Ep29:年末年始の穏やかな日々(静かな再会の兆し)


クリスマスの熱気も落ち着き、星見市は年末年始のまったりした雰囲気に包まれていた。街のイルミネーションはまだ輝きを保ち、商店街にはおせちの食材を求める人々や、初詣の準備をする家族の姿が見られた。


冬休みに入った星見小学校の生徒たちは、家族と過ごす時間や、近しい友人と過ごす穏やかな日々を楽しんでいた。星見キッズは、公園での刺傷事件を解決した後、一時的に再結集したものの、チームの亀裂は依然として残っていた。シュウのタクミへの感情が原因で、カナエ、ケンタ、リナとの距離は埋まらず、5人が完全に元の絆を取り戻すにはまだ時間がかかっていた。






シュウは自宅の暖かいリビングで、家族と過ごしていた。窓の外には雪が積もり、クリスマスツリーの飾りがまだ残る中、


母が「お正月用の餅つき、シュウも手伝ってね」と笑顔で声をかけた。




「うん、母さん…。手伝うよ」シュウは曖昧に答え、ノートを手に持っていた。ノートには、公園事件の記録と「次はお前が…見つけるまで」「次の事件は新年」という犯人のメッセージが書き込まれていた。




「タクミ…。君の笑顔が頭から離れない。でも、みんなが距離を取ってる…。僕、どうすればいいんだ…」シュウはメガネを外し、目を閉じた。




母が近づき、「シュウ、最近考え込んでいるみたいね。何かあった?」と尋ねたが、




「…ううん、大丈夫だよ。友達とのことで、少し悩んでて…」シュウは曖昧に答え、母に心配をかけたくなかった。






その夜、シュウは家族と一緒にテレビを見ながら、餅を焼いて食べた。


父が「シュウ、今年もよく頑張ったな。来年も元気にね」と肩を叩き、シュウは小さく笑った。




「うん…ありがとう、父さん。でも、星見キッズのこと…。来年、ちゃんと向き合いたい…」シュウは心の中で呟いた。


タクミの無垢な笑顔が浮かび、ショタコンとしての感情が再び胸をざわつかせた。


「この気持ちを抑えるか、受け入れるか…。来年、みんなと一緒に解決しないと…」シュウは餅を噛みしめ、決意を新たにした。






一方、カナエは自宅で家族と年越しそばを作っていた。


キッチンで母と一緒に麺を茹でながら、


「カナエ、最近お友達とどう? クリスマス楽しかった?」と聞かれた。




「うん…楽しかったけど…。友達と少し距離があって…。来年、仲直りしたいな」カナエはそばを混ぜながら呟いた。




母が「友達は大事だよ。気持ちを伝えれば、きっと分かってくれる」と励まし、カナエは頷いた。




「シュウ…。タクミへの気持ち、分からなくはないけど…。チームとして、また一緒にやれる日を待とう…」カナエはそばを食べながら、星見キッズの笑顔を思い出した。






ケンタは近所の公園で、家族と一緒に雪だるまを作っていた。


父が「ケンタ、今年もサッカーで頑張ったな。冬休みも楽しめよ」と笑い、弟と雪を丸めた。




ケンタが「うん…。でも、友達とちょっとケンカしてて…。星見キッズ、また一緒にやりたいな」と呟いた。




弟が「ケンタ、雪だるまに目つけよう!」と喜ぶ中、ケンタはシュウのことを考えた。


「シュウ、辛かっただろうけど…。僕も我慢してたんだ。来年、ちゃんと話したい…」ケンタは雪だるまの帽子を被せ、笑顔を取り戻した。






リナは自宅の部屋で、スケッチブックに年末の風景を描いていた。窓から見える雪景色や、家族が飾るお正月の飾りを丁寧にスケッチしながら、


「シュウ…。タクミのこと好きでも、みんなを傷つけたよね…。でも、クリスマスで離れてたけど、公園の事件でまた会えた…。来年、みんなで描きたいな」リナは色鉛筆を手に、星見キッズの5人をスケッチし始めた。




母が「お正月の準備、手伝ってね」と呼び、リナは「うん!」と答えた。スケッチブックを閉じ、家族との時間を楽しんだ。






タクミは自宅で、母親と一緒に年越しのお菓子作りをして過ごしていた。


キッチンでクッキーを焼く間、「タクミ、シュウくんのこと、気にしてるね?」と母親が優しく尋ねた。




「うん…。シュウ、僕のこと好きって言ってくれたけど、みんなが離れちゃって…。僕、シュウとまた一緒にいたいよ…」タクミが目を潤ませた。




母親が「タクミが笑顔なら、友達も戻ってくるよ。来年、頑張ってみなさい」と励まし、タクミはクッキーを手に頷いた。




「シュウ…。来年、みんなでまた星見キッズになれるかな…」タクミはクッキーを食べながら、タブレットでシュウの写真を見た。








大晦日の夜、星見市では除夜の鐘が鳴り、家族たちがお寺に初詣の準備を始めた。




シュウは家族と一緒にテレビでカウントダウンを見ながら、「新しい年…。星見キッズのこと、どうするか…。タクミへの気持ちと、みんなとの絆…」と呟いた。時計が0時を告げ、外が騒がしい。


シュウは窓から星を眺め、「来年、みんなとまた一緒に…。事件も解決して、星見キッズを復活させたい…」と願いを込めた。




カナエは家族と初詣に出かけ、ケンタも弟と一緒に初詣、リナはスケッチブックに星見キッズを描き、タクミは母親と神社で鈴を鳴らした。4人はそれぞれの場所で、星見キッズのことを考えていた。


「シュウ…。来年、ちゃんと話そう…」


「シュウ…。また一緒に戦いたい…」


「シュウ…。みんなで笑いたい…」


「シュウ…。僕、そばにいたい…」


それぞれの心に、シュウへの想いと、チームの再結集への小さな希望が芽生えていた。




シュウは初日の出を見ながら、ノートに「2026年、星見キッズ復活」と書き込んだ。


「タクミ…。みんな…。新年、ちゃんと向き合おう。犯人の次の事件にも備えるよ…」シュウはメガネを直し、決意を固めた。年末年始のまったりした時間は、星見キッズに休息をもたらしつつ、3学期に向けた新たな一歩を踏み出す準備を静かに進めていた。




(Ep29 完)

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