2019/8/11 (日)

 ウーウーと高く鳴るサイレン。俺はそれを聞きながら……。

 ……甲子園の砂をかき集めていた。


「何よ、結局、負けちゃったじゃない! あんなに応援してあげたのに!」

「し、仕方ないっすよ! 相手は常連校だったし……」


 モゴモゴと口を動かす俺の背中に、「全く、男の言い訳なんてみっともない!」と辛辣な言葉が返ってくる。


「大体ね、あそこでストレートを投げるのはアホよ、アホ! 変化球でバッターの心を揺さぶるの!」

「簡単に言いますけど、観るのとやるのは違うんすよ!」


 ああだこうだ言いながらも、俺は内心気落ちしていた。

 これで三年の先輩の夏は終わりだし、二年の先輩が部を率いるようになるし、巡り巡って四月になったら、新しい一年が入ってきてレギュラー争奪戦のピンチだし……。


「一年後!」


 ……そんな俺の妄想に、ノブ子が大声で割り込んできた。


「帰ってきたら、また応援してあげるわよ!」


 態度は相変わらずのツンツンだが、こう見えて、俺のことを気遣ってくれてるのかもしれない。


「ま、あんたはどうせ、来年も応援席にいるんでしょ!」


 前言撤回。やっぱりただのウザいヤツだ。

 俺は一言、「うるせー!」と返した。

 そんな夏。

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甲子園球場に棲むノブ子 中田もな @Nakata-Mona

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