12月26日、クリスマスの翌日、星見市は新たな事件に揺れていた。星見モール近くの公園で、ジョギング中の田中一郎（42歳）が刺され、意識不明の重体に陥った。現場には「次はお前が…見つけるまで」と書かれた脅迫文が残され、モール事件と同じ犯人の関与が疑われた。星見キッズは分裂状態にあり、シュウが一人で調査に挑んでいた。シュウのタクミへの感情が原因でチームワークが乱れ、カナエ、ケンタ、リナは距離を取っていた。高木刑事がシュウに協力を依頼し、シュウは犯人が自分を標的にしている可能性に直面していた。

シュウは雪が降り続ける公園で、現場を詳しく調べていた。血痕が残る小道、脅迫文が落ちていたベンチの近く、そして雪に残る足跡……シュウはノートに状況を書き込みながら考えを巡らせた。

「犯人の足跡は成人男性のサイズ。モール事件と同じ黒いフードの人物…。『次はお前が…見つけるまで』って、僕を挑発してる。トリックがあるはず…」

シュウは雪の中を歩き、公園の周囲を注意深く観察した。木々の影、ゴミ箱の裏、凍った池の近く――何かを見逃さないよう目を凝らした。

高木刑事が近づき、「シュウ、何か見つけたか？ 犯人が君を標的にしてるなら、危険だ。保護した方がいい」と心配そうに言った。

「高木刑事、ありがとう。でも、犯人を捕まえないと…。この脅迫文、僕が解くべき謎なんだと思います」シュウはノートを手に決意を込めた。

高木が頷き、「分かった。だが、無理はするな。君一人じゃ心細いだろう…。星見キッズの仲間は…」と尋ねると、シュウが目を伏せた。

「…みんな、僕と距離を取ってる。僕が原因で…。でも、一人でやります」

シュウは公園の池の近くで、小さなプラスチック片を見つけた。

「これ…ナイフの柄の一部だ！ 血痕も付いてる。犯人が捨てたんだ…」

シュウがビニール袋に証拠を入れ、高木に渡した。

「高木刑事、これを鑑定してください。DNAが出るかも」

「よく見つけたな、シュウ。すぐに鑑定に出す。だが、凶器本体がない。トリックがまだ分からない…」高木が首をかしげた。

シュウはノートに書き込み、

「モール事件ではシャンデリアの反射と時計操作がトリックだった。今回は公園…。視線を逸らす何かがあるはず」と呟いた。

シュウが池の周りを歩くと、雪に隠された細いロープが木に結ばれているのに気づいた。

「このロープ…。池の氷の下に何かあるかも！」

シュウがロープをたどると、氷の下にナイフが沈んでいるのが見えた。

「高木刑事、凶器です！ 犯人が氷の下に隠したんだ！」

高木が急いで部下を呼び、

「氷を割ってナイフを回収しろ！ シュウ、すごいぞ！」と感心した。

シュウは「犯人はナイフを隠して逃走した。目撃者が少ないのは、早朝で人気がなかったから…。でも、トリックはまだ…」と考え込んだ。

その頃、タクミは自宅でニュースを見ていると中継のカメラにシュウの姿があった。

「シュウ…。公園でまた事件…。シュウが関わってるって…。僕、行きたい…。でも、みんなが…」

タクミがタブレットを握りしめると、母親が声をかけた。

「タクミ、ニュース見て心配そうね。シュウくん、大丈夫かな？」

「お母さん…。シュウ、僕のこと好きって言ってくれたけど、みんながバラバラになっちゃった…。でも、シュウが危ないなら…」タクミは決意を固め、コートを手に「公園に行く！」と家を飛び出した。

