一章(第一話)
「どこだここ」
僕は急に見知らぬ場所で目が覚めた。
どうしてこうなったのか、ここはどこなのか、自分は誰なのかわからなかった。
少し覚えていることもあるが今この状況をどうにかできるほどのことじゃなかった。
とりあえずあたりを散策してみるかと思いその辺をぶらぶらと歩き始めた。
「とりあえずでやってはいたものの…」
なんにもわからなかった。
そりゃ記憶喪失になんかなっているのだからわからないもんなのだが少しでも情報が手に入ると思っていたんだけどなぁ…
他の人に聞くことも考えたが、知らない人と話すのは苦手なので選択肢から消すことにした。
じゃあ…なんにもできないじゃん!?
いつもなら何とかなるのに今回は絶望的な状況下だった。
頼れる友人も家族もいない…
あは、もう僕ここで死ぬのか、?
何もできない事実に気づき同じ場所をぐるぐる回っていると、
「ねぇ、君。玲衣なの?」
急に人から話しかけられた。
「あー、とー…」
知り合いと話すときはいつも普通に話せるのにな。
見知らぬ人だと急に話せなくなってしまう。
「ん?違う?」
と言いながら急に顔を近づけてきたのでさらに緊張してしまう。
「あ、えー、今僕記憶喪失でして、何にもわからないんですよねー…」
はは、と乾いた笑いが出てくる。
「じゃあ玲衣だよ!最近連絡くれなくて寂しかったんだよー!?急にいないと思ってらそんなことなっちゃって、心配だったんだ!いない間にそんなことがあったんだふむふむ…大変だったね!もう大丈夫だよ!」
急にいろんなことを言われて頭がこんがらがってしまう。
「まだ僕が玲衣さん?って確定したわけじゃないですし…」
色々急展開過ぎて何も追いつけない。
この人が間違えている可能性もあるし僕が本当に玲衣さんという可能性がある。
考えれば考えるほど、記憶を掘り返そうとするほど頭が痛くなってくる。
僕は、誰なんだ。
「いやいやー、私玲衣の彼女だよ!?間違えるわけなかろう」
そんなことをドヤりながらいってくるもんだからさらに困惑してしまう。
ん…?まず彼女?おかしくない!?
何が何だかもう自分では整理できないレベルまで来ていた。
「じゃ、じゃあまず、まずだよ…
僕が玲衣さんだとて、何が同じように見えるの?」
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