Ep39:星見計画の終幕

シュウたちは修了式の日を迎えていた。


校庭の桜がほころび始め、5年生としての一年を締めくくる式が穏やかに進行していた。星見キッズは、ケンタがチームを辞めさせられた後、4人で活動を続けていた。


前話の地下室再調査で、ケンタが星見計画の利用された子供リストに含まれていたことが判明し、体育倉庫破壊事件との関連をシュウが疑っていた。


しかし、シュウはケンタをチームに戻そうとはしなかった。星見計画の最後の試練が迫る中、4人は結束を強めていた。






修了式が終わり、生徒たちが校庭で記念撮影をしたり、別れを惜しんだりする中、シュウたち星見キッズは高木刑事からの連絡を受け、校舎の裏に集まった。




高木の表情が厳しかった。


「シュウ、野村慎二が動いた。地下室に現れる可能性が高い。今が決着をつけるチャンスだ」




シュウがノートを手に、決意を込めて頷いた。


「高木刑事、星見キッズとして、最後まで戦います。星見計画を終わらせます」




タクミがシュウの手を握った。


「シュウ、僕、怖いけど…。シュウと一緒なら頑張れる…」




カナエが冷静に言った。


「シュウ、野村慎二を捕まえて、星見計画を終わらせよう。私たちも協力する」




リナがそばに置いたスケッチを手に頷いた。


「うん…。最後の戦い、記録に残そう…」






星見キッズは高木刑事と共に地下室へ向かった。地下室の薄暗い空間に足を踏み入れると、すぐに異変に気づいた。


隠し部屋の奥から物音が聞こえ、パソコンの画面が点滅していた。シュウが懐中電灯で照らしながら言った。


「野村慎二…。そこにいるんだろ?」




物音が止まり、暗がりから一人の男が姿を現した。野村慎二は黒羽根遥斗の同級生で、星見計画の主導者だった男だ。40代半ばの痩せた体型に、鋭い目つきが印象的だった。




「星見キッズ…。よくここまで辿り着いたな。だが、星見計画の真相はここで終わる」野村慎二が冷たく笑い、パソコンのデータを削除しようと手を伸ばした。




シュウが叫んだ。


「やめろ! 星見計画の被害を受けた子供たちのデータを消す気か?」




カナエが素早く野村の手を押さえ、タクミがタブレットでデータをバックアップした。


「シュウ、データ、保存したよ! 消させない!」




リナがスケッチを記録に使いながら、証拠を保存した。


「うん…。野村慎二の行動、全部記録してる…」




高木刑事が野村に近づき、手錠を取り出した。


「野村慎二、逮捕する。星見計画の不正、子供たちへの実験、全て明るみに出す」




野村が抵抗しようとした瞬間、シュウがノートを手に、鋭く問い詰めた。「野村、ケンタ…高橋健太も星見計画の被害者だろ? 体育倉庫の事件も、君がケンタを操ったんじゃないのか?」




野村が嘲笑した。


「高橋健太か…。確かにリストにいた子供だ。だが、私は何もしていない。あいつが勝手に暴走しただけだ。星見計画の影響を受けた子供たちは、時々不安定になる…。それを利用したまでだ」




シュウが拳を握り、怒りを抑えながら言った。


「ケンタを…。星見計画の被害者を…。君は許されない…」




野村が最後の抵抗を見せ、パソコンの破壊を試みたが、高木が素早く取り押さえ、逮捕した。




地下室に静寂が戻り、星見計画の最後の証拠が確保された。高木がシュウたちに感謝した。


「シュウ、星見キッズ、よくやった。野村慎二の逮捕で、星見計画は終わりだ。子供たちのデータも保護する」




シュウがノートを手に、呟いた。


「高木刑事、ありがとう…。星見計画、終わった…」




タクミがシュウの手を握り、微笑んだ。


「シュウ、僕たち、やったね…。星見キッズ、すごいよ…」




カナエが安堵の表情を見せた。


「シュウ、これで星見計画の被害を受けた子供たちも救われる…。ケンタも…」




リナがスケッチをそばに置いて頷いた。


「うん…。星見キッズ、4人で…」






地下室から出た星見キッズは、校庭の桜の下で一息ついた。修了式後の穏やかな時間が流れ、シュウがみんなを見回して言った。


「みんな…ありがとう。星見計画、終わった。ケンタのことは…僕が間違ったかもしれない。でも、今は星見キッズとして、新たな旅立ちを迎えよう」




タクミがシュウの手を握り、頷いた。


「シュウ、ケンタのこと、辛いよね…。でも、僕、シュウと一緒なら何でもできる…」




カナエが提案した。


「シュウ、新学期になったら、新しい5年生を星見キッズに入れよう。新しい仲間と新たな冒険を始めよう」




リナがスケッチを手に持って微笑んだ。


「うん…。星見キッズの新たなスタート…」




シュウがノートを手に、決意を新たにした。


「そうだね…。新学期、新しい星見キッズを作ろう。これまでの物語に終止符を打つよ…。みんな、ありがとう…」






その夜、シュウは自宅でノートを閉じた。星見計画の終幕と、ケンタとの別れが胸に重く残っていた。


「ケンタ…。君が被害者だったなら、もっと支えるべきだった…。でも、星見キッズは前に進む。新学期、新しい仲間と…」シュウは窓の外を見つめ、春休みの新たな冒険に思いを馳せた。桜の花びらが舞う中、星見キッズの第一章が幕を閉じた。




(Ep39 完)

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