Ep38:地下室の再調査
修了式を目前に控えていた星見キッズは、前話でケンタが星見キッズを辞めさせられ、4人になっていた。
ケンタの裏切りを巡る口喧嘩でチーム内にわだかまりが残っていたが、星見計画の解決に向けて結束を強めていた。
シュウとタクミの距離は近づいたままだったが、カナエとリナとの関係は修復途上だった。
シュウは自宅で星見計画のノートを見直していた。
2月下旬の地下室調査で星見計画が子供たちを利用した実験だったこと、野村慎二が主導者であることが判明していた。
しかし、シュウの心には別の疑念が芽生えていた。ケンタが関与した前話の体育倉庫破壊事件が、星見計画と無関係とは思えなかった。
ケンタの行動があまりにも唐突で、裏に何かが隠されているのではないかと疑っていた。
「ケンタ…。本当に身勝手な理由だけだったのか…? 星見計画と関係があるなら…」シュウが呟いた瞬間、携帯に高木刑事からの着信が入った。
「もしもし、シュウです。」
「シュウ、地下室の再調査が可能になった。野村慎二の動きが活発になってる。星見キッズの力を借りたい。学校に来てくれ」高木の声が緊迫していた。
シュウはノートを握りしめた。
「分かりました…。今すぐ行きます。みんなにも連絡します」
シュウはタクミ、カナエ、リナにメッセージを送り、星見小学校に向かった。
校庭の桜のつぼみが膨らみ、春の気配が濃くなる中、星見キッズが再び集結した。学校に到着すると、高木刑事が校舎の裏にある古い倉庫の入り口で待っていた。地下室への階段が再び開けられ、警察が周辺を警戒していた。
「シュウ、みんな、よく来てくれた。前回の調査で証拠を見つけたが、地下室の奥にまだ隠されたエリアがある可能性がある。野村慎二がそこに何か仕掛けているかもしれない」
高木が説明すると、シュウが頷いた。
「分かりました、高木刑事。真相を暴きます」
タクミがシュウの手を握った。
「シュウ、僕、怖いけど…。シュウと一緒なら頑張れる…」
シュウはタクミの温かさに心が温まり、微笑んだ。
「タクミ…ありがとう。僕も君がいるから頑張れる。みんな、一緒に…」
カナエが冷静に言った。
「シュウ、慎重にね。私たちも協力するよ。ケンタのことは…忘れて、今は集中しよう」
リナがスケッチブックを手に頷いた。
「うん…。地下室、スケッチで記録するよ。証拠を見逃さない…」
4人は高木刑事と共に地下室へ降りる階段を進んだ。湿った空気が漂い、薄暗い電灯が頼りだった。地下室に到着すると、前回の調査で見つけたファイルや装置がそのまま残されていた。
シュウが懐中電灯で照らしながら言った。
「前回の隠し扉…。奥にまだ何かあるかも…」
カナエが壁を調べ、異音に気づいた。
「シュウ、この壁…。叩くと空洞になってる。隠し部屋があるかも…」
タクミがタブレットで壁の構造を撮影した。
「シュウ、ここ、押したら開くかも…」
リナがスケッチを手に、壁の模様を記録した。
「うん…。壁の模様、変なところがある…」
シュウが壁を押すと、隠し扉がゆっくりと開いた。扉の奥には狭い部屋があり、古いパソコンと一冊のノートが置かれていた。
パソコンには「星見計画:最終報告」と書かれたファイルが表示されていた。
シュウがノートを開き、読み始めた。
「『星見計画、最終フェーズ。子供たちのデータを基に、教育プログラムを完成させる。失敗した場合、証拠隠滅のため地下室を封鎖。責任者:野村慎二』…」
カナエがパソコンのファイルをクリックし、内容を確認した。
「シュウ、子供たちの行動データが記録されてる…。黒羽根遥斗の名前もある…。実験は失敗して、野村慎二が計画を隠したんだ…」
タクミが驚き、呟いた。
「シュウ、こんなこと…。子供たちを利用して…」
リナがスケッチを続けながら言った。
「シュウ…。パソコンのデータ、野村慎二が最近アクセスした形跡がある…。ここに来てる…」
シュウがパソコンのデータをさらに調べていると、利用された子供たちのリストが表示された。その中に、衝撃的な名前を見つけた。
「…! ケンタ…。高橋健太…。このリストに…」シュウの声が震えた
。タクミが驚き、シュウの手を握った。
「シュウ、ケンタが…? 星見計画に…?」
カナエが冷静に言った。
「シュウ、ケンタが利用されていた子供の一人だったなら…。体育倉庫の事件、もしかして野村慎二に操られていた可能性が…」
リナがスケッチを手に、呟いた。
「ケンタ…。星見計画の被害者だったんだ…」
シュウはノートを握りしめ、考え込んだ。
「ケンタ…。僕が辞めさせたけど…。もし野村慎二に操られていたなら…。僕、間違ったかもしれない…」
高木がノートを手に、シュウに報告した。
「シュウ、これは重要な証拠だ。野村慎二が地下室に再び現れる可能性が高い。データをコピーして、すぐに分析する。ケンタのことも調べる必要がある」
シュウが決意を込めて言った。
「高木刑事、野村慎二が動くなら、僕たちも準備します。星見キッズとして、最後まで戦います。ケンタのことも…真相を確かめないと…」
タクミがシュウの手を握った。
「シュウ、僕、シュウと一緒なら怖くない…。星見キッズとして、頑張るよ…」
カナエが頷いた。
「シュウ、私たちも協力する。野村慎二を捕まえて、星見計画を終わらせよう。ケンタのことも…」
リナがスケッチを手に微笑んだ。
「うん…。証拠、スケッチに残したよ。星見キッズ、4人で…」
地下室から出た星見キッズは、校庭の桜のつぼみを見つめながら一息ついた。
シュウがみんなを見回し、言った。
「みんな…ありがとう。ケンタのことで間違ったかもしれない…。でも、星見キッズとして、最後まで戦おう」
タクミがシュウの手を握り、微笑んだ。
「シュウ、僕、シュウと一緒なら何でもできる…」
カナエが静かに言った。
「シュウ、ケンタのことは気になるけど…。今は野村慎二を捕まえることに集中しよう」
リナがスケッチブックを抱きしめた。
「うん…。桜とみんな、スケッチしたよ。星見キッズ、頑張ろう…」
その夜、シュウは自宅でノートを見直していた。地下室の新たな証拠、ケンタが星見計画のリストに含まれていたこと、野村慎二の動きが頭から離れなかった。
「ケンタ…。もし操られていたなら、僕が間違った…。野村慎二、星見計画の最後の試練が、修了式で来るかもしれない…。みんなを守らないと…」シュウは窓の外を見つめ、星見キッズの最終決戦に備えた。静かな夜が、クライマックスを予感させていた。
(Ep38 完)
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