セリフ 21〜40

21 如月の望月

「大丈夫、まだ死なないわ。私は桜の下で春に死ぬ。そう決めてるの。

そうそれこそ、できるのならば2月15日くらいにね」


22 自由

「あははっ!私は、自由よっ!ついに、願ったこの瞬間!私が思い描いたこの自由が、今!この瞬間に私のものになった!誰かに縛られる生活なんて、この世に必要ないわ!私は新しい私として、この世界を自由に生き抜いてやる。もう絶対に、あんな不自由な鳥籠には戻らない」


23 人魚の肉

「人魚の肉を食べると不老不死になる話を信じて海まで来たの?随分と変わった人だね。今時そんなの信じる人はいないよ。何十年か前までは、それなりにいたけどね…ん?私?私は、そうだね…ずっとここに住んでるだけの、ただの人間だよ。病気知らずのね…さ、ここにはお目当てはないから帰りなよ。貴方は不老不死を求めたのかもしれないけど、そんないいものでもないと思うよ。死ねないのは、貴方が思うよりずっと辛いから」


24 愛してた

「違う、違う、違うッ!そんなんじゃない!彼は私を愛してる!他の何よりも、私を愛してくれてるの!!!お前みたいな女が、ちょっとしっぽ振ったからって相手してもらえるわけないじゃない!自惚れんじゃないわよ!!何が幼なじみよっ!何が腐れ縁よっ!そうやって関係に名前つけて、私より優位に立ったと勘違いしたいだけでしょ!?私は、彼の彼女なの!彼は絶対に私を愛してくれてるもの!!私以外を見ないって、約束してくれたもの!!!」


25 世界

「もしさ、この世界が誰かに操作されているゲームの世界だとしたらさ、どーする?...どうするってのも変な聞き方だね。もしだよ?自分がゲームのキャラクターだったら。主人公は誰なのかな?自分はただのモブなのかな?この思考は無駄かもしれないけど、もしだ。この世界が何者かに操作されているものだったとして、私のこの思考も誰かに操作されているものだとしたら。

…ふふ、じょーだん。暇だったのよん」


26 ファフロッキーズ

「私はね、雨を操ると言っただろう?しかし、その雨というのは様々あるものだ。その中で主に広く知られているのは水の滴、または雹などの氷とかかな。広く知られているというか、それが常識だね。当たり前だ。でも、いきなり海洋生物が降ってきたら怖いだろう?そうだ、それが普通なんだ。だからね、世界を混沌に陥らせるためには、そんな簡単な恐怖でいいんだ。それがどんどんと伝播し、そのうち私の与りあずかり知らぬところで楽しそうに喧嘩してくれる。私はただ整えただけさ、喧嘩をする土俵を」


27 最後の晩餐

「もし、明日世界が滅ぶとしたら、お前は何を食べる?俺はな、とりあえずジャンクフードめっちゃ食う。んで、お前は?...普通の食事?つまんねぇな。もっと贅沢したいとか思わねぇのかよ…最後だからこそ?...ふーん、お前はそういう人間なんだ」


28 理想

「どうだい?私が一から作り上げた本物の無何有郷ムカウノサトは。

まだ完成には程遠いが、お前らが願った仕様もない希望より、果てしない絶望の方が理想に近い。

無何有郷ムカウノサトとは、謂わば無為の理想郷。無為はわかるよね?自然のあるがままの姿、人為的な力の介入のない、あるべき理想だ。君たちが願った理想郷はあまりにもくだらない。人間が平和に暮らせる世界?そのために一体どれだけの犠牲を要するつもりだ?その理想のせいで滅ぼされた生物が哀れだとは思わないかい?

だから私は、考え方を変えた。何もなければ良いんだ。全て、くだらない意思を持つ生物なんかが居なくなれば、世界は真の無何有郷ムカウノサトとなる。これはまだ序章だよ。これからもっと、この理想を広めなければ」


29 花火

「あ、花火!…綺麗。こんなに近くで観ると、迫力がすごいなぁ。あ!あの花火好きなんだよなぁ…垂れ下がる姿が綺麗で見惚れちゃう」


30 カザグルマ

「さっきね、お祭り行った時に屋台に売ってたの。かざぐるまなんて今でも売ってるんだねぇ。私、久しぶりに見たからさ、欲しくなっちゃって。ガキ扱いすんなよ。

…あ、そうだ。あとで花屋寄ろうよ。売ってるかわかんないけど、カザグルマ買いたいの…違くて、花だよ、花。カザグルマっていう花があるの。それを買いたいなぁって。あでも、時期じゃないか。残念。

