10、臨時総会(2)

 二人を乗せたシップは、ゼミア星を出発して3日でモナム星に到着した。モナム星に到着すると、アロンとソニヤが先に到着していて二人を出迎えた。

 「アロン、ソニヤさん出迎えに来てくれたんだね」雄介が二人とハグした。雄介がモウザリヤ総長を二人に紹介した。


 「初めまして、私がゼミア星の総長をしておりますモウザリヤです。お二人のことは、天野さんからお聞きしております。お会いできて光栄です。ゼミア星を助ける為に、お二人にも大変お世話になったようで本当にありがとうございました」総長は、深々と頭を下げた。

 「いえいえ、総長。頑張ったのは雄介ですから、雄介を褒めてやって下さい」


 「雄介さん、総長、早速なのですが、ギャラクシーユニオン臨時総会が間もなく始まりますので会場に向かいましょう」そしてソニヤが、モナム星の時空を移動するエレベーターのような乗り物に案内した。四人が乗り込むとアロンが「ギャラクシーユニオン総会会場」と言った次の瞬間ドアが開くと、目の前に総会会場の大きな建物が現れた。総長は、一瞬にして移動したので驚いた様子だった。


 「本当に驚くことばかりですね。宇宙の技術は凄いですね」

 「総長、まだまだ驚くのは早いですよ。この先まだ驚くことがあると思いますので、心構えをしておいて下さい」雄介がモウザリヤ総長にそう言うと。

 「雄介、総長をそんなに驚かすなよ。総長、雄介も初めてこのモナム星に来たときは、かなり驚くことが多かったので、それで総長を驚かしているんですよ」


 「そうですか。でも、どんな経験ができるのか楽しみです」モウザリヤ総長は、なんだかこれから起こることを楽しみに期待しているようだった。四人が総会会場の入り口に近づくと、そこにはやはりカンガルーの毛が生えていないようなモナム星人の警備員が数人いた。事前にアロンが言っていたのか、チェック無しに四人はすんなりと会場内に入っていけた。


 「アロン、今回は懐中電灯のような物でチェックされなかったね」雄介がアロンに小声で言った。

 「そうだね、事前に手配しておいたからね」アロンが雄介にそう言ったが、雄介はモウザリヤ総長がチェックに引っ掛かって驚くのが見たかったので残念に思った。四人はコーヒーカップのような乗り物の所に来た。


 「雄介は総長と二人で乗ってくれ。僕とソニヤは別のカップに乗るから」

雄介と総長が一つのカップに乗り込んだ。するとゆっくりとカップが前方に進み闇の中に入ったと思うと、カップは急に宙に浮いた。

 「おー」総長が驚いたようだったが、雄介が期待していたほど総長は驚かなかったので、雄介は総長に聞いてみた。


 「総長どうですか、これが銀河総会の会場です。驚きましたか」

 「そうですね。凄い会場ですね。まるで宇宙の中に浮いている感じですね。でも私は、こういったジェットコースターのようなアトラクションが大好きなので、とっても楽しいです」総長は喜んでいる様子だ。


 「天野さん、たくさんのカップが浮かんでいるようですが、どれ位の数のカップが浮かんでいるのですか」

 「総長、一つのカップに、一つの星の代表が乗っています。いまギャラクシーユニオンに加入している星は500程ありますので、この会場にはその数のカップが浮かんでいます」


 「500の星がギャラクシーユニオンに加入しているのですか。それは驚きですね」総長は、驚いた様子だった。しばらくして雄介と総長が乗ったカップのモニターに、プッペ議長の顔が映し出された。


 「皆様、お待たせ致しました。それでは臨時のギャラクシーユニオン総会を開催致します。私は今回も議長を務めますモナム星のプッペと申します。宜しくお願い致します。それでは開催にあたりアロン総理事長様ご挨拶をお願い致します」プッペ議長がそう挨拶すると、モニターにアロンの顔が映し出された。すると、モウザリヤ総長が驚いた様子で雄介に聞いて来た。


 「アロンさんがギャラクシーユニオンの総理事長をされているのですか。凄いですね」

 「そうなんです。彼はまだ若いのに素晴らしい実力を持った人物です。彼のような優秀な人物が、このギャラクシーユニオンを代表してまとめてくれているので安心です」雄介は、モウザリヤ総長が驚いてくれたので少し嬉しかった。