カナエもニュースを見て、「シュウ…。また事件に…。危ないよ…」と呟いた。

ケンタは公園の近くを通りかかり、「シュウがいる…。でも、僕…」と躊躇した。

リナはスケッチブックに事件のニュースを書き、「シュウ…。一人で頑張ってる…。助けたい…」と涙をこぼした。

タクミが公園に着くと、シュウの姿が見えた。

「シュウ！」タクミが駆け寄り、シュウが振り返った。

「タクミ！？ どうして…」

「ニュース見たんだ…。シュウ、危ないって…。僕、助けたい…」

タクミが目を潤ませた。

シュウはタクミの手を握り、

「タクミ…ありがとう。君が来てくれて、嬉しい…。でも、みんなは…」

「シュウ、僕だけでごめん…。でも、シュウが危ないなら、僕、そばにいたい…」

タクミがタブレットを取り出し、

「公園の周辺、カメラ映像で調べるよ。犯人の逃走経路、見つけられるかも！」

シュウはタクミの無垢な笑顔に心が温まり、

「タクミ…ありがとう。一緒にやろう」と微笑んだ。

しかし、カナエたちの不在がシュウの心に影を落とした。

タクミが映像を解析し、

「シュウ、公園の出口近くで、黒いフードの人物がバイクに乗って逃げるのが映ってる！ ナンバープレートは…見えないけど…」と報告した。

「バイクか…。逃走手段があったんだ。それで目撃者が少なかった…」シュウがノートに書き込んだ。

高木が「バイクの映像を追跡する。シュウ、タクミ、よくやった」と褒めた。

シュウは「でも、トリックがまだ…。『見つけるまで』って、僕を挑発してる。犯人が僕を狙ってるなら…」と考え込んだ。

その時、シュウの携帯に知らない番号からメッセージが届いた。

「星見キッズのシュウへ。次の標的はお前だ。公園の雪だるまの下で待つ。――名無しの挑戦者」

シュウが顔を上げると、公園の隅に小さな雪だるまが置かれていた。

「高木刑事、犯人からのメッセージです！ 雪だるまの下に…」シュウが駆け寄り、雪だるまの下を掘ると、小さな封筒が出てきた。

中には「君の大切な仲間を奪う。次の事件は新年だ」と書かれていた。

「新年…。年末年始に何か起きる…。タクミ、みんなが…！」シュウが震えた。

タクミが「シュウ、僕、みんなに連絡する！ カナエ、ケンタ、リナ…。シュウが危ないって伝えなきゃ！」とタブレットでメッセージを送った。

カナエの携帯が鳴り、「タクミから…？ シュウが危ない…！？」と驚いた。

ケンタもメッセージを受け、「シュウ…。僕、行かなきゃ…！」と公園に向かった。

リナが「シュウ…。私も…！」とスケッチブックを手に家を出た。

タクミのメッセージが、バラバラだった星見キッズに小さな波紋を広げていた。

公園にカナエ、ケンタ、リナが到着し、シュウとタクミの姿を見つけた。

「シュウ！ タクミ！」カナエが叫び、3人が駆け寄った。

「みんな…！ どうして…？」シュウが驚いた。

「タクミからメッセージが…。シュウが危ないって…。私たち、距離を置いてたけど…。シュウを見捨てるなんてできない…」カナエが目を潤ませた。

「シュウ、僕、シュウのこと嫌いじゃないよ。星見キッズ、解散したくない…！」ケンタが拳を握った。

「シュウ、私も…。一緒に戦いたい…」リナがスケッチブックを握りしめた。

シュウは涙をこぼし、「みんな…ありがとう。僕が悪かった。タクミへの気持ちで、みんなを傷つけて…。でも、こうやって来てくれて…」

タクミが「シュウ、僕も嬉しい…。でも、犯人がシュウを狙ってるなら、みんなで守らないと…！」と声を上げた。

高木が「星見キッズ、再結集だな。次の事件は新年…。年末年始、警戒が必要だ。シュウ、みんなで乗り越えろ」と励ました。

シュウはノートを手に、

「犯人の目的は僕を挑発すること。『次の事件は新年』…。年末年始に何かが起きる。みんな、協力してくれる…？」と尋ねた。

カナエが頷き、「シュウ、今回は協力するよ。でも、私たちの気持ち、ちゃんと受け止めてね…」

「うん、カナエ…。ありがとう。星見キッズとして、また一緒に…」シュウが言葉を詰まらせた。

ケンタが「シュウ、僕も頑張るよ！ 星見キッズ、復活だ！」と笑顔を見せ、リナが「うん、シュウ…。スケッチで手がかり、描くよ」と微笑んだ。

星見キッズは再び集まったが、完全な修復にはまだ時間がかかりそうだった。シュウのタクミへの感情は抑えきれず、カナエたちの心にはまだわだかまりが残っていた。それでも、シュウを危機から守るため、一時的に団結した。雪が降り続ける公園で、星見キッズは次の事件に備える決意を固めた。年末年始が、新たな試練と絆の再構築の時となるだろう。

（Ep28 完）