Ep32:公民館の真相(星見計画の再来)


星見小学校の合唱祭当日が朝を迎えた。


体育館ではクラスごとのリハーサルが進められ、色とりどりの飾りが会場を華やかに彩っていた。しかし、星見キッズは、前夜に発生した公民館刺傷事件の解決に心を奪われていた。


被害者の佐々木健次は意識を取り戻したが話せず、現場に残された「次はお前が…星見キッズを壊す」という脅迫文が、過去のモール事件や公園事件と繋がっていることを示していた。


シュウの自宅で不穏な影を見た夜から、合唱祭当日も事件の影が彼らの心を離れなかった。シュウは体育館で低音パートの練習をしながら、タクミの隣に立っていた。




タクミの澄んだ歌声が響き、シュウの心を温めたが、同時に葛藤が募った。「タクミ…。君の声が好きだ…。でも、この気持ちを抑えないと、みんなをまた傷つける…」シュウは目を閉じ、感情を抑え込んだ。




タクミが「シュウ、緊張する…。でも、シュウがそばにいると安心する!」と笑顔を見せ、シュウは「僕もだよ、タクミ…」と答えたが、心の中では「犯人の次の事件…。合唱祭で何かあるかも…」と警戒していた。




カナエ、ケンタ、リナも高音や低音パートで歌いながら、シュウの様子を気遣っていた。「シュウ…。タクミと仲良くしてるけど、事件のことが頭にあるよね…」カナエがリナに囁いた。




「うん…。シュウ、頑張ってるみたい。星見キッズとして、また協力したい…」リナがスケッチブックに体育館の様子を描きながら答えた。




ケンタが「シュウ、事件のこと考えてるな…。僕も気になる。合唱祭、成功させたいけど…」と呟き、サッカーボールを手に握った。






リハーサルが終わり、5年1組は教室で昼食をとった。シュウはノートを開き、公民館事件の記録を振り返った。


「『星見キッズを壊す』…。星見計画が絡んでる? 序盤に追ってたあのプロジェクト…。学校が隠してる何かと関係があるのか…」シュウが呟くと、タクミが近づき、「シュウ、お昼一緒に食べよう! お母さんがおにぎり作ってくれたよ!」と笑顔で誘った。




「うん、タクミ…。ありがとう」シュウはタクミの無垢な笑顔に心が揺れ、「この気持ち…。抑えなきゃ…」と自分に言い聞かせた。






午後の合唱祭本番が始まり、体育館は全校生徒と保護者で埋まった。5年1組の出番が近づき、シュウたちは舞台裏で待機した。


タクミが「シュウ、緊張するけど…みんなと歌えるの嬉しい!」と呟くと、シュウは「タクミ、大丈夫だよ。一緒に歌おう」と励ました。




カナエが「シュウ、タクミ、みんなで頑張ろうね」と声をかけ、ケンタが「星見キッズのパワーだ!」と拳を突き上げ、リナが「この瞬間、スケッチに残したい…」と微笑んだ。




シュウは「みんな…ありがとう。星見キッズとして、また一緒に…」と呟いたが、カナエたちの微妙な距離感がまだ残っていた。




5年1組の「Believe」が体育館に響き、低音と高音がハーモニーを生んだ。保護者から拍手が起こり、田中先生が目を潤ませて見守った。シュウは歌いながら、「タクミ…みんな…。この歌声が絆を取り戻してくれたら…」と願ったが、脅迫文のことが頭から離れなかった。






合唱祭が終わり、5年1組は優秀賞を受賞。生徒たちが喜び合う中、シュウたちは教室に戻り、達成感に浸った。


「やった! 優秀賞だ! みんな、すごいよ!」タクミが笑顔で叫び、シュウが「タクミ、君の声が最高だった…。みんな、ありがとう…」と微笑んだ。




カナエが「シュウ、事件のこと、話そう。星見キッズとして動かないと…」と切り出すと、ケンタが「うん、犯人が僕たちを狙ってるなら、負けない!」リナが「スケッチで手がかり、整理するよ」と頷いた。


シュは「みんな…ありがとう。星見キッズとして、また一緒に戦おう。星見計画の謎、解明するよ」と決意した。






放課後、星見キッズは公民館に戻り、調査を再開した。


高木刑事が待機しており、「シュウ、合唱祭お疲れ様。佐々木健次が『黒い影…星見…計画…』と言った。星見計画って、君たちが追ってたプロジェクトだろ?」と報告した。


シュウが驚き、「星見計画…。そうだ。1学期に、学校が何か隠してるプロジェクトを追ってた。学校の予算や記録の不正が疑われたけど、証拠がなくて…。犯人がそれを知ってる?」と呟いた。