 「皆様、アンドロメダ星のアロンです。この度は臨時に総会を開催するにあたり、皆様にお集まり頂きまして誠にありがとうございます。今回は、この宇宙の中で二つの星が滅びる運命を乗り越え生き残ることができました。今日はその星からそれぞれ代表の方がお見えになっております。その方々にご挨拶をして頂きたいと思います。そして今回もこの総会がこの宇宙の平和と発展の為に成功致しますことを願っております。ありがとうございました」アロンが挨拶した。


 「それでは始めにゼミア星の代表の方にご挨拶をお願い致します。ゼミア星は、以前皆様に緊急にご連絡して、ゼミア星の加入に対する承認を頂きましたが、皆様のお蔭で無事にゼミア星を滅亡の危機から救うことができました。これも皆様の温かい心と宇宙全体の平和への思いからだと感謝しております。それではゼミア星のモウザリヤ総長がお越しですのでご挨拶をして頂きます。宜しくお願い致します」プッペ議長がそう言うと、モニターにモウザリヤ総長の顔が映しだされた。


 「皆様、私はゼミア星のモウザリヤです。この度は皆様の温かいお心のお蔭で、我が星ゼミア星が滅亡の危機からお助け頂きました。本当にありがとうございました。特にギャラクシーユニオン総理事長であられるアロン様やソニヤ様、そして地球の天野様にはご尽力頂きましてありがとうございました。


 我が星のゼミア星は、今回のことで滅びる運命をたどっていたのだと言うことが分かりました。一つの星の中で争い傷付け合い、平和でない星だったから今回のような事態になってしまいました。しかし今回のことがありましたからゼミア星の者は気付きました。


 今までの愚かな行動を改め、今後は助け合い協力し合って、平和で愛に満ち溢れた星になっていくことをお誓い致します。そしてこの宇宙全体の平和の為にゼミア星も協力してまいりますので、今後共宜しくお願い申しあげます」モウザリヤ総長の挨拶が終わり、モニターにプッペ議長が映った。


 「モウザリヤ総長、ありがとうございました。今回ゼミア星が平和の星となりギャラクシーユニオンに加入されたということは、とても歓迎すべきことです。今後も平和な星としてこの宇宙の発展にもご協力下さい。

 それでは次に、地球の天野様ご挨拶をお願い致します」するとモニターに雄介の顔が映った。


 「皆様、地球の天野でございます。この度は皆様に地球滅亡の危機を救って頂きまして誠にありがとうございました。特に総理事長のアロン様、そして総指揮を取って頂いたプッペ議長には心より感謝申し上げます。ギャラクシーユニオンに加盟する星々の全ての皆様にも、地球が救われる為に祈って頂きましたこと心より感謝しております。


 お蔭様で愛すべき私のふるさとの地球は救われました。そしてその地球に住む私の愛すべき全ての人々が救われました。本当にありがとうございました。今後は、先ほどの地球の兄弟星であるゼミア星と協力致しまして、全宇宙の平和の為に貢献して参りたいと思っております。どうぞよろしくお願い致します」雄介の挨拶が終わった。そして再びモニターにプッペ議長が映った。


 「天野様ありがとうございました。地球とゼミア星とが協力して、宇宙の平和の為にご尽力いただくことを願っております。それでは皆様、次にアロン様からご連絡しておりました、もう一つの議題に入りたいと思います」


 「もう一つの議題?」雄介には、何も知らされていなかったので不思議に思った。

 「それでは、アロン様宜しくお願い致します」プッペ議長がそう言うと、アロンがモニターに映った。


 「皆様、今回お集まり頂いた、もう一つの議題は、私が現在務めておりますギャラクシーユニオン総理事長交代の件でございます。私は長年総理事長を務めてまいりましたが、この度、私より適任者が現れました」アロンがそう言うと会場にどよめきが起きた。アロンが続けた。


