少し内気だが好奇心旺盛な子だ。
シュウがタクミに相談した。
「タクミ、この3人ならバランスいいかな…。来週、話しかけてみよう」
タクミがシュウに寄りかかり、笑顔で答えた。
「うん、シュウ…。僕、シュウと一緒なら、新しい仲間とも仲良くなれるよ…」
その夜、シュウは自宅でノートを見直していた。
5年生の候補者と、星見探偵団の動向が頭をよぎった。
「タクミと新しい仲間で、星見キッズを復活させよう…。ケンタたちも探偵団として頑張ってるみたいだね…」
シュウは窓の外を見つめ、新学期の新たな冒険に思いを馳せた。桜の花びらが舞う中、星見キッズと星見探偵団の未来が静かに動き始めていた。
(Ep42 完)
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