タクミがタブレットで過去の記録を調べ、「シュウ、星見計画、卒業生が関わってるかも…。卒業アルバム、チェックしてみる?」と提案した。




カナエが「星見計画…。学校が隠してる何か? 予算の不正や、子供たちを利用した実験とか…」と仮説を立て、ケンタが「シュウ、公民館の裏口の泥、もっと詳しく調べよう。犯人の足跡かも!」と動き、リナが「スケッチで泥の模様、描いてみる。手がかりになるかも」とスケッチブックを開いた。




シュウが「みんな、ありがとう…。星見計画が復活したなら、僕たちの活動を監視してる。僕たちを壊す理由が…」とノートに書き込んだ。




高木が「星見計画…。学校の古い記録に何かあるかもしれない。だが、犯人の身元が分からない。足跡の鑑定を急ぐよ」と付け加えた。




シュウは「公民館の周辺を調べます。犯人が近くに潜んでるなら、痕跡があるはず…」と提案し、星見キッズは外へ出た。




雪が積もり、冷たい風が吹く中、タクミが「シュウ、裏口の近くに新しい足跡が…! 雪が降る前のだ!」と叫んだ。




ケンタが「足跡をたどると、公民館の裏の倉庫に…!」と報告し、チームは倉庫に近づいた。




錆びた倉庫のドアが開き、シュウが「みんな、気をつけて…。犯人が中にいるかも…」と囁いた。ドアを開けると、薄暗い倉庫に古い道具が積まれていた。




リナが「シュウ、奥に人影が…!」と叫び、シュウが懐中電灯で照らすと、黒いフードをかぶった男が立っていた。




男が振り返り、冷たい声で言った。


「星見キッズ…。よく来たな。俺は黒羽根遥斗、星見小学校の卒業生だ。星見計画を知ってる…」




シュウが驚き、「黒羽根さん…? 星見計画って何ですか? なぜ僕たちを…」と尋ねると、黒羽根が「星見計画は、星見小学校が生んだ暗部だ。予算の不正や、優秀な子供たちを利用して実験を行ったプロジェクト。俺はかつてその犠牲者だった。君たちのような子供たちが真相を暴いたせいで、俺の過去が再び掘り起こされた。君たちを壊すことで、計画を終わらせ、俺の復讐を果たすんだ!」と叫んだ。




シュウが「実験…? 僕たちは…」




「黙れ! 君たちが序盤に追ったことで、星見計画の存在が明るみに出そうになった。だが、俺はそれを許さない。学校の地下に証拠が残ってるが、君たちには見せるつもりはない…!」黒羽根がナイフを手に迫り、シュウたちを威嚇した。




タクミが「シュウ、危ない!」と叫び、シュウを庇った。




カナエが「やめて! 星見キッズは悪くない!」と声を上げ、ケンタが「シュウを守る!」と前に出た。




リナが「スケッチに証拠を残す!」と慌てて描いた。




高木刑事が部下と共に突入し、「黒羽根遥斗、抵抗するな! 逮捕する!」と叫んだ。黒羽根はナイフを捨て、抵抗を諦めた。「…星見計画は、まだ終わらない…。君たちを壊すのは、俺だけでない…」と呟いた。




シュウが「黒羽根さん、星見計画の真実を教えてください…!」と尋ねると、黒羽根は「…学校の地下室に、すべてが隠されてる。だが、君たちには届かせない…」と目を閉じた。




高木が「連行する。シュウ、星見キッズ、よくやった。だが、黒羽根の言葉、気にかかる…」と告げた。星見キッズは倉庫の外に出て、安堵の息をついた。




シュウが「みんな…ありがとう。星見キッズとして、また一緒に戦えた…。でも、僕のタクミへの気持ち、みんなを…」と呟くと、カナエが「シュウ、正直、まだ距離はあるよ。でも、今日、星見キッズとして戦えたのは事実。少しずつ信頼を取り戻そう…」と答えた。ケンタが「うん、シュウ! 僕も星見キッズ、復活させたい!」リナが「スケッチに今日を残すよ」と微笑んだ。タクミが「シュウ、僕、そばにいたい…。でも、みんなも大事だよ」と手を握った。シュウは涙をこぼし、「タクミ…みんな…。ありがとう。この気持ち、ちゃんと向き合うよ…」と決意した。






雪が降り続ける中、星見キッズは絆を取り戻しつつあった。しかし、黒羽根の言葉がシュウの心に引っかかった。「星見計画…。学校の地下室に証拠…。次の試練が…?」シュウがノートを開くと、脅迫文に小さなメモが挟まれていた。「星見小学校、地下室へ。真実が君を待つ…」シュウが「…! 学校が危険だ…!」と呟いた瞬間、遠くで爆発音が響き、体育館の明かりが一瞬消えた。「…来た…!」シュウが顔を上げ、星見キッズの新たな危機が始まった。




(Ep32 完)

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