…私ね、カザグルマの花言葉好きなんだよね。なんか、そうなりたいって思わせてくれるんだよね。見た目も綺麗だし。へへ、自分で調べなぁ」


31 崇拝

「...あぁ、なんて美しいのかしら。私の主人様あるじさま。一度でいいから、私にも微笑んで下さらないかしら。あ、でも!誇り高いお方だから、そう簡単に微笑んでいるところは見たくない。解釈不一致。でもでも!下々にはすごくお優しいし、そういう点では優しく微笑んでくださるような…そう簡単には笑顔を見せない主人様か、すぐに笑顔を見せてくれる主人様…どちらも捨て難い〜!」


32 星を食べる?

「星を見ながら金平糖を食べたら、それはもう実質星を食べてるってことにならないかな!?」


33 飴玉

「不幸も、憂鬱も、全部全部。

忘れたいことも、消したいことも、全部全部。

飴のように舐めてみれば体に溶けて消えていく。

飴のように噛み砕けば甘い味が残る。

嫌なことも、全部、僕に言わせれば大事な思い出だからね」


34 復讐

「へぇ?それで?ずうっと、その復讐心を胸に生きてきたってこと?なんていうか、つまらない人生だね。そんなことのために時間を使っている間も、君が復讐したいほど憎んでいた僕は、それはそれは楽しく、とっても自由に人生を謳歌していたよ。復讐は自分の気持ちを落ち着かせる上では大事な手段かもしれないが、自分の時間は有限だよ?...これは僕なりの同情だ。その無駄な人生に終止符を打ってあげよう」


35 別れの涙

「きっと、あなたが気づく前に私はあなたの前から消えるけど、それでもあなたは許してくれると信じています。これはきっと最初で最後のお別れ。いつか、どこかで会えるから。それと、私はどうやら泣けないみたい。一度泣いたら、多分止めどなく流れてしまう。そんな私の代わりなのかな、結露した車窓が、涙を流してくれてる。だから、今はそれで許してください」


36 図書室の君

「一冊分だけ余裕を空けた本棚に寄りかかって、貴方はいつもそこで本をめくっていたよね。読んでいるジャンルはいつも違って、そのジャンルを当てるだけでも楽しかった。ここだけの話、貴方に逢う口実にしていたの。貴方と少し会話するたびに、貴方のことがもっと好きになった。

でも、これは私の卑しい横恋慕。だから、今日を最後に、この気持ちは本棚の奥にでもしまっておきます」


37 楽譜

「私が音楽を奏でると、いつもみんな満足そうに笑ってくれる。

楽譜に書いてある通りに弾いてるだけなのに。

そこに少しの独創性を加えたら、みんながそれは違うって首を傾げた。

私が弾きたいのは自由な音楽だけど、周りが求めるのは完璧な音楽。

それに、私には見えてた。

自由に弾いているときは楽譜を飛び出して音符も踊り出しているけど、完璧にそのままの演奏をしたときは音符もなんだかつまんなそうだった。

だからやめた。だって、つまんないんだもん。

周りの期待がどうとか言って、私に願望押し付けてきて…ウザくなってやめちゃったの」


38 夕焼け

「茜色の夕焼けと水平線。

周りは暗くなってきて、肌寒い風が頬を撫でる。

絶対に一人だったら来なかった。貴方とだから、今日くらいはいいかもって思えた。

なのに、今日も貴方は来ないんだね。待ちくたびれちゃった。

このまま、海に飲み込まれる太陽のように、私も海に飲み込まれたら…貴方にまた会えるかな?」


39 幸福

「私に言わせれば、幸せも毒薬のようなものだよ。幸福は体を蝕み、最終的には命を奪う。幸せに溺れて死ねるのは、幸福、だろう?」


40 コウボウ

「一筋の光が伸びる。満月の夜、満天の星。

光は、生を産み、滅亡をもたらす。表裏一体、死の始まり。

光陰矢の如し、流れは止められぬ。

あの光が、あの光芒こうぼうが、全ての、世界の、興亡こうぼうをもたらすとも知らずに。愚かしい、馬鹿馬鹿しい。なんとも人間という生物は、知恵が乏しい。

我がこの世界に終焉をもたらす時、貴様らが崇めたその一筋の希望の光は、絶望の光へと変わるであろう。その瞬間を見れること、貴様らはなんと幸運なことか」

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