 「その人物は、只今ご挨拶頂きました地球の天野雄介様です」アロンがそう言うと再び会場にどよめきが起きた。一番驚いたのは雄介だ。

 「アロンはなにを言いだすんだ」雄介は、なにも聞かされていなかったので驚きを隠せなかった。


 アロンは、更に続けた。

 「天野様は、ゼミア星を救うことで魂のレベルを上げることに成功されました。天野様の現在の魂レベルは魂レベル最高の6です。魂レベル6は、現在このギャラクシーユニオンに加盟している星の中では天野様ただ一人でございます。


 歴史的に見ても前々総理事長を務められていた、第68代総理事長が魂レベル6でしたので、それから約250年程経っております。

魂レベル6の天野様が、我がギャラクシーユニオンの総理事長を務めて下されば、この宇宙を司る宇宙波動エネルギーとも自由に交信できますし、天野様自体のエネルギーで、健康と平和と幸せを皆様に分け与えて下さることでしょう。皆様からも天野様に我がギャラクシーユニオンの総理事長を務めて頂けるよう、お願いしようではありませんか」アロンがそう言うと、プッペ議長がモニター映った。


 「皆様それでは、採決に入ります。地球の天野雄介様が、ギャラクシーユニオン第71代総理事長に就任することをお認め頂ける方は、目の前のモニターに触れて下さい」


 そうプッペ議長が言うと、会場に浮かぶカップが次々と光だした。雄介は、突然のことに驚いたが、心を落ち着かせ瞑想に入り宇宙波動エネルギーにコンタクトした。そして宇宙波動エネルギーに尋ねた。


 『全宇宙を司る宇宙波動エネルギーよ、お教えたまえ。私がギャラクシーユニオンの総理事長を務めることは、可能なのでしょうか。そして私にこの宇宙全体の平和を守っていくことができるのでしょうか』すると雄介の左耳の奥で『ポク、ポク』と音がした。雄介は思った。


 「プラスだ。やるしかない」雄介は、隣にいるモウザリヤ総長にも尋ねた。

 「モウザリヤ総長も、私が総理事長に就任することを認めて頂けますか」

 「当然です天野さん。あなた以外には居ないのではないですか」モウザリヤ総長は優しく微笑んだ。


 「ありがとうございます。ではモニターに触れますね」雄介は、自分がギャラクシーユニオン総理事長になることを決意し、ゆっくりとモニターに手を伸ばし、そして触れた。すると雄介とモウザリヤ総長が乗ったカップが7色に光だした。モニターにプッペ議長が現れた。


 「皆様、ありがとうございます。満場一致で天野様のギャラクシーユニオン総理事長就任が認められました。天野様おめでとうございます。それでは天野様ご挨拶をお願い致します」

 するとモニターに雄介の顔が再び映し出された。雄介は、突然のことに自分の考えがまとまっていなかったが、挨拶を始めた。


 「皆様、天野です。私がギャラクシーユニオン総理事長に就任致しますことを認めて頂きまして、誠にありがとうございます。この私も今この場で初めて総理事長交代の話を聞きまして、少々驚いております。


 しかし私は、以前地球がギャラクシーユニオンに加入する為のプレゼンテーションをこの場で行いました。そのときに私の故郷の地球やこの宇宙の平和の為に、もし働くことができたらなんて幸せなことかと思っておりました。その思いが皆様のお蔭で、いま叶ったのです。


 皆様にも愛する故郷や愛すべき人がおられると思います。私にも愛すべき家族がおります。そして愛すべき故郷の星の人々もおります。私は、この宇宙の全ての星の人々の健康と幸せと平和の為に、この先、私の命が続くかぎり尽力してまいります。どうか皆様、この私にお力をお貸し下さい。

 

 この広い宇宙の平和は、私一人の力では到底守り切ることができません。皆様のご協力が有ってこそ初めて実現するものだと考えます。皆様と共にこの宇宙全体の平和の為に全力を尽くすことをここに誓います。ありがとうございました」雄介の挨拶が終わると、モニターにプッペ議長が現れた。


 「皆様、第71代ギャラクシーユニオン総理事長の天野雄介様に、歓迎の拍手をお願い致します」会場内に割れんばかりの拍手が鳴り響いた。

 「それでは皆様、ゼミア星と地球が滅亡の危機を乗り越えたお祝いと、天野新総理事長就任の祝賀パーティーを行いますので、ホテルアウタースペースにご移動ください」会場全体に歓声があがった。

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